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第35話 実技試験。

フリッツがモニカと急いで戻ると、語学の先生がまだ部屋でお茶を飲んでいた。

殿下の命令で、と、事の次第を説明してモニカに講義を受けさせる。


初日。語学。イリア語、フルール語。

午後から始まった講義が、古語に差し掛かった頃、ふらりと殿下が見学に来た。部屋の隅で椅子に座って眺めている。モニカは楽し気に先生と話し込んでいる。


『香園に佇む我に』

と、殿下が言い出した。またか…。好きだなあ、モニカに絡むの。

『夜霧が告げる 貴方の華を』


…花が(女の子)いっぱいで選べないなあ…好きな花(女)選べば?ぐらいだろうか。


2日目。歴史と地理。

さすがに辺境伯家のお嬢さんだけあって、歴史もそのつながりも、地理も詳しい。

講師とモニカが、意見の対立があったらしく、議論になっている。

ここにいいタイミングで殿下が見学に来て、仲を取り持った。歴史は特に、どの角度で見るかによって考え方もとらえ方も違ってくる。講師と臆せず渡り合えるのはなかなかだな。


3日目。教養。

文学や政治経済。科学や情報…。芸術、美術に至るまで。

よく理解できないところは先生に突っ込んで質問している。難しい言葉を使いがちな先生をより簡単な理解しやすい言葉でやり込めている。他国の情報にも明るい。


4日目。マナー。

お昼ご飯にフルコースを頂く。

モニカちゃんと一緒に俺もご馳走になろうと思っていたら、どうしたことか殿下が飛び入り参加し、同席されている。あまり他所で他人と食事を一緒に取られたりしない方なので…驚く。

殿下が入ってきたときのモニカのしたお辞儀も完璧だ。

銀器の扱いも問題ないし、食べ方もゆっくりで優雅だ。


食後にはモニカが殿下にお茶を入れる。ついでに作法の先生にもお出しして、俺も貰った。みんなで一息つきながらお菓子を頂く。美味しいお茶だった。


5日目。ダンス。

モニカが”耐久レースのようだ”と例えたダンス。

楽士が奏でる音楽に、ノリノリでモニカが講師と踊っている。俺も誘われてモニカの手を取った。講師は侍女と踊っている。


…久しぶりに踊ったが…楽しい。


はっと気が付くと、いつの間に来たのか、壁にもたれて殿下が物凄く不機嫌な顔でモニカと踊る俺を睨みつけている。おやおや…何事も顔に出さなかったお方でしたが…最近とみに素直になられましたね…。


殿下は…踊りたいのか?踊る気なのか?


ドキドキしながら見ていると…気が付いたモニカが、にっこりわらって殿下の手を取る。曲はクーラント。

ワルツまで踊った。驚いたことに、殿下の無茶ぶりに、体をそらすフーの体幹の良さに感心する。いや…殿下も凄いけどね…。残念なことにフーは近衛の制服姿だ。ドレスを着させれば良かった。


二人が踊っているのを、俺も侍女も講師も微笑ましく眺める。こっそりイルマさんものぞき込んでいる。


…もう、やっぱり…この子でよくないか?


王太后陛下はモニカの何がお気に召さないんだろう?















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