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僕と俺の目指すモノ  作者: しょう
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第8話 冒険者の等級

 フィロス様の家に到着した。

 貴族や豪商のように大きな屋敷に住んでいるのかなと想像していましたが、なんてことはない普通の一軒家だった。

 僕からすれば、屋根があって隙間風が吹かない家というだけで贅沢と言えるが……。


 フィロス様に屋敷のような大きな家に住まない理由を聞くと、


「貯蓄などの必要な金以外は孤児院に寄付しているからな。それに、自分以外の人が部屋を片付けるのが気になってしまうんだよ。だから、一人でなんでも出来るぐらいの大きさの家が良かったんだ」


 と言った。

 確かに一人で住む分には十分な大きさに見える。


「なるほど……」


 納得すると同時に、ふと、僕はどこに住めばいいのだろう。と思うと、フィロス様が言った。


「あぁ、ウィンは私の部屋の隣に客間を用意してあるから、そこで生活してくれ。荷物はないようだから、生活に必要な物は今から揃えよう。部屋の場所が確認できたら買い物に行くぞ」

「わかりました」




 部屋の確認も終わり、生活に必要な物も買い揃え、フィロス様の家に戻った。

 

 寝具や料理に必要な物はフィロス様の家にあらかじめ用意されていたので、僕の必要な物は衣服ということになった。

 どういったものが良いのか分からない僕は、フィロス様に任せてしまうことになった。

 フィロス様の奴隷だというのに情けない気分になったが、これから僕が必要だと思ってもらえるように頑張らなければ、と決意を改にした。


 全ての用事が終わったのは、日も傾き空が朱色に染まったころだった。

 家に帰る途中でフィロス様は言った。

「明日からは冒険者として活動するために冒険者登録をしようと思う」

「はい」

「そこで、だ。まず冒険者について教えておこうと思う。ウィンも分かっていると思うが、冒険者には等級というものがある」


 僕はとりあえず覚えている単語を口にする。


「はい、上級冒険者とかいうものですね」

「そうだ、私の階級が上級というのは教えたな。冒険者には他にも初級、中級という階級がある」

「あの……、フィロス様、特級というのはないのですか?」

「ああ、特級という階級はあるが、ほぼ確実になれないと思ってもらっていい。特級になるには、絶望的なほどの数のスタンピードに挑戦して、生還してこなければならないからな」


 ふと僕は疑問に思う。

 絶望的というからには、余程の大群に挑戦するのだろうが、誰が特級を決めているのだろうか、と。

 

「ウィンよ。誰が特級を決めているのか考えているだろうが、特級は同じ特級の冒険者が指名するんだよ。そして、ギルドの上層部が決定を下す。まあ、指名されること自体が数年ないがな。それよりも、だ。ウィン、どうやったら、階級が上がるかは知っているか?」

「いえ、知らないです」

「階級はな、採取階級と討伐階級という階級に細かく分かれるんだよ。例えば、採取が初級で討伐が初級だと、その冒険者の階級は初級になる。他に、採取が初級で討伐が中級だと、その者は中級冒険者になる。だが、採取が初級で討伐が上級でも階級は中級になる」


 例えを聞いて、僕は階級の制度がよく分からなくなる。

 その様子がフィロス様にも伝わったようで、今度は丁寧に教えてくれた。


「冒険者は通常、討伐と採取のどちらかの高い方を名乗れるんだが、片方の階級が初級だといつまで経っても中級冒険者を名乗ることになっている。つまり、冒険者は何でも屋だが、採取討伐ともにある程度の実力がないと上級を名乗れないんだよ」

「そうなんですね! では、フィロス様は討伐が上級なんですか?」

「そうだな。私は採取があまり得意ではないからな」

「それでも中級なんですよね?」

「ああ、そうだ。ただ、採取で中級になるのは難しくないぞ」

「そうなんですか? それはなぜです?」


 中級、上級になる条件は分からないが、採取の中級が簡単だという理由が気になった。

 だからか、素直に質問できた。


「冒険者になろうと思う者の多くは腕っぷしに自信があるものが多い。だから、採取の中級の条件は簡単なんだ。と言っても、採取はある程度の座学を受けるために文字を覚えるところから始めるからな。人によっては中級までになかなかに時間がかかったりする」

「僕は時間かかるかもですね……」

「話をしている様子から言うと、ウィンは賢そうだがな」

「ありがとうございます!」


 これまでに褒められることなどなかったからか、フィロス様に一言褒められるだけでとても嬉しくなった。

 フィロス様の家が見えてきたころに、フィロス様は言った。


「明日、登録をしたら、ウィンの武器を選んでもらうからな。その後は、軽く身体能力を見させてもらう。だが、本格的な訓練はまだしない」

「それはなぜですか?」

「それはもちろん、ウィンの身体に充分な肉がついてないからだ。今、訓練を施しても逆効果になる。だから、しばらくは座学だ」

「うっ……、はい!」


 勉学を経験したことない自分が上手くできるか不安だったが、これも奴隷から脱却するためと気合を入れ返事をした。

 そうして、フィロス様の家に着き、初めての温かい食事や初めての柔らかい寝床に感激して、いつの間にかぐっすりと寝ていた。


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