十三話「ザ・サード・サイド×FIVE」
「風の噂で聞いたことがあるよ。色の人達が、クロの力を抽出し、他者でも扱えるようにする研究に着手しているってさ。さっきのも、たぶんそれだよね。でもさ、失敗だね。ふふっ、道具の欠陥か、はたまたお兄さんの欠陥か。…取り敢えず、さよなら。」
マチオは誰に話しているという訳ではない。ただ、つい先刻までは人がいた場所を向いて、言葉を発しているだけなのだ。いや、マチオはそのつもりなのだ。
しかし、、、
「勘違いしないで貰おうか。手向けの言葉を呈するのは貴様ではない。この私が貴様に行うのだ。送ってやろう、死者の国に。」
私はマチオの前にいる。
「いや、…そんな筈はない。確かに、お兄さんは死んだ。」
「そう、それは事実だ。海斗は死んだのだ。」
「じゃあ、、、」
困惑するのも無理はないのかもしれない。海斗の身体は引き裂かれたのだから。
「私は陸。」
「陸?いや、お兄さんは海斗だろ?…何を言っているのか分からないよ。」
「私と海斗は同じ石の一つの面に過ぎない。生と死の世界の狭間に漂う石だ。私が黒で海斗は白。それが返ったから、私はここに居る。ただ、それだけだ。…ところで、貴様に送る言葉は何がいい?」
「……」
マチオは全てを悟ったらしい。自らの死を。
「かしこいな、もう諦めがついたのか。そう、貴様と私にはクロとしての絶対的差がある。」
私は力を解放した。
「いい言葉が思いついたよ。これまで貴様を支えた万物に詫びろ、全ての犠牲を無駄にして悪かったとな。」
マチオは死を迎えた。
「……ひゅー、なんてかっこいいんだろうか。それにやっぱり一人称は僕より私のがいいよな……」
そして、私も。
「起きなさい!早く退散するよ。」
「はあ?……お、俺は?マチオは?」
「何言っているんです?あなたは。自分がやったんでしょう?」
「これであんたは晴れて、あたしらの仲間。そんなボロボロじゃあ、かっこつかないよ。」




