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秘密の先の異世界で  作者: 橘可憐


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聖女騒動6


およそ冒険者らしくない葵と雪永を前にカウンターに立つ職員の男性は呆気にとられていた。


「買い取って欲しい魔物の素材が多数あるのですがこちらでよろしいでしょうか?」


雪永のとても綺麗な姿勢があまりにも周りの雰囲気と不釣り合い過ぎたのか、それとも職員と雪永のやり取りに興味を持ったのか、注目されていたざわめきが一瞬でシーンとなる。


「解体などはお済みでしょうか?」


「勿論です」


「でしたらこちらでもお伺いします。査定をさせていただきましょう」


職員の対応がとても丁寧なので、葵は取り敢えず安心した。


「お嬢様折角このような大きなギルドですからこの際買い取っていただけるだけ引き取っていただきましょう」


「それはいいけど・・・」


本当に全部ここで出していいの? あの深層の森の魔物もかなりの数あるよ? トルンバの時のような騒ぎになったりしない?

確認したい事は沢山あったが、ニッコリと微笑む雪永に葵はそれ以上口にする事はできなかった。


「それでは先に冒険者カードを確認させていただいても?」


「私達は他国から来たばかりなので、カードも他国で登録したものですがよろしいですか?」


「構いませんよ。冒険者カードはどの国も共通ですから」


職員は一見冒険者には見えない葵と雪永を貴族とでも判断しての丁寧な応対だったのか、他国の冒険者カードを持っていると聞いて一瞬眉を顰めた。

それもほんの一瞬だったので他の人達は気づかなかっただろうが、大人の顔色を見て育った葵は見逃さなかった。


(もしかしてこの人貴族が気まぐれのお遊びで来たとでも思ってるのかしら)


葵はそう判断するとなんだか侮られたような気がして悔しくなり、もう遠慮する事も無いかと雪永の言うとおりにアイテムボックスから次々と魔物の素材を出していく。

職員はそれを一通り確認しながら足下に置いた木箱に詰めていき、木箱がいっぱいになったところで待ったがかかった。


「まだあるのですか?」


「まだまだありますが」


「そんな容量のマジックバックなど聞いたことがありません」


「私のは普通のマジックバックではありませんから」


葵はカウンターからは見づらい空間から取り出しているのを、職員はマジックバックから取り出していると勘違いしていたらしい。


「・・・・・・」


今度は取り繕うこと無く職員が呆気にとられた。しかしアイテムボックスの説明をする気は葵には無かった。


「それでこのまま出しても構わないんですよね?」


「しょ、少々お待ちください。一度預かり証を発行しますので」


そう言うと職員は木箱のナンバーを記入した預かり証を発行するとそれを葵に渡し、木箱は衝立の後ろへと運ばれた。裏で素材の鑑定をし買い取り価格を決めるらしい。


新たな木箱が運ばれてきたところで葵はまたアイテムボックスから次々と素材を取り出していく。

その作業が五度目を超えたところで始めに渡した素材の鑑定が終わったらしく、裏で作業をしていたらしい職員が顔を青くしながら現れ目の前の職員に何かを耳打ちした。


「なっ・・・。そんな馬鹿な・・・・・・。あ、あり得ない」


耳打ちされながら同じくどんどん顔色を青くし呟く職員に葵はフフンとおもいっきりドヤ顔をして見せる。


最初に渡した素材はあの魔界の森改め深層の森で仕留めたドラゴンとベヒモスだ。多分この国の冒険者でもたどり着けていないだろう場所に居た魔物達だ。


目の前の職員は見たことも無い魔物素材だとは思いながらも、まさかドラゴンやベヒモスとは分からなかったのだろうが、裏で鑑定されたとしたら疑いようのない事実。


しかし目の前の職員の表情は、屈強な冒険者には到底見えない葵や雪永で倒せる訳もないと考えているのが丸わかりだった。


「聞かれる前に言っておきますが、これらすべては私達二人であの深層の森で倒した魔物です。他の人の手も借りていませんし誰かから買い取ったなんて事もありませんから」


「そ・・・」


そんな事考えていないとでも言いたかったのか、『そ』と呟いたまま職員は黙ってしまう。


「あっ、そうそう、そうだ忘れてた。深層の森で白骨死体を多数見つけ、死体はその場に葬り身に着けていた物などは一応持ってきたのですが、それらはどうしたら良いですか?」


「な・・・」


何だろうこの人さっきから一文字しか口にできない病気にでも掛かったのだろうか?


「権利としては見つけた者の物になりますが、一応確認させていただけますか?」


「良いけど、先に素材を全部出してしまいたいのだけど」


「あ、そ、そ、そうですね」


葵はアイテムボックスから素材を取り出す作業を再開させ、木箱が十を超えた時にまた待ったがかかった。


「まだあるのですか?」


「ええ、だからまだまだあると言ってるじゃないですか」


職員はゴクリと唾を飲み込むと、恐る恐ると言った雰囲気で「あとどのくらい」と聞いて来る。


「そうですね私は後その木箱で五十は超えそうです。魔石もありますし。雪永はどのくらい持ってる?」


アイテムボックスは葵だけが持っているものではない。しかし雪永の場合解体ができないので数は少ないが、姿を確認したいと言われた時の事も考えて敢えて解体しないままで収納してある。


「私のは解体の済んでいないのがそれぞれ3体ずつですが、同じくこの場にお出ししてもよろしいのでしょうか?」


「なっ・・・」


「きっと皆さんご覧になった事のない魔物ではないかと思いましてね。敢えて解体せずに持っているのですがどういたしましょう?」


不適に笑う雪永に職員は言葉も出せないようだった。

そして結局買い取り作業は中断され、何故かギルド長の部屋へ移動するように要請されたのだった。



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首都の冒険者ギルドは慌てず騒がず落ち着いた対応。聖女様はどんな感じかな
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