表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/44

第23話 四つ葉のクローバー。

「ああ、えー…モニカ?」

「何でしょう、殿下」


指示書の清書をしていたモニカが、顔をあげる。

驚くことにモニカは…読める字になった。いや、普通の字になった。

毎晩練習してたもんなあ…。


「その…今朝、たまたま見たんだが…レオと散歩していたな?」

「え?はい。飼育係の方に許可は取りましたが?」

「あ、そうじゃなくて…ベルト…」

「ああ、」


モニカによると、自領で軍用犬として使っている犬は引退すると大体、その犬の担当だった人がもらい受けるのだそうだ。老後はのんびりと暮らすらしいが、大型犬は足腰が弱りやすい。散歩に行きたいが、いけなくなってしまう。


「それで、ベルトでほんのちょっと持ち上げて助けてあげると、まだまだ歩けるんです。散歩は楽しいですからね。」


なるほど。


「そうか。レオは母の犬なんだ。ありがとう。」

「いえ。係の人にも使い方を教えたので、レオ君もまだまだ散歩に行けますね」

「ベルト代もかかっただろう?僕が出すよ?」

「え?」


モニカが…僕をものすごくめんどくさいものを見るような顔で見る。


「結構です」


黙って見ていたラルフが、そっと視線を外す。



*****


モニカが勤務後にイルマに刺繡を習っているらしい。


(今度は何を始めるんだろう?)


そう思ったが、イルマに聞いても教えてもらえない。

「まあ、楽しみに待っていらっしゃいませ。モニカちゃん、なかなか上手ですよ?」

と言って笑っている。



「エリク君。11月はエリーアス殿下のお誕生会とかがあって忙しくなってしまいそうだから、少し早いけど、これ!お誕生日おめでとう!」


と、次にモニカと会った時に、貸していたハンカチと一緒に、お誕生日プレゼントをもらった。結構デカい包み。

「開けてみてもいい?」

「いいよ!」


にこにこしながら横でモニカが見守る中、そっと包み紙を開ける。



***


「なんですか?殿下、それ?」

イルマの代わりに僕を起こしに来たフリッツが、僕が抱きしめて寝ていたクッションを見て、複雑そうな顔をする。


そのクッションには、象を飲み込んだ大きな蛇のような…短い足はあるけど…。

そいつがにっこり笑っている。

長めの首には、幸せの象徴の四つ葉のクローバーが巻き付いている。


「…スヴェン湖の竜、だな。」


僕がそう言うと、フリッツが涙を流して大笑いした。失礼な奴だ。



僕とモニカにしかわからないことだ。


100年、幸せに暮らすんだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ