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なんか音がするな……

 俺の家のダンジョンでは普段、扉を開けた先には草原が広がっている。が、稀に扉が草原に繋がらないことがある。

 

 では、どこにつながるのか。

 

 リザさんいわく俺の家のダンジョンは少し特殊らしく、稀に時空が歪む?ことで世界のどこかのダンジョンのどこかの階層に繋がるらしい。

 魔力濃度?でつながった先のダンジョンがどのレベルのダンジョンなのかわかるらしい。が、なぜか俺には魔力の濃度の違いはよくわからない。

 

 ただ俺の家のダンジョンは俺やペットでも自由に出歩けるし、草原から始まるということは俺の家のダンジョンは難易度が低そうだ。

 最初これを聞いた時これがもし繋がった先が難易度S級のダンジョンとかだったらどうなるのだろうかと不安に思った。


 だからこそそれを教えてもらった時は『もしランダムで繋がった時、そこが家のダンジョンのレベルより高かったら危ないかも』と聞いたが、リザさんいわく俺なら大丈夫なんだとか。

 どうやらこういうのは自分のダンジョンよりレベルが低いところにしか繋がらないらしい。

 それなら安心である。


 だからこそ俺たちはランダムデーを遠出のピクニック的な感覚で楽しんでいる。



「今日も洞窟か、でもなんとなく初めての場所な気がするな」


 俺の家のダンジョンの扉から繋がった先は洞窟系ダンジョンの入り口だった。あたりを見渡すと高さ横幅ともに5mくらいあるんじゃないだろうか。そんな広さの洞窟が奥に広がっている。

 

 ダンジョンは入ったところから順に上層、中層、下層……さらに深層、超深層と分けられているらしい。またそのダンジョンがどの層まであるのかはランダムらしい。


 そして俺たちは今上層にいるわけである。今まで約2年間ほどダンジョンを散歩していて20回ほどランダムデーに出くわしたことがあるが、どのダンジョンもそれぞれに特色があって尚且つ広い。

 上層の時点でこんなに千差万別なのだ。それを知った今、家の草原ダンジョンもっと下の階層も気になってはいるのだがなるがまだ怖くて2階層以降まだ足を踏み出せていない。


「バウッ!」

「おっとっと、悪い悪い考え事してた」


 ダンジョンについていろいろ考えていると痺れを切らしたイッヌのリルに『はやくさんぽしたい!』と言わんばかりに袖を引っ張られてしまった。ヌッコのハクの方を見るともうすでに10mほど先まで進んで俺のことを待っている。


「悪い悪い、よし、改めて散歩へレッツゴー!」

「ワフッ!」

「ニャッ!」


 そうしてハクに追いついた俺たちは気を取り直して散歩を始めるのだった。



♢♢♢



「あーあー、リザさん聞こえてますか?」


〝聞こえてるわよ♪〟

 

 そう俺がカメラに問いかけるとリザさんがコメントで答えてくれる。リザさんはいつも最初だけ配信を見て音がちゃんとでてるか、不具合がないかの確認をしてくれる。


〝私は外にお買い物に行ってくるわね~〟


「いってらしゃ~い」


 そうして俺はカメラに向かって手を振る。


 街の人には言ってないが、リザさんも実はダンジョン内で出会った人だ。

 そもそもリザさんの場合人と言えるのだろうか?まぁそれはどうでもいいのだが……


 そんなリザさんは俺とは対象に人間社会に興味津々である。そのため普段、特に俺たちが家にいない間は街に出向いて買い物したり冒険したりしている。

 出会った頃のリザさんはあんなに荒れていたのに、今は世話のいい姉のような存在となっている……本当に丸くなったと思う。


「ワフワフッ!」

「よしよしわかってるから、フフッ」


 今週2度目のランダムデーに興奮しているリルに『はやくはやく!』と背中を鼻で押される。


 あぁ、丸くなったと言えばリルもそうだな……


 リルも出会った時はリザさんよりも警戒されていた。あんなに小さかったのにすごい力だったなぁ、仲良くなるまで沢山ケガをしたのを覚えてる。

 それが今では俺よりも大きくなって……!


「わう?」


 そうしてたった2年前の出来事をまるではるか昔のことのように思い出しながらリルを見つめていると、それを不思議に思ったリルが首をかしげながら『どうしたの?』と聞いてきた。

 可愛さは2年前からずっと変わらないなぁ~


「フフッ、なんでもないよ、それじゃあいこうか♪」


 そんなリルの真っ白のふわふわな毛並みをした頭をなでなでした俺は洞窟の奥へと進んでゆく。



♢♢♢


キンッ――――


――――ッ!?


「今の……」

「ニャッ!」

「バウッ!」

「リルとハクも感じたか、今のは……?」


 ランダムデーに会った時、たまにモンスター同士の喧嘩による衝撃音がする時がある。ただ、今回は今まで聞いたことのない、金属のような音がした。

 モンスターによっては鉄のように硬いやつもいるが、だとしても今の音は特徴的すぎる。


 普通、ダンジョンの入り口に繋がったのならそこで出入りする人と会うと思うのだが……俺たちが入るダンジョンがたまたま過疎地にあるのか、はたまた別の理由があるのかはわからないが、今までランダムデーで人に会ったことがない。

 今までのランダムデー役20回、人に出会わな過ぎて俺たちが行くダンジョンは何らかの理由で無人なのかと無意識に確定づけていた。


 

 これはもしかして……


「……人がいるのか?」


 もし、もしそうだとしたら……



 リルとハクにとって良い出会いになるかもしれない!


 そう思ってリルとハクの方を見るとどうやらこの子たちもまだ体験したことのないはじめての出来事が起こるかもしれないとわくわくしている様子である。

 リルなんてしっぽを振りすぎて強風が吹き始めた。


ゴクッ――――


 この2年で初めての出来事に心を躍らせる。心臓のドキドキが聞こえ始めてきた。こんなに未知に対してワクワクし始めるとは……俺もダンジョンに染まってきたのかもな……


「よし、行くか」


 そうして俺たちは新たなダンジョンの秘密に出会えるかもしれないことに胸を躍らせ、急ぎ足で奥へと向かうのだった。 

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