毒者
打ち切りエンドです。
今回は会話形式を止めました。あれは私には無理だったようです。
最後の一話は「もしリベンジするならこう書く」といった作風に切り替えています。
「大変だ!」
「どうした作者B、騒々しい」
「作者Dが! 早く来てくれ」
「いったいどうしたっていうんだ?」
冒険者ギルドのドアが乱暴に開かれる。
そこで仲間を待っていた作者Aだが、慌てた様子の作者Bに引きずられ、町の入口まで連れて行かれる。
そこで彼が見た物は、
「作者D!? 馬鹿な、一体何があった!」
血に倒れ伏す友人、作者D。
「げふっ、毒者だ……。奴らに襲われて……」
「馬鹿な! 奴らは簡易結界を越えることなどできないはず!」
「経験値をより多く積むために、解除してたのさ……。だが、それでこのザマ。みっともねぇなぁ……」
「しゃべるな! すぐに医療班が来る!」
「いいや、もう駄目だ……。すまねぇ、先に逝かせてもらうぜ……。お前は……まだ来るなよ…………」
「作者Dィィィ!!」
冒険者にはギルドから簡易結界というアイテムが貸し出される。これを使用すると、防御能力が格段に向上する。
だがしかし、防御面への不安がなくなるという事は危機管理の低下を招き、成長を遅らせる危険性がある。そのため、一部の冒険者は自身の成長のために簡易結界を使用せずに戦う。
その結果、大きく成長する者もいれば、作者Dのように毒者に襲われ死んでしまう者も出る。
地に倒れ、力なく横たわる作者D。
その亡骸を抱きしめ慟哭する作者A。
傍らの作者Bが「遺体は残ったんだ。ダンジョンに消えた仲間を思えばまだマシだ」と慰めにもならないことを言うが、作者Aの耳には届かない。
「潰してやる……」
作者Aの瞳に狂喜が宿る。
「潰してやるぞ、毒者ども……」
口からは怨嗟の声が漏れだす。
「一人残らず、潰してやるぞ、毒者どもぉぉ!!」
ここに一人の悪鬼が誕生した。
数日後。
「はぁっ、はぁっ」
作者Aは手にした剣を支えに、体を休める。
その近くには、倒れ伏す毒者の躯。
毒者の体が溶けるように消えていく。
「仇は討ったぞ、作者D」
一仕事やり遂げたことで険の取れた表情を見せる作者A。
ここまでの戦いで作者A自身も深い傷を負い、無事とは言えなかった。戦いは激しく争いの中で武器はいくつも折れ、使い物にならなくなった。
だが、それでも毒者の抹殺に成功したのだ。
しかしその一瞬の満足すら許さぬ凶刃が作者Aを襲う。
「!?」
作者Aは軋む体の悲鳴を無視し、無理矢理体をひねる。
凶刃が作者Aがさっきまでいたところに突き立てられる。
「馬鹿な……。貴様はさっき殺したはずの毒者!」
倒したはずの毒者の復活。
だがそれだけではない。作者Aの瞳に映るのは、同じ姿をした、無数の影。
毒者は、増殖していた。
「いいだろう……。貴様が消えるか俺が力尽きるか、勝負だ!!」
作者Aの、終わらない戦いが始まる。
剣撃の音が、ダンジョンの中に響き渡った。