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Kick Do!!  作者: 青島若鷺
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入学式その2

 入学式が終わり、菊鞠たちBクラスの新入生たちは担任の松居先生の先導のもと、教室へと戻ってくる。

 全員が席に着くと、松居先生が話し始める。

「皆さん、改めてご入学おめでとうございます。式典中、在原さんが代表で受け取った入学認定書を、今から皆さんにもお渡しします。出席番号順に名前を呼びますので、呼ばれた方は教壇の前まで来てください」

「井上彩華(いろは)

「はい」

 窓側の列の、2番目に座る生徒が立ち上がり、教壇の前に出る。

「ご入学おめでとうございます」

「ありがとうございます」

 恭しく入学認定書を受け取り、席へと戻っていく。

「海野うらら」

「はい」

「遠藤映見(えみ)

「はい!」

 次々と名前が呼ばれては、入学認定書を恭しく受け取っては席へと戻る新入生たち。やがて菊鞠もあやめの番が来て、最後に吉田という生徒が受け取ったところで入学認定書の授受は終わる。

「皆さん、入学認定書を受け取っていない方はいらっしゃいますか?それと、名前に間違いはないかよく確認してください」

 言われて、皆が自分に渡された入学認定書をしげしげと見始める。菊鞠もそれに倣う。内容に問題はなさそうだ。

「それでは、今からの時間はロングホームルームとなります。1年間の予定と、その後は自己紹介の時間を設けます。ここからは副担任の三芳野(みよしの)に交代して進めていきます。それでは三芳野先生、よろしくお願いします」

 副担任の三芳野先生が小さく「はい」と応えると、松居先生に代わり、教壇に上がる。

「皆さん、ご入学おめでとうございます。私から今年1年生のスケジュールについて説明します。まずはこちらのプリントを配ります。前の方は後ろに回していってください」

 一番前の席の生徒から、後ろへとプリントが回して渡されていく。全員に行き渡ったのを見届けると、三芳野先生は再び話しはじめる。

「まず、明日ですが対面式が行われます。また、部活紹介、オリエンテーション、身体測定、写真撮影が予定されています。身体測定がありますので、体操服の用意を忘れないでください。また、筆記用具も忘れないでください」

「普通の授業は明後日からとなります。時間割については、明日のオリエンテーションでお配りします」

 1日遠足や中間テスト、体育祭、一学期末テスト、夏休みと二学期の期間、文化祭、中間テスト、二学期末テスト、冬休みと三学期の期間、三学期末テスト、卒業式と退任式、春休みの期間……と説明していく。


「それでは、この後は自己紹介の時間を設けたいと思います。ただ、何を話せばいいか判らないと思うので、松居先生や私から自己紹介をしますので、参考にしてください」

「改めて、Bクラス担任の松居明良(あきよ)です。高校時代はこの学校の生徒でした。大学で教員免許を取得した後に赴任し、今年度で10年になります。担当教科は国語です。部活動ではかるた部の顧問をしています。皆さん。1年間、よろしくお願いします」

「副担任の三芳野咲桜里(さおり)です。私もこの学校の卒業生です。昨年度に教員免許を取得して大学を卒業し、本校の教師として赴任しました。あ、担当は体育です。まだ赴任してきたばかりですので、至らない事も多いですが、皆さんと一緒に頑張ります。よろしくお願いします。……それでは、出席番号1番の在原さんから、出席番号順にお願いします」

「はい」と、出席番号1番の在原と呼ばれた生徒が立ち上がる。

「在原愛海(まなみ)です。八々花女子中学校からの内部進学です。はじめましての人も、はじめましてじゃない人も、よろしくお願いします。あー……趣味は、TickTackでダンス動画を録ることです。もし良かったら登録して見てください」

「井上彩華(いろは)です。私も八々花女子中学校からの内部進学です。中学ではかるた部に所属していました。高校でもかるた部に入部するつもりでいます。松居先生、よろしくお願いします」

 松居先生が「歓迎しますよ!」と反応すると、軽く笑いが起きる。

 その後も次々と自己紹介が進んでいく。やがて菊鞠の番となった。

「皆さん、はじめまして。神酒盃(みかづき)菊鞠(ひまり)と言います。神様のお酒の盃と書いて“みかづき”、菊の鞠で“ひまり”です。むさしの市立第二中学校からの外部進学してきました。えーと……家は神社で、巫女のお手伝いをしています。あ、あとは趣味は蹴鞠です。神社にも蹴鞠保存会というのがあるので、もし興味があったら、入会してください」

 言って、着席。緊張してちょっと早口だったかも、蹴鞠保存会の話は余計だったかも……とちょっと後悔して自己嫌悪に陥る。

 そんな菊鞠の胸中は余所に、自己紹介は進んでいき、隣の席のあやめの番となった。

「八橋あやめです。京都の有名なお土産に八ッ橋がありますが、私の名字には小さい“ッ”は入りません。私も、多くの方々と同じく、八々花女子中学校からの内部進学です。外部進学の方々とは初めましてになると思います。家がお(こと)の教室をやっています。どうぞ、よろしくお願いします」

 あやめの後に2人の生徒が自己紹介をして、全員の自己紹介が終了する。

「皆さん、自己紹介ありがとうございました。1年間の中でお互いを知り、もっと仲良くなってください」

 三芳野先生が松居先生のほうを見て「他にありますか?」と尋ねると、松居先生が代わって教壇に立つ。

「何人かの生徒さんには、SNSの視聴や投稿を趣味とする方がいるようです。それ自体は否定しません。ただ、扱い方を間違えるとトラブルの原因となり、友人や学校、何よりも皆さん自身を危険に晒す可能性があります。リテラシーに鑑みた利用をお願いします」

「それでは、今日はこれで解散にします。号令は……三芳野先生、お願いします」

「はい。……起立!」

 生徒が一同に立ちあがる。

「礼!」

「ありがとうございました!」

 教員、生徒が礼をする。

「明日は、8時30分始業です。遅れないように登校してください」

 最後、三芳野のアナウンスでロングホームルームが終わり、解散となった。菊鞠はあやめと共に校門近くの母親と合流して帰宅するのであった。

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