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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
チームD-アニマルズ結成

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妹怒る

 承は潤の【闘気】を見て『生命と再生』の代行者だと確定付けた。


「この代行者は潤の力を認めたからこそ代行者にしたんだろう」


「それで潤ちゃんは問題ないの?」


「基本的にはないな龍を倒すという意思さえ曲げなければだが・・・・・・」


 承もそれがなければどうなるか分からなかった。


「・・・・・・はぁ、これはもっと先になったら話そうと思ってたことなんだが・・・・・・」


 承は真那華に視線を向ける。


「何々、どうしたの?」


 真那華は承の視線に気付く。


「真那華は知らないと思うが、お前はあの龍との戦いで死んでいる」


「え?」


 真那華は承の言ってることが理解出来なかった。


「それは嘘!現に今、生きてるじゃん!」


「ああ、俺はあの時に代行者になる事と引き換えにお前を生き返らせてもらったからな」


「!!・・・・・・兄ぃ、なんで!!」


「・・・・・・見捨てられるわけないだろ」


 承はあの時、止めなかったことを後悔した。自分の無力さに嘆いた時に倒したはずの代行者が頭の中によぎったのだ。


 その時、とある存在と戦う事と引き換えに真那華を生き返らせたのである。


「え?つまり承が『無限と永遠』の代行者?」


 燐は承の口ぶりから承がその『無限と永遠』の代行者だと考える。


「・・・・・・俺はただの後継人、真那華がその代行者だ。『無限と永遠』の代行者として生かすことを俺は選んだ。恨んでくれて構わない。俺は自分のエゴでお前を代行者として生かしたんだ」


「・・・・・・馬鹿だよね。兄ぃはそんなことで恨むわけないじゃん。ウチも確かにアレは死んだと思ってたんだけど、そういうことだったんだね。でも、ウチの攻撃は龍に有効ではなかったよね」


 権能の力は有効なのは巨龍の時に知ったことだが真那華の攻撃が特効になってなかった意味が分からなかった。


「お前の権能は龍ではない別の奴に特効があるからな。それに真那華のはまだ休眠状態だ」


「それってなんなの?」


「それはお前にもっと実力が付いたら話してやる。だから、今話すべきことじゃなかったんだ」


 承は燐に代行者になる影響を証明する為に話しただけだったのである。


「本当、兄ぃは隠し事ばかりだね」


「悪いとは思ってる。だが、今は話すべき時ではないんだ。それだけは理解してくれ」


 承としては、真那華が更に力を付けてから話すべきことなので今は話すことが出来ないのである。


「兄ぃが隠す気はない事なんて分かり切ってるしその時まで楽しみに待ってる事にする。それにその方が燃えるしね」


 真那華は承が話してくれるのを待つ事にし、その為に更に強くなる決意を固めた。


「マナちゃんがその様子なら潤ちゃんも大丈夫そうかな」


「それでも、何かあったら真那華か俺に相談してくれ」


 燐はとりあえず真那華の様子を見て潤が代行者になった影響は【闘気】が禍々しくなったくらいだと判断したが、承はそれでも燐が安心出来るように気を遣った。


「さて、話しを戻すけど・・・・・・僕はショートレンジのアタッカーだね。まぁ、マナちゃん以外は知ってると思うけどさ」


「一応、潤ちゃんから話しだけは聞いてるんだよね。殲滅者(エクスターミネーター)だっけ?目の前の敵を全て斬り刻んでいくからそう呼ばれてる型だと潤ちゃんから聞いた時は完全に潤ちゃんと真逆の型だと思ったくらいだよ」


 潤は『守護者(ガーディアン)』で全ての敵の攻撃を受け切り反撃する型で燐とは真逆の護るための型である為、真那華は似て非なる姉妹だと感じた。


「真那華のいう通りだね。という訳で僕はタンクだから、攻撃を受けるのは全て任せてね」


 燐のポジション確認に真那華が反応した事で潤はスムーズに自分のポジションを言うことが出来た。


「俺は今回は配信のバックアップとサポートを頼まれている。本当に危険が差し迫らない限り俺から手を出すことはないから、全力で攻略を進めて欲しい」


 承が参加してしまうと配信の主旨が変わってしまう為、管理局から余程なことが起こらない限り手を出さないで欲しいと言われているのである。


「そりゃ、師匠は強いとかいう次元を超えてるから仕方ないよね」


「カナカナちゃんは兄ぃの実力は知ってるんだね」


「奏の師匠だよ。知らないわけないじゃん。任務で行ったダンジョンのボスをバラバラにしちゃったんだよ」


 奏は『ブタゴリラ』をバラバラにした光景を見てる為、承がいかに出鱈目な存在か知っている。


「そういえば、あのバラバラ死体どうしたんだい?」


 燐は『ブタゴリラ』のバラバラ死体が承の亜空間にしまわれた所しか見ていないのである。


「何かに使えないかと思って取っておいてはいるが、俺では使い道が分からないから後で真那華に見てもらおうとは思ってる」


「ウチが知らない間に素材をしっかりと残せるような倒し方を編み出したんだね。でも、兄ぃが見ても分からないなら、ウチが見るしかないよね」


(え?それをマナちゃんに頼むって、中々エグいことするね)


(うっわー、師匠も中々エグいことするねー。面白そうだから黙ってよ)


 その様子を見てる燐と奏は『ブタゴリラ』が3Kと呼ばれる怪物だと知っているため、承のやってることが鬼畜の諸行だと思っていた。


「ああ、後で任せる」


「真那華、そこの二人の表情からしてその素材、嫌な予感しかしないよ」


 潤は燐と奏の表情から嫌な何かを感じ取った。


「うん、流石に気付いたよ。そこの二人は嘘つくの苦手そうだしね。でも、それは人として美徳だと思うよ」


 真那華は潤が気付く前から、二人の様子には気付いていた。


「それで、兄ぃ。それってどういう怪物の素材か教えてくれない?」


 真那華は二人の様子から承に何の素材か質問する。


「『ブタゴリラ』というキモい・汚い・臭いで3Kと呼ばれる怪物だ」


 承は真那華の質問に正直に答える。


「うん、そこの二人がどうしてあんな反応なのかという理由とこの『ブタゴリラ』とかいう怪物を兄ぃに押し付けた理由がよく分かったよ」


 真那華は承がこの素材を残してる時点で三人が『ブタゴリラ』を承に押し付けた事を理解した。


「3Kという事は余程、キモくて汚くて臭い攻撃をして来るのかなー。確かにそれならウチの兄ぃなら当たらないから大した事ないよねー。でもさー、そんな攻撃をして来る奴を兄ぃに押し付けたという事実が妹としては看過出来ないんだよねー。ウチの兄ぃに何させてんのかなー。ウチなら任せるにしても一緒に行くよ。それが仲間ってもんじゃないかなー」


 真那華は兄である承にそんな3Kと呼ばれる程に汚く臭い相手を承一人に押し付けたのが我慢ならなかった。


 それは真那華にとって仲間とは一蓮托生、苦楽を共にするものだと思ってる。


 だからこそ、聖蘭(セイラ)が真那華を裏切ろうとした時はしっかりと分からせたのである。


「まず、それをはっきりさせないとパーティは組めないかなー」


「いや、真那華・・・・・・それは俺が自分から言った事で・・・・・・」


「兄ぃは黙ってて、もしそうでも付いて行って見守るのが仲間・・・・・・パーティを組むってそういうもんじゃないかなー」


 承は真那華を説得しようとするが、真那華にとってこれはパーティを組む上での信頼関係の問題なので真那華は聞く耳を持たないのである。


「で、ウチの兄ぃは優しいからさ、それくらい簡単に引き受けてくれるよ。でもさ、その優しさに甘えるのは違うんじゃないかなー」


 真那華からしてみても承は心配になるくらい優しい自慢の兄なのである。


 だからこそ、その優しさに甘える行為が何よりも許せないのであるのだ。


「確かにあの時は軽率だったかもしれないね。パーティのリーダーとして見守るくらいは確かにするべきだった。悪かった以後気を付けるよ」


 燐は承に任せる事に安心し切っていた為、見守るという思考が抜けてたのである。


「マナがいかに師匠を大事にしてるか分かったよ。確かに仲間なら見守るくらいはするべきだよね。それが本当の意味で仲間って奴だもんね」


 奏はかつて仲間というものを信じてなかったが、燐達によって信じられるようにはなったがそれだけでは真の意味では仲間ではないと真那華の言葉で理解した。


「・・・・・・そう、分かったならいいんだけどね。それじゃあ、早速どう攻略していくか話していきたいんだけど兄ぃとの任務で一緒だった燐ちゃんにまず話をしてもらいたいんだけど大丈夫そう?」


 真那華は二人の言葉を信頼し、本題に戻ると同時に承と同じ任務についていてかつベテランの燐から話しを聞きたかった。


「一層のボスをレアエネミーの出し方は聞いたんだけど、まず『モスボア』の群れは僕と潤ちゃんで何とかするからマナちゃんは後ろにいるデカい『モスボア』を任せるよ。奏ちゃんは僕達のサポート、必要に応じて空中からマナちゃんをサポートして欲しい」


「確かにそれがベストだけど、『モスボア』の場合はウチと燐ちゃんが群れを殲滅させつつ潤ちゃんにカナカナちゃんを守らせながらカナカナちゃんは必要に応じて三人のサポート、『モスボア』のボスが見えて来たら潤ちゃんが抑えつつウチと燐ちゃんで一斉攻撃がいいかなー」


 燐とは違い真那華は巨大な『モスボア』を抑えつつ温存出来る方法を選んだ。


「それ、潤ちゃんの負担多い気が・・・・・・」


 燐は潤に過保護なところがあるのである。


「たぶん、アレくらいなら潤ちゃんならびくともしないと思うけどなー、むしろただの『モスボア』はウチと燐ちゃんで充分なんだよね。後先考えなければ巨大な『モスボア』は一撃で倒せるんだけど、今回はウチでも未知な二層まで攻略しないといけないからね。全体的に温存しときたいかなー。特に潤ちゃんにはね」


「それは確かにあるね。そもそも二層まで一気に攻略は誰もやらないんだよ。ペース配分が難しいからね」


 燐は真那華の案を採用する。


「『シェルダーブル』はウチだけで・・・・・・」


「こいつは僕がやる。それだけは譲らないよ。もちろん潤ちゃんにもね」


 燐がここまで『シェルダーブル』と戦いたい理由は、燐が得た新しい力を試すにはちょうどいい相手だからである。


「ここまで、やる気だと流石に任せるしかないかな」


 真那華は燐のあまりのやる気に気圧され了承した。


「そして、一層ボスのレアエネミー『ウィザードウッドゴーレム』こいつが問題・・・・・・兄ぃが一瞬で倒しちゃってるから全ての攻撃パターンを見てはいないんだけど、地中や周囲の樹木から鋭いツルの槍が四方八方から伸びて刺しに来るんだよね。ウチの見た感じその攻撃を斬りながらじゃないとボスの元まで近付けないかな。そして、近付けてもそこからは何をして来るか分からないんだよね。兄ぃがそこで瞬殺しちゃったから」


 真那華は前回戦った時に分かってる事を三人に伝える。


「近付けても、反撃が来るかもしれないんだね」


「それもあるけど、距離を離される能力があった方が面倒かな。『ウォーリアウッドゴーレム』は自然回復出来たと聞いてるから、『ウィザードウッドゴーレム』も持ってる可能性は大きいんだよね」


「確かにそれをされちゃうと攻撃を与えても何度も逃げて回復されちゃうかもしれないんだね」


 燐は真那華が警戒してるのが、距離を離される事と自動回復する事による遅延行為である。


「一つ聞きたいんだけど、その回復効果ってダンジョンが与えてるバフ効果なんだよね」


 奏は二人に質問を投げかける。


「カナカナちゃん、それがバフだとして何が出来るのかな?」


「そうか・・・・・・その手があったね!」


 奏の力を知らない真那華は疑問を抱いているが、その力を理解する燐は気付いた。


「確かにここの怪物は『生命と再生』の影響によるバフを得ている。特にボスはその影響を強く受けているよ」


「燐ちゃん、話しが見えないんだけど」


 真那華は奏の力を完全に把握してないので、何の話をしてるか分からないのである。


「奏ちゃん、言っても大丈夫?」


「それを話さないと話し進まないでしょ。いいよー」


 燐が奏に許可を取ると奏は空気を読んで了承する。


「奏ちゃんは【除去魔術】の力で相手が受けてる付加効果を取り除く事が出来るんだよね。ダンジョンからのバフだから取り除けるのは一定時間だと思うけどね」


 燐は真那華に説明する。


「それもウチが知らないスキルじゃん。兄ぃ、やってくれたねー。【除去魔術】確かにコレはウチも想定外だよ」


 真那華は承に嬉しそうな視線を向けている。


「確かにそれが可能なら、遅延行為は防ぐ事は出来るかもしれないね」


 真那華は一つの不安要素を潰せて安心している。


「それじゃあ、作戦はウチと燐ちゃんが『ウィザードウッドゴーレム』の攻撃を掻い潜りながら攻めるから潤ちゃんはカナカナちゃんの護衛、カナカナちゃんは臨機応変にサポートと回復をお任せするよ」


「たぶん、僕やマナちゃんより潤ちゃんの負担が一番多いかもしれないね。それを見越して『モスボア』の負担を減らしたかったんだね」


 燐は最初から奏の護衛に潤を付ける事を真那華が考えていた事に関心する。


「実際にどうなるかは戦ってみない事には分からないけどね」


 実際に真那華も全ての攻撃パターンを見てるわけではないので、どうなるかは分からないのである。

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