絵本「さびしい神様とこの世界」
絵本「さびしい神様とこの世界」
リエット・オグランジェ著
ひとりの神さまが生まれました。
神さまは、てくてく歩きます。
世界のはしから、はしまで。
でも、どこにも、だれもいません。
神さまは、さびしくて、えーん、えーんと泣きました。
「だれかぁ……」
そう手をのばすと、空が生まれ、
こぼれた涙は海になり、
歩いたあとには地面ができました。
そして、三柱の神さまが生まれます。
海神さま。
地母神さま。
天空神さま。
――すべてのはじまりとなった神。
それが、創世神でした。
三柱の神さまたちは、
創世神がさびしくないように、
たくさんの神さまを生みました。
火神さま。
水神さま。
風神さま。
雷神さま。
豊穣神さま。
五柱の神さまたちは、
創世神が大好きで、
毎日たくさん遊びました。
けれど……
創世神は、まださびしいままでした。
「もっと、世界をにぎやかにしよう」
神さまたちは、さらに神さまを生みます。
それでも、さびしさは消えません。
ある日、創世神は、
土からひとつのかたちを作りました。
自分によく似た存在――
『始祖王』です。
けれど、そのからだには、
心がありませんでした。
創世神は、
海から『聖霊王』を生み、
花から『魔女王』を生みました。
そして、ふたりが
始祖王に力を分け与えると――
始祖王は、
『人間』になりました。
人間たちは、
創世神によく似ていました。
五柱の神さまたちは、
それをとても気に入り、
それぞれの加護を与えました。
すると、人間は
魔法を使えるようになったのです。
世界は豊かになり、
人々は笑いあい、
光に満ちていきました。
――けれど。
やがて人間は、
争うことを覚えてしまいます。
世界は、少しずつ壊れていきました。
それを見た創世神は、
深く、深く悲しみました。
その悲しみは、
瘴気となり――
大地のあちこちから、
噴き出したのです。
神さまたちは驚き、
多くが姿を隠しました。
それでも、人間を愛した神さまたちは、
どうにかしようとしました。
けれど――うまくいきません。
そのとき立ち上がったのは、
三王と、ひとりの少女でした。
聖霊王は、
もっとも大きな瘴気の穴を鎮め、
争いをなくすための国を作りました。
始祖王は、
これ以上瘴気があふれないようにと、
創世神を抱いて眠りにつきます。
魔女王は、
その眠りを守るため、
夢の番人となりました。
それでも、瘴気は消えません。
聖霊王には、ひとりの娘がいました。
少女は旅に出て、
世界をめぐり、各地の瘴気を鎮めていきます。
――それでも。
創世神のさびしさは、
消えることはありませんでした。
残された聖霊王は、
今もなお、
その孤独を癒す方法を探しています。
こうして世界は、
今のかたちになったのです。




