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12、はじめての商人ギルド

初めて見る文字なのに読めることに衝撃を受けている俺。


「なんじゃどうした?」


シルヴェストさんが下から見上げている。


「いや、なんか文字が読めるので」


「文字?ワシもだいたいの文字は読めるぞ」


いや、そうじゃないから

そーゆー事でなくて

エジプトとかにある象形文字的なものが

何故読めるのかって事だから。


チートか?

これがチートなのか?


1人で色々考えて百面相してる俺。


「まあ、なんか分からんが今は商人ギルドじゃ!ほれ行くぞい」


半ば引きずられるように商人ギルドの中に入った俺は、またもや衝撃を受けることになる。




「天井、高っー」


ギルド内は石造りで、沢山の人で賑わっていた。

そして、驚いたのが天井だ。

すげー高いの。

吹き抜けになってて、とにかくものすごーく高いんだよ。


ってあれ?

外で見た建物より天井高くねぇか?

え?なにそれ。


「じいさんもこれを見た時は目ん玉飛び出そうになったと言っていたわい、ガハハハハハ」


「あ、やっぱりそうなんですか」


よかったー

俺だけじゃなかった。


「さ、そろそろいいじゃろ。面会時間に遅れるぞい」


「あ、そうですね。行きましょう」


そう言うとシルヴェストさんはギルドのカウンターにいる受付の女性に声をかけて何やら話している。


っていうか、ギルドの受付の女性

みんな可愛くね?


やっぱあれかな、日本も会社の受付とかって

結構可愛い子が多かったイメージだけど

異世界でもそーゆー感じなやつ?


しかも、人間の女性以外に

なんかケモ耳って言うんだっけ?

そーゆー子もいるし。


「可愛えー」


思わず声に出してしまって

1人あたふたしてたらシルヴェストさんが手招きしているのが見えた。


「こっちじゃ」


慌ててシルヴェストさんの後に付いていくと

先程の可愛い受付の女性が案内してくれた。


「失礼します。マツヤの方がお見えです。」


マツヤの方?

あ、そうか!あの旅館、松やって言うんだった。


部屋に入ると中には、細身でロマンスグレーが素敵な紳士が立っていた。


「ようこそおいでくださいました。当ギルドのギルドマスターを務めておりますマルディニールと申します」


「い、岩井和と申します。」


慌てて頭を下げてマルディニールさんを見ると

ニコニコとしたあたたかい笑顔だった。


どうぞとソファ勧められ座ると

マルディニールさんが口を開く。


「シルヴェストさんからお聞きしました。この度はおじいさまの事お悔やみ申し上げます。」


「あ、いえ、ご丁寧にありがとうございます。」


「生前、ゴンゾーさんには大変お世話になりまして。私もマツヤにはよく通わせていただいておりました。」


「ギルドマスターはすきやきの大ファンなんじゃ」


「すきやき!あれは本当に美味しいものですよねぇ」


なんかすき焼き談義が始まってるけど

これからは俺がすき焼き作らなきゃなんねーんだよな。

じいちゃんのレシピがあるつっても100%同じ味になるかどうか自信ねぇんだけど。


大丈夫か俺。


いやいやいや!やるって決めたんだ

とりあえず、最初から弱気になるのはやめとこう。




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