少年、おっぱいのために戦う。
「わ、私のおっぱいを好きにしていいのでどうかこの村をお救いください勇者様!」
「その契約乗ったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
純真無垢な少女の涙を浮かべたその叫びに、少年は生まれてこの方14年という歳月の中でも最大級といえる大声でその願いを聞き届けた。
「あぁ? なんだ? こんなところにガキがいるぞ」
「うひょ! でもあのメスエルフは上玉ですぜ親分!」
「まだこんなのがこの村に隠れてやがったのか。まあいい。連れてくか」
と、そんな少年少女の目の前に先ほどまで村で金品を強奪していた山賊の群れが近づいてきていた。
この村、「ムルドの村」は今まさに山賊集団に襲撃を受けている真っ最中であった。
「待て待て待てい! ここからの乱痴気騒ぎは俺が主役だ! 三下風情は下がりやがれい!」
そしてそんな村に1日前から滞在していた異分子たる少年は山賊達にむかってそう啖呵を切ったのだった。
「なんだコイツは。俺たちに刃向かうとはいい度胸してんじゃねえか小僧ォ!!!」
山賊の一人が少年のあんまりな言い様にキレて拳を振り上げながら走り寄ってきた。
「甘い!!!」
「グアハッ!!!」
だが、その山賊の拳が少年の顔に入る前に、逆に少年の放ったパンチが山賊の顔面に叩き込まれていた。
「なんだコイツ! ガキのくせにつええぞ!」
「ひるんでんじゃねえ! 囲め囲め! どうせ反抗するのはあのガキ一匹だ! フクロにして後悔させてやれ!」
その光景を見た山賊達もその少年に警戒心を抱き始めた。
それを察した少年は隣にいた少女、アリスに向かって声をかける。
「アリス、君は俺から離れてて! すぐに終わらせるからね! そんで後でおっぱい揉ませてね!」
「は、はい!」
少年は少女を後ろへ下がらせて山賊達を見据える。
そうすること30秒、18人の山賊が少年を囲むようにして集まった。
「へっへっへ、もう逃げられねえぜ、小僧」
山賊達は全員無骨な鎧と切れ味の鋭い剣を装備していた。
しかしそれでも少年は脅える様子もなく山賊達に言い放つ。
「元より逃げる気なんてないさ! 俺は一つの契約を結んだんだからな!」
契約。すなわち先ほど少女と交わしたこの村を守るという契約。
そして、村を守りきる事ができたら少女のささやかなおっぱいを少年が好きにしていいという契約。
少年は力を、少女はおっぱいを差し出した対等な契約。
そのおっぱい契約を履行すべく、少年は山賊達に立ち向かう!
時は現代、場は異世界。少年、秋田健太郎は神との契約により機械文明の発展した元の世界を離れ、この魔法文明が発展した異世界へと召喚される事になった。
その契約とはすなわち、この世界を救うこと、この異世界に平和をもたらすことである。
そしてそんな使命を全うさせるべく、神は少年に超人的な肉体と3つの力を与えた。
「ヤロウ共! かかれ!」
「「「おお!」」」
「甘い! 『フラッシュライトヌーディスター』!!!!!」
「「「!?」」」
少年が1つのスキルを唱えた瞬間、少年から眩い光が溢れ出し、山賊達の装備が全て弾けとんだ。
その結果、そこには18人の屈強な全裸男という絵図が誕生した。
「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
そしてその光景を生み出した元凶たる少年は何故か絶叫を上げていた。
「な、何が起こった!?」
「なんで俺達裸になってんだよ!」
「ぐ! 多分今のはあのガキの魔法だ! わけわかんねえ魔法使いやがって!」
少年とは対照的に全裸にされた山賊達は冷静で、この現象の源であろう光を発した少年に向かって全裸で詰め寄ってきた。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! こっちくんじゃねえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
だが少年の方も負けじと足に力を入れ、即座に迎撃態勢をとった。
山賊が次々と少年に手を伸ばす。
それを少年は神から与えられし力の1つ『ゴッドアイ』にて的確に避けていく。
『ゴッドアイ』
それは何物をも見通す神の眼。この眼がある限り少年は瞬時に周囲の状況を把握し、その情報から導き出される1手先、2手先の世界すらも見通すことができる。ついでに透視能力もオンオフ機能付きで完備である。
ゆえに山賊達の攻撃など当たらない。
山賊達の攻撃を少年はすいすい避けていく。
そして避けるついでに少年は自らの拳を山賊の鳩尾に叩きこむ。
それも一寸の狂いなく、完璧な動作で少年は山賊達の急所を突いていった。
これもまた少年が神から与えられた力の1つ、『テクニシャンズハンド』によるものだ。
『テクニシャンズハンド』
それは自らの手を自らの手以上に使いこなす神の手。この手がある限り少年は人体の急所を的確に突くことが可能であり、お箸で小豆を掴む事も余裕でこなせる。ただし女体相手に使ったことは今のところ無い。
『ゴッドアイ』、『テクニシャンズハンド』、そして先ほど少年が使ったスキル『フラッシュライトヌーディスター』。この3つが少年に授けられた神の力。
この力に抗えるものなど存在しない。
山賊達もまたその例外に漏れず、あっという間に全ての全裸男集団は地に伏した。
「……つまらぬものを脱がしてしまった」
その山賊達を見下ろす少年は、ぽつりと一言そう言いながら、山賊達同様地面に膝をついた。
「ごぼぅえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!! うぼごぅええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
そして吐いた。
この時少年は自らの肉体に宿る力を戦闘に使う際の重大な欠陥に気がついた。
「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! きたねえモン見せんじゃねえよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
『フラッシュライトヌーディスター』
少年から発せられた光を浴びた存在の装備を問答無用に解除する少年だけのオリジナルスキル。
発動したが最後、少年を除く周囲の存在から纏う衣服を強引に引ん剥き、生まれたままの姿を曝け出させるという神のスキル。
これがある限り少年に戦いを挑む敵は常に全裸を強いられるという悪魔的スキル。
道行く女性がみんな素っ裸になるなんて素敵やん?という軽い気持ちで少年が手に入れた変態的スキル。
しかし、その効果は対象者の防御力や攻撃手段を減少させたり羞恥心を煽るのみならず、使用者たる少年の心までもを蝕んでしまった。
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! 無駄にでかいビックサム持ちやがってええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
少年は山賊達にぶら下がるイチモツすらも詳細に観察してしまった。
『ゴッドアイ』は全てを仔細に観察する。それに例外は無い。
それによって今、屈強な山賊達18人の全裸姿という残酷な描写が余すところなく少年の脳裏に焼きついてしまった。
これを欠陥と言わずして何と言おう。
少年の絶叫はそう告げていた。
「だ、大丈夫ですか! 勇者様!」
そのあまりにあんまりな少年の状態を見かねて少女が駆け出した。
純真無垢たるその少女は何故少年がゲロを吐き、絶叫を上げているのか理解しきれていない。
もしや先ほどの不可思議な魔法による副作用か。私達のためにここまで自らを追い詰めてくれたのか。
少女の思考は少年の現実とは別の方向へと飛んでいき、こんな状況に少年を追いやった事への罪悪感を募らせる。
「うん!!! 俺はいつでも元気だよ!!!」
「うひゃあ!?」
だがそんな少女の心配もどこ吹く風かというかのように少年は持ち前の瞬発力で少女のもとへと瞬間移動した。
「え、えっと……もう大丈夫なんですか? さっきまで随分苦しそうでしたが……」
「君が来てくれたからもう平気さ! 心配してくれてありがとう!」
「は、はい……」
少年のハイテンションな食いつきように少女は若干引き気味に受け答えをしていた。
そしてその少年の目は少女の顔から視線を外さなかった。
まるで何か口直しをしているかのように。
何か脳裏に焼きついたものを上書きしようとするかのように。
「でも一応お休みになられた方がよいのでは? 山賊の集団も動けないようですし、後は私達だけでなんとかなりますので」
それでも少女は少年の身を案じる優しい少女だった。
それに少女の言った事も嘘ではなく、今の戦いで山賊達は全て倒された。
つまりその山賊達を縛り上げる事は村の住人でも出来る事であった。
「このまま休むだなんてとんでもない! 俺にはまだやらなくちゃいけない事があるんだ!」
「え?」
「さっきの契約をアリスは忘れたの!? 俺そのためだけに頑張ったんだよ!?」
「あ……」
契約という言葉を聞いた瞬間少女の顔が真っ赤に染まった。
その契約によって自分がどうなってしまうのかを想像してしまったがゆえだ。
「わ、わかりました……では私の家でその契約を済ませましょう……」
「おっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
少年は雄叫びを上げた。
まるで今この瞬間、少年が抱く一生の願いが叶ったかのように。
少年、秋田健太郎は自他共に認める『おっぱいマイスター』であった。
同姓からは畏敬の眼差しを、異性からは侮蔑の眼差しを一身に浴びながら手にしたその名は、その少年のありようを簡潔に表した称号であった。
だが、そんな称号を得た少年には1つの悩みがあった。
その少年、秋田健太郎は彼女いない暦=年齢であり、今まで女性のおっぱいを触った事がなかったのだった。
「それとさっきから気になってたんだけど、俺のことは健太郎って呼んでね! 勇者様とかよそよそしくていけねえよ!」
「は、はいわかりました。その……ケンタロウ様」
「うん! よろしくね! アリス!」
「は、はあ……」
こうして村を襲った山賊団は壊滅の時を迎えた。
後に残ったものは全裸の男18人+1と少年少女の契約のみ。
そしておっぱいを対価にした契約を結んだ2人の物語はここから始まるかもしれない……
今日2時間かけて書きました。
続編は多分1週間後。




