「援護射撃なんて優しいものじゃないよ、言うならば友情のフレンドリーファイアってやつかな?」
国立魔法学院 第九魔術学習施設 シャコガイルへ受験を受けに来たダイヤモンドブリザード、ラキオレヴィオン、バウアー・ボウダンロウ、リズ・アルベール四名は無事一次試験を突破した。
第二次試験が開始されしばらくたったころ、リズアルベールとラキオレヴィオンの戦いが始まった。
リズアルベールは頭の中で今展開されている魔術を整理する。まず最初に展開された、造形魔術もしくは召喚魔術であろう「水属性第六魔層龍宗鑑チェンジザ」おそらくはこれが無料詠唱のかなめとなっている。これだけでもかなり厄介無料詠唱も面倒だが、魔層魔装のない単純な魔力強化のみのリズアルベールならば吹き飛ばせるほどの単純な膂力手早くつぶしたいが簡単にはいかないであろうとリズは予想する。次に一つ目の無料詠唱によって展開されたルールを持った魔術「無料詠唱六奇怪四〜土を割る逆瀧」これの魔術効果の詳細はわからないが、クジラに対して殺意を持った瞬間体に力が入らなくなった。これは、精神干渉形の魔術の類もしくは、物理的な干渉を止める効果を持ったルールを持つ魔術。前者だとして後者だとしても魔力の消費量はおそらく半端じゃない。これを踏み倒せるということは、もはや何でもありだ。
そして二つ目「無料詠唱、本日のラッキーナンバー宣言4対象リズアルベール」これに関しては詠唱時の開示情報量が多すぎて逆に細かい能力についての考察がしにくい、宣言が必要とはいえリズの魔層魔装を完全に機能停止まで追いやっている。この数字に関してはリズの使う魔術の魔層なのではないかとリズは今考えている。
そして三つ目のルールを持つ魔術「無料詠唱水属性第五魔層 常在魔術蓄積された魔力の縛り」これはリズの考察では指定されたテンポの意識を飛ばす魔術おそらく今回は偶数の数に指定されている。正確には意識を飛ばしているわけではなく指定されたテンポで魔術対象内の魔力を一瞬縛る、そうすることによって魔力操作と運動神経にずれを生み時間が飛ぶように錯覚させる魔術。リズにとって考察できるのはこんなところだろうか
「君の目に映る星空は綺麗かな?」リズアルベールはゆったりと背後に浮かぶ星空をバックにその星空に向かって親指を向けながらラキオレヴィオンに聞いた。
「少し安っぽいなでもどことなく懐かしい、、、」ラキオは言葉の通りリズアルベールとの過去を少し思い出しながらノスタルジーにその青空に浮かんだ奇妙な星空を見ていた。
「安っぽいか確かにね、でもそれぐらいがあたしたちにとっては悪くないんじゃないかなって気もするんだ、、」リズは笑顔で言った。
リズアルベールはラキオレヴィオンの目をじっと見つめる。「君の瞳の奥に映るマバユキ星空は綺麗だよ」まるで痛々しく青いポエムみたいにリズは言った。
「そっか、、」ラキオは後の言葉が続かなかった。ラキオが見つめる星々からまるで流れ星のような何かが飛んでくる。それは近づいて来るうちになんとなくだが輪郭がはっきりとしていく、それは銃弾のようだそうラキオは思った。
「援護射撃ってやつかな?」ラキオは言った。ラキオは争いというものが戦いというものがいさかいというものが非効率的ではたから見れば大抵がつまらないものなのだということを知っていた。でもこれから起こることに対するラキオの心臓の鼓動はそれを知らない。ただただビートを速めていく。心臓というのは歌に似ているとラキオはその時にふと思った。誰もが演奏できるのだけれど、だれもその音の正解を知らない。
「援護射撃なんて優しいものじゃないよ、言うならば友情のフレンドリーファイアってやつかな?」リズは今日一番の笑顔を戦闘で汚した服と顔のまま言った。ラキオはそれがまたきれいだと思った。段々と銃弾は大きくなっていく。
「それは無常だね、、、」ラキオが笑顔で返したその瞬間その銃弾はリズアルベールの後頭部を打ち抜く。
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これがカイバ真悠の言っていた施しであることはリズアルベールにはわかっていた。わかっていたからこそカイバの手はあまり借りたくはなかった、自分自身の力でラキオのこともエリザベスアルベールのことも何とかしたかった。でもどうにもならないことは仕方がない。そういう割り切りのようなものがリズは意外と得意だった。ラキオよりも自身のあった数少ない自分自身の長所だと自覚している。
リズアルベールは銃弾に撃ち抜かれた瞬間体の力が一瞬ふわりと抜けたそして何かわからない得体のしれない魔力のような何かが自分の体からあふれてくるのを感じる。今のリズアルベールには殺意というものがなかった。怒りというものがなかった。強さというものがなかった。だがそれらはどうでもよかった。ただただこの時間が続くのならただそれだけでリズはもう何でもいいと思えた。
「始めよう」リズは言った。




