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「変えない意志と変わる色」  作者: 揺木 わかな (ゆらき わかな)
1節

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2/18

葵


久留里(くるり)地方(ちほう)の、


ことのはタウンにある、


きららテラスの、日向(ひなた) 葵(あおい)。


そこにいられる暮(く)らしの、


やさしい寄(よ)り添(そ)いや快適(かいてき)さに、


安心(あんしん)していられる日和(ひより)の最中(さなか)、


色々(いろいろ)な何(なに)かに惹(ひ)かれていき、


落(お)ち着(つ)いた楽(たの)しい生活(せいかつ)、


繰(く)り返(かえ)していた。




帰(かえ)れる家(いえ)のある暖(あたた)かい家庭(かてい)。


部屋(へや)の中(なか)に居(い)るときに、


制作(せいさく)した歌(うた)、歌(うた)う。


いつか、ひとのこころにすんなりはいる、


ここちよいうたになるように、


制作(せいさく)していこうとして、構想練(こうそうね)る。


ゆるやかなせんりつと、


明(あか)るい性質(せいしつ)の合わせ方に、


苦悩(くのう)していた。




そんなある日のこと。



ことのはタウンの空(そら)は、


雨(あめ)の時(とき)とは異(こと)なる色(いろ)の


雲(くも)に覆(おお)われて、


花(はな)は、活(い)き活(い)きしなくなり、


しおれたりしていく。


不快(ふかい)な空気(くうき)に、暗(くら)い思想(しそう)は広(ひろ)くなり、


不安な心地になる。




空(そら)の方(ほう)へ視線(しせん)向(む)かせると、


キラキラとした何(なに)かは、


こちらへと進行(しんこう)してくる。


そして、なにかわからないそれは、


きららテラスの床(ゆか)へとおちた。




それは、小(ちい)さい証(あかし)の付(つ)いている、


平型(ひらかた)の光石(ひかりいし)。


その石(いし)から読(よ)み取(と)れたのは、


そこに込(こ)められた熱意(ねつい)の雰囲気(ふんいき)。




触(ふ)れると、昔(むかし)から知(し)り得(え)ているような、


懐(なつ)かしい音色(ねいろ)、


思考(しこう)の中(なか)に入(はい)り込(こ)む。


やさしい色(いろ)は揺(ゆ)れて、


不可解(ふかかい)な気配(けはい)に、


引(ひ)き込(こ)まれていくような感覚(かんかく)におちいるころ、


聞(き)こえてきたかすかな声(こえ)に、寄(よ)せられて行(い)く。




視界区域(しかいくいき)の範囲(はんい)広(ひろ)くなり、


辺(あた)りの確認(かくにん)すると、


認識(にんしき)したのは


何(なに)かなんて無(な)い白(しろ)い世界(せかい)。


何(なに)かのある気配(けはい)のない背景(はいけい)。




シンとしたひそやかな音(おと)のしない閑静(かんせい)さ、


いつの間(ま)にか、知(し)らない所(ところ)に居(い)た。




しかし、人(ひと)の囁(ささや)く声(こえ)は聞(き)こえてきた。


その相手(あいて)は、すこし遠くに、現(あらわ)れた。




何(なに)かよく分(わ)からないこと、話(はな)している。


聞(き)き取(と)れたのは、「歌(うた)の力(ちから)」や


「大切(たいせつ)に」とかの用句(ようく)。


なにやら、この世界(せかい)に、


不穏(ふおん)な要素(ようそ)の不可解(ふかかい)な空気(くうき)は、


広(ひろ)くなるにつれ、よくない成果(せいか)、


果(は)たしているらしい。




そのなかにひとつ、ツンとしたきらめきの、


星(ほし)のような固形(こけい)の物(もの)は、


こちらの手(て)のひらへと降(お)りてきた。




「進展(しんてん)」「お守(まも)り」のようなかすかな声(こえ)は、


止(と)まるとともに、その世界(せかい)も消(き)えた。




辺(あた)り見渡(みわた)すと、元(もと)いたところにいる。




水深(すいしん)の色(いろ)の丸(まる)い何(なに)かは、


不穏(ふおん)な空気(くうき)の気質(きしつ)の圧(あつ)、


辺(あた)りに広(ひろ)めていく。




すこしひらめいたうた、歌(うた)う。



「

ひらひら ゆらりと おちて きた


そうてい してない そのひ には


しらない ふかかい おそい くる


なにかの ひかりは なんな のか 


やさしき こころに ひかる たね

                   」



果(は)たして、これから先(さき)、


なにしていると良(い)いのか。


わからない、日向(ひなた) 葵(あおい)。




外(そと)の道(みち)歩(ある)いていると、


異質(いしつ)な何(なに)かに気(き)、付(つ)いた。


それは、かすかにゆらゆらと揺(ゆ)れる、


円(えん)のような空気(くうき)の層(そう)。


いつもの風景(ふうけい)の中(なか)、


薄(うす)くて淡(あわ)い色(いろ)の輪郭(りんかく)のある異変(いへん)。


何(なに)かの知(し)らせ、あるかのような、


ささやかな変化(へんか)。


果(は)たしてこれは、なんなのか。


気(き)になり、すこし、触(ふ)れてみた。




すると、あろうことか、吸(す)い込(こ)まれていく。


息(いき)はくるしくなり、闇(やみ)に包(つつ)まれたその時(とき)、


手(て)に持(も)つ石(いし)は反応(はんのう)した。


その石(いし)の速(はや)さに勢(いきお)いよく、


連(つ)れて行かれた先(さき)は、異界(いかい)の地(ち)。


そこに立(た)つ一人(ひとり)の女(おんな)の子(こ)は、


栄華(えいか)な衣服(いふく)に包装(ほうそう)されていた。



「

りかいの しかたは おおく ある


しらない ところへ きたよ ほら


ふかかい いろんな しそう する


ほんにち いへんの おこる ひよ


                  」


相手(あいて)はお姫様(ひめさま)のような衣服(いふく)。


高価(こうか)そうなよそおい。




そんな人(ひと)は、話(はな)しかけてきた。




?「その石(いし)、


『寄(よ)せ合(あ)い石(いし)』の『おとてらし』と言(い)うの。


音(おと)や歌(うた)と、明(あか)るい性質(せいしつ)、探知(たんち)して


特定(とくてい)の何(なに)かと、引(ひ)きわせるのよ。


ここに来(こ)れたのは、運(うん)の良(い)いこと。


ここの明(あか)るさに、


引(ひ)き寄(よ)せられたのね。」




葵「………………。」




?「それなら、話(はなし)は簡単(かんたん)。


あなたのいたところの、


よくない気質(きしつ)は強(つよ)い反応(はんのう)、示(しめ)してる、


ということなの。」




葵「というと?」




?「その石(いし)、よくない気質(きしつ)のこと、


遠(とお)くしてくれるのよ。


『お守(まも)り石(いし)』、といわれていてね。


たいせつななにかのこと、たからとして、


守(まも)ろうとしてくれるの。」




葵「これ、おちてきたやつ。」




?「今(いま)は、あなたに必要(ひつよう)みたい。


それ、大切(たいせつ)にしておいて。」




葵「……。」




?「よくない気質(きしつ)の、様子(ようす)は?


なにか気(き)になることある?」




葵「特(とく)に…ない。


捜索(そうさく)してないし、分(わ)からない。」




?「それなら、平気(へいき)ね。


何(なに)かに困難(こんなん)あるようなら、おしえて。」




葵「よくない気質(きしつ)には、


なにしたら良(い)い?


良(よ)い方(ほう)へ、変(か)えるには、必要(ひつよう)なこと、ある?」




?「そうね…楽(たの)しくしていたら、


そのよくない変化(へんか)、遠(とお)くなるかな。


よい気質(きしつ)は、


明(あか)るい方(ほう)へ引(ひ)き寄(よ)せられるのよ。


あなた…楽(たの)しくしていたらいいわ?」




葵「……楽(たの)しく……?」




?「あとは、いのりのちから、信用(しんよう)することよ。」




葵「……いのりのちから……?」




?「再会(さいかい)するといいわね」




その一言(ひとこと)の後(あと)、


その相手(あいて)は消(き)えて、


いつの間(ま)にか、


輪郭(りんかく)のある異変(いへん)の前(まえ)にいた。




なにかなんてわからないまま、帰宅(きたく)して、


かわりないこと確認(かくにん)した。


これから先(さき)、なにか起(お)こるようなら、


何(なに)かしらの対応(たいおう)しないといけない。


今回(こんかい)は、なにもなくて少(すこ)し安心(あんしん)。


そうして一日(いちにち)は経過(けいか)した。


ーーーーーー



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― 新着の感想 ―
うん、良い感じに童話だ。 物語だけでなく、文章も優しさに満ちてますね!
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