第3話
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レオン・イナヴァ
年齢:17
性別:男性
スキル≪天啓≫
ランダムで謎の言葉が口から出る。
内容が正しいとは限らない。
ただし、無視するとスキルの機嫌が悪くなり、所有者に不快感を与えることがある。
神の言葉か、悪魔のささやきか、それとも……
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「やっぱりとんだクソスキルだよ!これ!!」
レオンは、鑑定結果を書いたメモを床に叩きつけながら憤慨した。
10年ぶり2度目である。
鑑定自体は何のトラブルもなく行われた。内容をメモに書き写すのに多少時間がかかった程度だ。やはりスキル持ちに対する鑑定は情報量が多いのだろう。
そして、その内容はレオンが七歳の時に見た鑑定書と寸分違わぬものだった。鑑定の魔道具、その実力が証明された形だ。目的は果たせたが、レオン自身は己のスキルがあまりにもクソすぎると改めて突き付けられたためちょっとムカッときていた。頭に血が上り、鼻がツンとする感覚がますます鬱陶しい。
「なんというか、あえて悪いことしか書いてない気すらしますね……」
エドガーは床に落ちたメモを拾い、ほこりを払ってからレオンへと再び渡した。でも、そこまで酷いスキルだっただろうかとエドガーは考えていた。
レオン自身にとってはともかく、≪天啓≫がイナヴァ家に富をもたらしてきたことは事実だったからだ。
「まあ、たしかに書かれているほど悪いことばかりじゃ――ん?裏にも続きが……?」
レオンは裏面にも記載があるのに気が付き、慌てて目を通す。
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レオンは今年で十七歳になる。
容姿は平凡。
知識も、運動能力も、特別優れているわけではない。
両親の愛情をしっかり受けて育ったため人の好さがにじみ出ている。
はっきり言ってしまえば、すこしぽっちゃりした男子である。
面倒くさがりの父親のせいで、イナヴァ家の所有している商会の仕事も多く任されており、同年代の子息よりも社会経験は多く積んでいた。
なお、社会経験は積んでも女性のことはさっぱりである。
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「こ、これも鑑定の魔道具の力なのか?だとしたら――」
そこには、あまりにも詳細なレオンの情報が書かれていた。近しい関係の者しか知りえないはずの情報。鑑定の域を超えた内容がそこには含まれていた。女性については余計なお世話だと思ったがエドガーの性別にも気が付かなかったのだ。何を言われてもしょうがない――
そう思ったところでレオンはその性能に背筋が冷たくなった。エドガーを鑑定した時には出なかった情報だ、なぜ自分の時だけ?自分がスキル持ちだから出たのか?
それよりも、こんな個人的な情報までが分かってしまうとしたら、それは――
「――あ、その部分は私の所感です」
「紛らわしいことをするな、エドガー!!」
従者エドガー、時々アホなことをするのがたまにキズだ。
いや、女性だと思ったら、急に可愛らしく――と余計な思考になりそうだったのでレオンは再度頭を振って切り替える。
「ところでレオン様……」
「なんだ、エドガー」
「いえ、3秒で鑑定が終わるのであれば、さらに長時間続けたら何か出てこないかと、ふと思いまして」
「何かってなんだよ」
「例えば……スキルの隠された力とか?」
急に真面目な顔に戻るエドガー。
ありうるかもしれない。レオンはそう思った。そもそも、鑑定というのは時間を掛ければ掛けるほど精度が上がり、見えなかったものが見えるようになるものだ。
そして、自分のスキル≪天啓≫には色々と不可解なところが多いのも事実だ。
鑑定結果だけ見ると≪天啓≫はデメリットしかないスキルに見える。だが、実の所、イナヴァ家に現在の繁栄があるのは≪天啓≫によるところが大きかった。未知の物品、とても発想しえないような商品の情報を伝えてくることがあるのだ。≪天啓≫は「定番チート知識」などと言っていたが、朝食に出たマヨネーズもその一つだった。
「実はさっきから鑑定を続けたままにしてあるんです」
鑑定を始めてからどれくらいが経っただろうか。三秒で数日分、それなら一分でも数か月分にもなる計算だ。
「それで、何か見えてきたか?」
「……何も出てきませんね」
少しだけホッとするレオン。
「そりゃ、そんなのでスキルの隠し情報が分かったら苦労は――」
「いや、これも鑑定に許可が必要なのかもしれませんね。レオン様、スキル≪天啓≫の鑑定を行ってもよろしいですか」
だが、それに被せるようにエドガーがスキルを鑑定する許可を求めてきた。たしかに、魔道具の開発者がそのような安全対策を施して隠し機能をつけている可能性はある。
まあ、何も起きなくて元々だし、鑑定してヒドイことにはならないだろう。そうレオンは判断すると――
「分かった、エドガー、【鑑定を許――あばばばばb!!!!!」
「うわっ!?」―パキンッ
だが、許可を出そうとした瞬間、レオンの身体はとんでもない衝撃に包まれた。
時を同じくして、エドガーが持つ鑑定の魔道具も音を立てて真っ二つに。
白目をむき、身体を痙攣させて床に倒れるレオン。
「レオン様、レオン様ーーーー!!!!」
エドガーの叫びをうっすらと聞きながら、レオンの意識は闇に落ちていった。
*****
「きみのそのスキル――」
「――いったい、どこからつながってるの?」
これはレオン、七歳の時の記憶。
鑑定士見習いの少女は、突然不可解なことを言い始めた。
「え?どこから?つながる?ってなに!?」
「スキルは神様がくれたものじゃないんだよ。ううん、神様がくれたものはスキルって呼ばれないの」
「むつかしいことは、よくわからないや」
「戦う力だけが不自然にそぎ落とされてるんだって。でも≪スキル≫たちは――」
*****
「また少し、思い出した……のか」
「――レオン様!ご無事ですか!?」
あの子は確かに鑑定スキルを持っていた。
そして、他の鑑定士では見えないものが見えていた。
床に手をつき立ち上がろうとするレオン。
体にしびれが残っていたが大きな支障は無い。じきに治るだろう。
視界の端には、壊れた鑑定の魔道具が見える。
やはり、あの衝撃も、魔道具が破壊されたのも≪天啓≫が引き起こしたことなのだろうか。
だとしたら、このスキルは――
「エドガー、スキルがどこかにつながってるとしたらどこだと思う?」
「つながる?スキルがですか?ええと、別の世界とかあの世とかじゃないですか?というか、またそんな訳の分からないことを言い出すなんて、天啓ですか?それともさっきので遂に頭が――」
エドガーが身を案じて騒いでいるが、レオンはそれどころではなかった。
今まで疑問に思わなかったことが、色々と気になってくる。
だが、ただ一つ言えることは――
「鑑定スキルを持つ者を100人集めれば、何かが分かるかもしれない」
今はただ、それだけだった。
とりあえず3話まで投稿しましたが続きを書くかは未定です。
読んでいただきありがとうございました。
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