1-エピローグ
私は怒っている。
「何で! ゴーちんが! 私よりも! 先に! ココに! いるの!」
ゴエモンはしれっとした顔でガーデンテーブルにご馳走を運んで来て並べている。
「まあ、食事は大事だしな」
久しぶりなのにつれないなあ。相変わらずと言えば相変わらずか……。
おじょうさまの魔法がちょっと上達して、私たちを呼び出すことができたらしい。
「ライムが来てくれて、一緒に修行したのよ!」
えへんっと得意気にする彼女が可愛らしい。
そのライムはと言えば、木の陰からこちらをうかがっている。
「だ、ダッテ、ソルトがクッキー食べたいッテ言うから仕方なくダカラ!」
はいはい、そうだね、仕方なくだよね。
こっちおいでよ。ツインテール、似合ってるよ!
「魔法、まだまだ完璧ではないけど、早く会いたかったから……」
照れるおじょうさま。
感極まる私。
「おじょうさまーっ……!」
ぶはっ、とゴエモンが可笑しそうに笑う。
「そうそれそれ。お前がいないと、静かすぎてタイクツだったぜ」
突然のデレ。なーんだ、やっぱり私がいなくて寂しかったんじゃん、と頬をつつくとその指に噛みつかれた。愛が痛い。
私も皆に話したい事あるよ! 将来は服に関するお仕事するって決めたんだから!
とりあえず食べながら……アレ? 何か……何だろう?
違和感の正体はすぐに分かった。
テーブルが大きくなっている。椅子も四脚に増えている。
私の目線に気付くと、おじょうさまは頬を赤くして言った。
「もうひとりぼっちじゃないから……」
「おじょうさまあぁ……」
再び感極まる私。
たまらず、おじょうさまに抱きつき、そのまま勢いにまかせて頬にチュー。
……あっ、しまった、皆いるんだった。
ゴエモンが目を点にしている。口開いてるよ?
ライムは真っ赤な顔を手で覆い(指の隙間から目が見えている)、ソルトはネズミみたいに鳴いた。ネズミだけど。
「俺がいない間にお前らに何があったんだよ!?」
私とおじょうさまは、少しの間お互いの顔を見つめあい、そして大きな声で笑った。