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ローと妃。


―――その後。


ローが力説したとおり、ヴィリアムが破滅した。

国王陛下の命に逆らって婚約を二つも破棄して無理矢理マリアベルと結婚しようとしたからである。もちろん王族籍から除籍させられ去勢ののち平民送り。更に一緒に断罪に加わり、ローを裏切りヴィリアムとくっつこうとしたマリアベルだがーー


彼女は最後にローの婚約者に戻ると懇願したそうだが、当然のことながらローは拒否。

彼女はヴィリアムと結婚させられ、一緒に平民となったそうだ。


気になる男爵令嬢だが、色んな令息に手を出したため、実家から勘当されてしまったそうだ。まぁ、そりゃぁそうだ。そして彼女に懐柔されていた攻略対象たちはーー


隣国の王子以外は一緒に勘当されてしまったそうだ。

隣国の王子は隣国に連れ帰させられ、問題を起こしたとして王族用の隔離塔に幽閉されたそうだ。


これはロー曰く、ざまぁエンドらしい。よくわからんが。


そして俺は今日ーー


「それじゃぁ、やるぞ」


「ふっ、しょうがない。ローが一生独身だと困るからな」


「当たり前だ。俺は、自ら嫁を得に行く」


チート転生者だと言うローの目は、マジだった。


―――そして、


「あの馬車だ、アルト。これから盗賊に襲われるから」

「殲滅するか」

「あぁ」


俺たちが息を潜めていれば、馬車を取り囲む盗賊が現れる。


そして信じられないことに、御者が颯爽と馬車の御者台を飛び降り盗賊に加わったのだ。


「アイツら、あの馬車の中を狙っているんだな」

「あぁ、御者はどうしようか考えていたが、あれで葬ることに決定だな」

「了解」

俺が狙撃型魔動銃を構えると、ローが剣を携え颯爽と飛び出して行った。

そして突然現れたローが盗賊をかく乱しながら倒していく一方で、俺は馬車に近づく盗賊や、ローの支援のために魔動弾を放つ。


何事かと馬車の扉が開きかける。


「出てくるな!」

ローの声に、馬車の扉が開かれる。


「被弾しないよう、中に籠っていろ!」

まぁ、俺が外すはずがないけれど。


そしてまた、魔動弾を放つ。


「敵殲滅、確認」

「よし、来い!アルト!」


「はいは~い」

盗賊を御者含めて全て片付けた俺は、馬車の扉を開くローに続く。


「大丈夫ですか、セシリア嬢」

どうやら、ローがわざわざ助けに来た美少女は、セシリアと言う名前らしい。


「あ、あなたは、ローウェン殿下」

黒髪2人の俺たちを見ても、その美少女はためらうことなく見つめてくる。プラチナブロンドのロングヘアーにアメシストの瞳を持つ美少女である。

しかもローのことを知っているらしい。


「はい、そうです」

「ど、どうしてっ!?私はっ」


「あなたを迎えにきたのです。間に合ってよかった」


「え、えぇ。ですが、私は追放された身なのです」


「関係ありませんよ。あなたは聖女です。出自も隣国の公爵令嬢。私の妃に迎えるのにも相応しい」

「そんな、妃だなんてっ!」

え、ええぇぇぇっっ!?ちょまっ、お前、妃っておい。


「お前、知り合いだったの?」

「ふっ、彼女は王国や隣国のパーティーでも会ってたんだ」

まぁ、公爵令嬢と王子ならあり得なくもない。


「だけどさ、隣国が彼女を偽聖女とか言って追いだしたわけ」

「え、えぇ。どうにも平民出身の聖女さまが現れたらしくて、私は偽聖女としてありもしない罪で裁かれてしまいました。そんな罪を負った私を、妃にだなんて、あなたの醜聞になります」


「大丈夫ですよ。もうすぐ隣国、クーデター起こるんで」

は?


「まさかとは思うが、ゲームか」

俺は、ハッとした。

乙女ゲーム的な、ゲームか。


「それを元とした、ざまぁ小説な」

マジかよ。


そして、ローの予言通り、セシリアさまの実家の公爵家が平民の聖女を担ぎ上げた王子を打倒し、新政権を確立した。なんと平民出身の聖女と言うのは偽物で、王子も周りも妙な術で操られていただけらしい。

そんなこともあり、隣国の新政権の王女であるセシリアさんとローは見事に結婚した。

そしてローは今や王太子である。


「で、何で俺もなんだ」


「いや、俺たちは盟友だろう?俺の側近として、よろしくな」

俺は、影に属しながらもローの専属騎士をやらされていた。

しかもそれに伴い俺は子爵を継ぎ、更には実家が伯爵家に繰り上がった。

聖女救出にも参加したし、その後ローと魔物退治に繰り出されたため、功績をあげさせられたのだ。その結果の、昇進。ま、叔父もそもそも功績はあげていたわけで、昇進は目と鼻の先だったのだが。


まぁ、結果的にーー


「アルトさま」

「ローウェンさま」

俺の妻であるフレアリカと、ローの妃のセシリアが焼き立てのお菓子を持ってやってくる。


―――ローのとりなしでフレアリカと結婚できたのだから、まぁいいか。

それにフレアリカの実家も、一度婚約破棄されてしまって傷のついてしまった娘だからと、王太子の側近に嫁げることを喜んでいた。

フレアリカも家格が下がっても、俺と結婚することを快諾したらしい。


「セシリアさまとお菓子を焼いたんです。ほら、あ~ん」

と言って焼き菓子をあ~んしてくるフレアリカ。


「フレアリカ、愛してる!!」

俺はそんなフレアリカの手を取り叫ぶ。

「こ、こんなところで!アルトさまったら!」


よし、これからもフレアリカに危害を加えようとするものには、鉄槌を加えなくてはな。


「いや、お前ちょっとは自覚しろよ」

そんな、影に潜んだ長の声を聴きつつもーー


―いいじゃん、俺のお陰で家が伯爵家になったんだから―

―それとこれとは別ぅっ!―

念話を送ったら、そうツッコまれた。

全く叔父は謙虚なんだから。長なんだからもっと強欲に行けばいいのにな。


―お前は強欲すぎんだよ―

何で、俺の脳内で考えてること分かったんだ、この叔父は。



まぁ、ともかく。


「ん、美味しいよ。フレアリカ♡」

「もう、アルトさまったらっ」

俺たちはラブラブで過ごしている。


「俺だって負けないんだっ!負けないんだからっ!」

「ろ、ローウェンさま!?大丈夫ですよ、ほら、あ~んっ!」

悔しがるローにセシリアが焼き菓子を差し出していて、ローはそれに涙を流してあり付いていた。




(完)







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