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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
起源ダンジョンへの挑戦

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ウィザードウッドゴーレムとの戦い

 真那華達一行は少し休憩を挟みをしたが、ボス部屋前まで到着した。


『休憩挟んだにしては早くないか?』


『最初の攻略では半日かかったらしいのに三時間くらいしか経ってないぞ』


『強すぎるだろ。特にセイラちゃんとジュンちゃんが想像以上に強い』


『ここまで強いならやっぱりカナカナちゃんいらなかったんじゃないか』


『いや、二層からキツくなるから温存してる可能性もあるぞ』


 リスナー達はそれぞれここまで来た感想を述べている。


「それじゃあ、ボス部屋に突入するけど一層のボスが何かは当然知ってるよね」


 奏がリスナー達に一層のボスの確認をする。


『ウォーリアウッドゴーレムはダンジョンに潜らない人でも知ってるくらいには有名だろ』


『親父から聞いたことがあるけどようはただの樹木の巨像だろ』


『まだ、懲りてない奴がいるよ』


『マナ様に手酷くボコボコにされた後に元気な奴だ』


『そもそも、『深淵の樹海』はS級ダンジョンなの忘れていないか?』


『そんな事を忘れさせる程にこのパーティが強いからな』


『そういや、マナ様達素材拾ってすらなかったような』


『一瞬だけ見えたがドロップした瞬間に消えてるんだよな』


『え?そんなことあるのか!?』


 リスナー達は真那華達が素材にすら見向きもせずただ進んでることに違和感を感じている。


「ああ、それは問題なく回収出来てるから大丈夫だよ。優秀な管理局員さんがスキルで回収してくれているからねー」


 真那華は承が兄だとバレていても知らないふりを貫く。


『このクソガキS級を荷物持ち扱いし始めたんだが?』


『いや、既に実の兄だとバレた後にその言い方は苦しいが、この感じだと普段から荷物持ちさせてた可能性が』


『おそらく、使ってるスキルは【空間操作】だと思うけど、そもそも【空間操作】ってあんな離れた所から回収できたっけ?』


『他の【空間操作】持ちは手に持ってから亜空間に収納してた気がする』


『あそこまで理不尽だと訳が分からないが、サポートすら訳が分からない領域なのかよ』


「師匠は理不尽な強さでこの配信の主旨を変えちゃうから戦闘は出禁くらっちゃってるんだよねー。でも、こういうサポートは禁止されてないから回収してもらってるんだよ」


 奏は承が素材を回収してる理由と共に戦闘に参加できない理由を説明する。


『確かにあそこまで理不尽だと完全にワンマンショーになりかねないからな』


『むしろ、あそこまで理不尽だと怪物の方が可哀想になって来る』


『それだと確かに配信の主旨がかなり変わってしまうな』


『それはそれで面白いと思うがな』


 リスナー達は奏の答えに納得したようであった。


「さてさて、ボス前の休憩はこれくらいにしていよいよボス戦だよー」


 真那華達はボス部屋に突入すると目の前にはウォーリアウッドゴーレムではなく、ウィザードウッドゴーレムが出てきた。


『これが、ウォーリアウッドゴーレム?』


『聞いていた話と様子が違くないか?』


『明らかに杖みたいなのを持ってるんだが』


『そんな、いや・・・・・・まさか・・・・・・』


 そして、その違和感にリスナーの一部が気付き始めていた。


 その瞬間、蔓状の槍が真那華達を一斉に襲う。


「それじゃあ、手筈通りやるよ!」


 真那華は避けながら全員に指示を出す。


「確かにコイツはヤバいわね。【感知】がないと絶対に避けられないわ」


 聖蘭(セイラ)は【感知】による危険感知によりすぐに回避出来た。


「いきなり全体攻撃して来るなんて想像以上みたいで嬉しいよ。それより奏は大丈夫?」


 潤も危険感知により攻撃を捌ききった。


「なんとかねー、師匠に【感知】を鍛えてもらって本当に良かったと実感したよ」 


 奏は危険感知で空中に逃げて回避していた。


『なんだよ今の!いきなり全体攻撃仕掛けて来やがった。こいつ本当にウォーリアウッドゴーレムなのか?』


『明らかに違うだろ!ウォーリアウッドゴーレムにこんな攻撃はなかったはずだ!』


『まさか、レアエネミーなのか!』


『『深淵の樹海』にもレアエネミーが?そんなのありかよ!』


『起源ダンジョンは確かに謎の多いダンジョンだが、他のダンジョンにもレアエネミーのボスは出現するんだ。ここだけが、例外的に出ないとは言い切れないんじゃないか?師匠とセイラ、ジュンはなんとか出来るとは確信していたが、カナカナちゃんまで回避するとはな。かなり、成長しているのが分かる。同じ配信者として負けられない相手がまた増えてしまったな』


 ミツルギは一度コラボしたことがあるので奏の実力を知っているからこそ今の攻撃は回避しきれないと思っていたが、奏はそれを普通に回避してみせた事に成長を感じていた。


『確かに今の攻撃は生半可なダンジョン配信者じゃ回避すら出来ないぐらい早かったからな。カナカナちゃんは確かに強くなってる』


『そもそもその師匠がカナカナちゃんにやった特訓の方が気になって来たんだが』


『ここまで、まともに動けるヒーラーならタンクも安心だろうな』


『むしろ、他のヒーラーやサポーターにも見習って欲しい動きしてる。最低限自分の身は自分で守れるようになってからダンジョンに潜って欲しいくらいだと常々思ってた』


『でも、サポーターやヒーラーは数が少ないから強く出れないのが現状なんだよな』


 リスナー達はそれぞれコメントを送るがそれに返答出来るほど真那華達には余裕がなく絶え間なく蔓状の槍が四方八方からやって来るのである。


「本当、よく兄ぃはコイツの攻撃を回避だけで避けられたよね。ウチの【感知】でも結構ギリギリだよ」


 真那華は避けられない蔓は【従魔剣】で防ぎながら進んでいる。


「あなたが弱気になるなんて珍しいこともあるものね」


 聖蘭(セイラ)は爪状のオーラで蔓を切り裂いて進んでいる。


「防ぐので手一杯なんだけど」


 潤は蔓の攻撃の多さに手を焼いている。


「んー、ジュンちゃん。たぶん、アイツの攻撃、アイツとの距離が近ければ近いほど激しさが増してる気がするんだよねー」


 奏は高い位置から攻撃を回避しながら観察してウィザードウッドゴーレムの攻撃頻度が明らかに真那華や聖蘭(セイラ)と違い二人と距離が離れてる潤の方が少なく、空中で更に距離を取ってる奏の方が少ないことに気付いた。


「かなり接近に不利なボスになってる訳だね」


「でも、遠距離の魔法でも距離での減衰を考えるとある程度の距離は必要なのが厄介ね。どっちにしろ厳しいという事には変わらないけど・・・・・・」


 潤と奏は攻撃を捌きながら二人の様子を見ながら話している。


「マナ、悪いけど先手は私がいただくわ。既に射程圏内に入ったからね。この日の為に作った『ガルム』に搭載できるカートリッジ『レールロングバレル』よ!撃った弾を電磁力で更に加速させ射程を延ばせるようにしたの。今回初公開よ。素材さえあればガンナーの潜行者さんにも作ってあげるわ。素材は後で私のSNSに公開しておくからフォローよろしくね」


 聖蘭(セイラ)は戦闘中に関わらず商品の宣伝を始め、それが終わると同時にウィザードウッドゴーレムを撃ち抜く。


「セイラちゃん!いつの間に!?しかも、ちゃっかり人様のチャンネルで宣伝始めてるし、しかも今、当たったとこ燃えなかった!?」


「流石、マナお目が高いわ。この弾も本日初公開、属性弾よ。この配信後、火、水、風、土の四属性を取り扱うわ。光と闇は製作中だから待っていてね」


 真那華が聖蘭(セイラ)の属性弾に気付くと更に宣伝を続ける。


「まさか、ウチを宣伝に利用するなんて思わなかったよ。セイラちゃん恐ろしい子」


 真那華はまさか自分が宣伝の片棒を担がせられるとは思ってもいなかった。


『こんな状況で宣伝って商根逞し過ぎるだろ』


『でも、実践で見せるのは効果的だと思う』


『それでも、状況は弁えるべきだろ!』


『『レールロングバレル』はともかく、属性弾はガンナーなら欲しいだろ。属性的に有利に立ち回れるようになるわけだからな』


『いや、『レールロングバレル』って射程も延びるけど、たぶん威力も上がってるよな。使う素材次第では使う人増えるんじゃないか?』


『それもあるが、実弾なら魔法と違って射程に入ってしまえば減衰を気にする必要がなくなる。それが、ガンナーの強みでもあるからな』


『セイラちゃんの影響でガンナーが一気に増えたからな。最近よく見かけるようになったよ』


『今や魔法使いに並ぶ遠距離アタッカーになってるからな』


『むしろ、属性弾なんて出来たら魔法系の型の立場が危ぶまれそうなんだが?』


『いや、それはないかな。ガンナーは攻撃の威力は基本的にほぼ一定だけど魔法使いとかは魔法の等級によって威力が変わるからね。それが属性弾になってもあまり変わらないと思うよ』


 リスナー達は聖蘭(セイラ)の宣伝行為に呆れつつもその商品が与える影響を語りあっている。


「私は空中で避けながらでも充分攻撃する事すら余裕なの。あんまり見くびらないで欲しいわ」


 聖蘭(セイラ)は【軽業】による空中回避から射撃での攻撃を行なっている。


「魔力での溜めがない分、銃はいいけど弾の補充はどうして・・・・・・!?」


 真那華は弾の充填について聞こうとすると、聖蘭(セイラ)は空中で回避しながら弾を補充しており、流石の真那華も絶句して驚くしかない。


『空中で避けながら弾の補充をしてるんだが』


『それできちゃダメな奴』


『セイラちゃんは人間辞めてると言われてる理由が凄く分かるな』


『【軽業】は極めるとあそこまで出来るようになるのか』


『いやいや、アレはセイラちゃんだから出来る芸当だからな。空中回避からの反撃を真似しようとした奴が何人かいたらしいが無理だったらしく、そいつらからは変幻自在のトリックスターにちなんで『ロキ』と恐れられているらしい』


『というか、セイラちゃん速くないか?』


『セイラ様はあの中の面子の中でスピードトップだからな』


『いや、潜行者の中でもぶっち切りのトップだろ』


 リスナー達は聖蘭(セイラ)の人間離れした動きとそのスピードを称賛するコメントが見られた。


 そして、聖蘭(セイラ)にあの時の承と同じように周囲から同時に蔓の槍が襲いかかって来た。


「それ、見えてたわよ。【旋空裂爪刃】」


 聖蘭(セイラ)は空中で素手の爪のオーラだけじゃなく両足からも爪のオーラを出し空中で身体を捻りながらその全てを切り裂く。


 その明らかに常軌を逸した聖蘭(セイラ)の動きにコメント欄は一瞬静まり返った。


「そんな事まで出来るなんてウチも知らなかったよ」


「まさか、真那華の【従魔剣】を全て叩き潰すためのとっておきの技をこんな所で使う事になるとは思わなかったわ」


 聖蘭(セイラ)の放った技は対真那華に用意したとっておきの一つだった。


 そして、今の聖蘭(セイラ)に放った攻撃によりウィザードウッドゴーレムの攻撃が止んだのである。

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