3話
少し読みづらいかもしれないです。文才が無くてごめんなさい。
地獄界日本街江戸地区、鬼娘である血華は帰りの遅い姉の帰宅を待っていた。姉から帰りが遅くなるという連絡はあったものの、送られてきたメールは『帰りが遅くなる』と、ついさっき来た『今帰る』の2通だった。その文章からいつもとは様子が違うのではないかと、少し察していたのだ。
「……はぁ」
ため息をつく、姉思いである血華はそれなりに心配していた。バカな姉ゆえにどんなことに巻き込まれるかわからない、だがなにもしない限り不安に思っているだけ無駄である。そんな事を考えながら一人夕食の支度をしていた。
「内容が薄いのはいつものことだけど……いつ帰ってくるのかくらいはもっと早くに送ってほしいな…..」
帰宅時間に食事が合わせにくいというのは意外と面倒くさいことだった。割りと豪華な食事にするつもりが、結局冷めても大丈夫なようにカレーを作ることになってしまった。それに、冥は通常の夜勤から残業をこなしてすぐに亞騎を迎えに行ったため、ほぼ半日遅れている。こんなことをされてキレないのは血華くらいである。
「まいっか……カレー……好きだし……」
そんな事を呟きながらカレーの鍋をかき混ぜる。少しして入り口のドアがスッと開いた。
「た、ただいまぁ」
何故か申し訳無さそうな顔をした姉、冥が帰ってきた。その顔の原因は、帰りが遅れてしまったことではなく、抱えている大きなダンボールにあると血華は読んだ。姉は遅れた程度で申し訳無い顔などしない。じっと姉と抱えたダンボールを見て、血華が聞く。
「なに……?その荷物……」
「えっと、そのぉ、これは……」
どう話そうか、というように困った顔をした後。
「ちょ、ちょっと待って。すぐ話すから。ね?」
「え……?」
「お願いっ」
真剣にお願いされては聞き入れるしかないようだ。それに姉自身なにか疲れているように見えた。血華は抱いた疑問を一旦おいて、姉の意見を尊重することにした。
「わかった……」
「ありがと!それじゃちょっと手伝って」
両手がふさがっていては靴が脱げないため、血華にダンボールを持つようにジェスチャーする。
「重っ……」
血華は予想より重かったため、少し驚いた。
「何これ……?」
「まー開けたらわかるわよ」
冥が靴を脱ぎつつ返答する。家に上がり、疲れた、というように腕をパタパタさせる。
「ふぅー、あっちに持ってって」
「うん......」
血華が指示されたとおりの部屋へダンボールを持っていく。冥は先にあるふすまを開けて妹が通れるように先導した。血華が部屋に入ってダンボールを下ろす。その間に姉は布団を敷いていた。
「なに……してるの……?」
「なにって、布団しいてんのよ」
「いや、見たらわかるけど……」
「と、とりあえず開けるわよ」
布団を敷き終えた冥がダンボールをベリベリと剥がし、その中身を露わにしていく。その中には、ダンゴムシのように丸まって寝ている男の鬼が入っていた。
「え……!?なにこれ…..!?だれ……!?」
「フッ、期待通りのリアクションをありがとう。妹よ」
「いや、説明してよ……!」
「わかったわ、でも長くなるわよ」
「……うん」
冥はダンボールの亞騎を持ち上げ、布団に寝かせてから事実を話し始めた。
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(―――落ちてる)
(―――落ちてるっ!?!?!?)
亞騎は暗闇の中、まっすぐに落ちていた。それを認識出来たのは数秒経ってからだ。落ちていく恐怖で鼓動が早まり、速度が遅く感じた。
「ウワァアァアァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」
気づいてすぐに叫ぶ。何か発さなければ恐怖でどうにかなってしまいそうだった。
(なにか……なにかつかむものを探さないと……ッ)
辺りをキョロキョロ見回し、落ちないようにとつかめるものを探す。だが辺りは暗いだけで何も見つけられない。
(駄目、か……いや、諦めるなっ!)
引き続き辺りを見回した、興奮により亞騎の五感は最高潮まで高まっていた。今ならどんな些細なことも見逃さないだろう。そして落ちていく先を見ると、暗闇の中、見事違和感のある場所を見つけた。よくみるとそれは2つの突起のようだった。とても滑らかな形状をしていて。掴むのはかなり困難であるように見受けられた。
(厳しいか……でも、これしかないッ!)
落ちていく亞騎は、どんな形であろうと助かるかもしれない道があるということに希望を持った。そのせいか、その2つの突起からは、まるで神の助けであるかのように光がさしているかのように見えた。全神経を集中させ、最大限のちからを発揮すべく、更に叫ぶ。
「ウォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!」
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「……ってことなんだけど。質問とかある?」
「……」
これまでの出来事を聞き、物静かな血華はついに黙ってしまった。つくづくバカな姉であると失望したのだ。
「ごめんなさい……」
さすがにバカな冥でもどんな事をしてしまったくらいは分かっていた。偽りのない謝罪を血華に向けて言った。
「はぁ……まあいいや……」
「へ?許してくれるの!?」
「やっちゃったことは仕方ないよ……それよりこれからどうすの……?」
血華はすぐに切り替え、冥の行為を許した。怒るというよりは呆れていた。
「そうね、とりあえずこいつはこの家に住ませるわ。こうなったのも私の責任だし、こいつの身ぐらいかくまってあげないと」
「そう……だね……」
「あとこいつが起きてからどう説明するかなんだけど。私がやったこと話したら怒るわよね」
「それは相当やばいと思う……」
想像した血華が顔を暗くして返答した。天国に行くべきだったのに誰かのせいで地獄に落とされたとなれば、怒らない人などいないだろう。
「そうよね、そこら辺は適当に話作るから血華も乗っかってね」
「うん……わかった……」
「うっ……」
突然亞騎が口を開いた。どうやら意識が戻ってきたようだ。
「うわっ!起きちゃう起きちゃう!」
「わ……わ……」
姉妹は亞騎のそばであたふたする。もともと2人はあまり男慣れしていないのでファーストコンタクトが相当に難ありなのだ。そして次の瞬間、亞騎がガバッと上半身を起き上がらせる。起きて、冥の胸をガシっと掴んだ。
「……へ?」
「ウォオォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」
亞騎が叫ぶ、叫びながら全神経を集中させた両手をさらにつかもうとする。だがそれは考えていたよりかなり柔らかく、つかみどころが無いために、何度も何度も掴みなおす。
「キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」
ようやく事態に意識が追いついた冥が奇声を発する。それに続くように、亞騎もやっと周りの様子がわかってきて、叫ぶ。
「うわぁあああああああああああああああああああああああ!?!?」
余計に状況がわからなくなり混乱した亞騎は、掴んだ胸を更に揉み続ける。
「キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」
顔が真っ赤になった冥は、行為をやめようとしない亞騎をぶん殴った。
「オヴェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッ!!」
鬼の力で殴られた亞騎は耐えられるわけもなく後ろにぶっ飛びながら壁にぶち当たり、バタリと意識を失った。
「はぁ……はぁ……」
「だ、大丈夫……?」
一部始終を見てやっと血華が声をかけた。
「も、もう寝る!」
真っ赤になった顔に少し涙を浮かべながら冥が立ち上がる。どうやらいくつもの感情が混ざり合い、かなり参っているようだ。
「グスッ…私もうお嫁にいけないよーー!!」
泣き叫びながら自室に戻っていく。
「へ……?」
一人残され呆気にとられた血華は、少しした後、気を失った亞騎を布団に移動させて毛布をかけた。
「どうなるんだろ……私達……」
思わず口にする。幸先がこれほど悪いとなると、この先どうなるか不安で仕方ない。
「でも、ちょっとかっこいい……かも……」
顔を少しイケメンにするよう言ったおかげで、亞騎は少し格好良くなっていた。そんな亞騎を見て少し顔を赤らめ、血華も自室に戻り寝ることにした。その夜は、冥のすすり泣く声がうるさくあまり寝付けなかった。
ありがとうございました。次回の投稿はちょっと間があくかもしれません。少々お待ち下さい。




