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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
チームD-アニマルズ結成

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人の成果ほど妬ましいものはない

 承達が獣人のダンジョンに挑んでいる時、真那華、聖蘭(セイラ)、潤は盾を作る為に管理局の工房エリアに来ている。


「・・・・・・本当に、本当に大変だったわ。特に『誘引核』・・・・・・本当に酷い臭いで・・・・・・身体にこびりついた臭いが身体を洗っても全然取れないんだけど」


 聖蘭(セイラ)は真那華が用意した『誘引核』の精錬をやったはいいが、臭いが身体に残っている事が気になって仕方なかった。


「聖蘭(セイラ)ちゃん、これに懲りたらもうウチを出し抜くような真似はやめてね。地獄は一緒に見たほうが、まだ楽だった事が分かったでしょ。それ、短くても三日は臭い取れないからね」


「真那華が渋ってた理由がやってみて理解出来たわ」


 真那華は聖蘭(セイラ)が出し抜くような真似をしなければ手心は加えた事を告げる。


「それで、僕の盾はもう作れるの?」


 潤は龍との戦いで壊れて失った盾の代わりとなる盾を欲している。


「うん、この『集魔龍核』と『導魔龍器』、『斥力晶』そして、聖蘭(セイラ)ちゃんが持って来た最高純度の『誘引核』と最高純度の『玄武甲』だよ」


「改めて見ると壮観ね」


 そのレア素材に聖蘭(セイラ)はすぐに反応する。


「聖蘭(セイラ)、目が怖いんだけど・・・・・・」


 潤にはその素材を見る聖蘭(セイラ)の目が

餌の肉を目の前に置かれた獣の目をしていた。


「日に日に酷くなってるねー」


「真那華、笑い事じゃないからね」


 潤としては聖蘭(セイラ)がレア素材によって壊れていくのは見てられなかった。


「それとこれを使おうと思うんだけど、こればかりは潤ちゃんに決めて欲しいかな」


 真那華は深緑色のオーラを放つ、『禍津』の結晶を取り出す。


「これを使った装備品が使用者にどういう影響を与えるか、ウチでも分からないんだよね。だから、もしそれが不安なら聞かなかった事に・・・・・・」


「うん、じゃあ。使うよ」


 潤は一切迷いなく答えた。


「え?・・・・・・少しくらい迷わない?ウチでもどうなるか分からないんだよ!?」


「僕は一向に構わないけど?」


 潤は既に覚悟を決めている。


「・・・・・・僕は悔しいんだ。あの時、本気であの龍を倒そうとしてたんだけど結局、真那華が倒しちゃったからね。僕にとって初めて敗北感を感じた相手だったんだよ。だから、次は真那華の出番が無いくらいに強くなって龍を倒してみせるよ!だから、迷ってらんないね」


 潤は龍に負けた事が余程悔しかった為、強くなる為に迷いはなかった。


「うん、それじゃあ。ウチはもう何も言わないよ。あとは聖蘭(セイラ)ちゃんに任せるからね」


 真那華は素材を全て渡し、聖蘭(セイラ)に任せる。


「中々、凄いのが出来そうね。盾に使う素材とは思えないけど・・・・・・」


 聖蘭(セイラ)は早速、盾の製作に取り掛かる。


「そういえば、お姉ちゃんも例の肉食べたみたいでさ。僕が肉を持ち込んだのバレちゃったんだよね」


「まさか、潤ちゃんのお姉ちゃんも龍の肉にハマっちゃったの?」


 潤は既に龍の肉を食べ尽くし、龍の肉にハマってしまった。


「あの肉、筋肉の超回復を早めてくれるから筋トレする身からするとかなり神食品なんだよね」


 潤にとって龍の肉は美味いだけじゃなく筋トレにも効果が絶大なので欲しいところであった。


「お姉ちゃん、食べ尽くしたと言ったら凄く恨めしそうにしてたけど、出張してるのが悪いよね」


 潤は姉だろうと一切の遠慮はしない、むしろ姉だからこそ遠慮はしないのである。


「でも、龍は次いつ食べられるか分からないからね」


「あ、やっぱり見に行ったんだ」


 真那華は龍が再び出るか確認する為に再び、『ボンバーヘッド』と追いかけっこをしたが、ボス部屋にいたのは前回、ボス部屋前にいた劣等竜(レッサードラゴン)三匹だった。


「だって、気になるじゃん。でも、ダンジョン資源が前回来た時と比べて増えてたところを見るとやっぱり、アソコのダンジョンの資源がしょぼかった原因があの龍にありそうだったんだよね」


「ダンジョンコアの力を吸収して自分の力に変えるって中々の滅茶苦茶な事をやってるのは、流石に気付かなかったけどね」


「アレでもまだ可愛いもんだよ。兄ぃが倒した奴は魔力の鎧を無限に重ねている奴だったからね。ただ、そいつは魔力の鎧は無限に張れるけど衝撃を内側に送れれば良かっただけと兄ぃは言ってたね」


 真那華は承が倒した龍の話している。


「この前使ってた【羅刹発勁】って奴?」


「そうそう、それだよ。ウチのは兄ぃの真似というかオマージュしてるだけだからねー。本家はあんなもんじゃないよ。打たれた相手は苦しむ間もなく爆散してたから」


 真那華は承の技を真似て使ってるだけで、本来の威力から大分かけ離れている。


「真那華のお兄ちゃんってアレでもかなり手加減してるんでしょ。あまり本気を出してるとこ考えたくないんだけど・・・・・・」


 潤は承と『禍津』との戦いを見てるので、承の本気を想像したくなかった。


 そして、場所は変わりダンジョン研究所で権田原夢乃は真那華から半ば強引に譲り受けた『龍晶』とオークションで入手した『龍脊椎』をどうするか悩んでいた。


「え?あなたって結構有名な【錬金術】の使い手だと伺っていたんだけど?」


 権田原は日本の中で一番【錬金術】を扱える者を募集した結果来たのが、一人の男性であった。


「いやいや、無理無理。確かに僕は【錬金術】を扱う仕事をしてる者の中では、腕利きだと自負してますが、これは聞いてませんって、何より失敗した時のリスクが大きいのでやりたくありません」


 男は最初は訳も分からず【錬金術】を扱える腕利きの職人を募集というネットでの募集を鵜呑みにし、今の状況に至っている。


「なんで、そんな簡単に諦めるのよ!こっちは前金払ってるんだからね」


 権田原は依頼の前金を用意し、簡単に【錬金術】を扱える職人を逃げられないようにしていた。


「これは説明不足が招いた。そちらの落ち度です。だから、前金はご返却しますのでこの件は辞退したいと何度言えば分かるんですか?」


 男は何度も同じ話しを聞かされたといった様子でうんざりしていた。


「いいわ!その代わりにあなたの知り合いで【錬金術】をあなたと同等かそれ以上に扱える人を紹介して!」


「紹介は出来ませんが一人心当たりがあります。それで構わなければ辞退させて欲しいです」


「紹介出来ない理由を示せれば、辞退させてあげてもいいわ」


 権田原はそれでも彼の辞退を渋っている。


「昔、企業の海外交流があった時に会った事がある程度ですが、イギリスにいるヘレン・P・エヴァンスという女性が僕の知る限り【錬金術】を上手く扱える人です。僕はアレ以上に【錬金術】を扱える人を知りません!」


 男は必死で権田原に説明する。


「成程、イギリスにいるから紹介出来ないのとその様子じゃ、連絡先も知らないでしょ。分かった。もういいわ。後はこっちでやるから、サッサと帰りなさい」


 権田原は男を研究室から追い出し、ヘレン・P・エヴァンスについて調べる。


(・・・・・・成程、確かにこれは紹介できないわね。よりにもよって『ヘルメス』の役員じゃない)


 ヘレン・P・エヴァンスの名前は欧州魔法学会連盟所属ギルド『ヘルメス』のホームページの役員欄の上の方に存在していた。


 ホームページに水銀の魔女とも呼ばれている魔法使いだと情報が出ている。


(流石にこれは厳しい、一体日本のどこにこの二つをアンドロイドのコアの材料に出来る【錬金術】を扱える奴がいるのよ。・・・・・・そういえば、あの小娘達この素材を持って帰ろうとしてたわね)


 権田原は真那華達が、龍の素材を持ち帰ろうとしていたのを知っている。


(持って帰ろうとしたという事は、加工出来るツテがあるという事・・・・・・)


 持って帰ろうとするという事は【錬金術】で加工出来るツテがあるも同然であった事に権田原は気付く。


 権田原は研究室に籠るとしばらくは出てこなくなる為、世間の世情に疎いとこがある。


 そして、権田原は配信などには全く興味がないので、真那華が【錬金術】を極めている事はもちろんのこと、聖蘭(セイラ)が【錬成鍛治】で素材の力を引き出しつつ装備を加工出来ることすら知らないのである。


(でも、あの小娘共に頭を下げるのもなんか癪ね)


 権田原は真那華達に頭を下げて頼むのは、プライドが許さなかった。


(それにしても、あのクソ所長・・・・・・いい加減現実を見ろだぁ!ふざけんじゃないわよ!いい加減現実見るのは、お前の方だクソ所長!結果を出して無いのはお互い様の癖に偉そうに踏ん反り返りやがって、私が結果を出しそうだから邪魔したいんでしょ。そうはいかないんだから・・・・・・)


 権田原は何も実績もない癖に口だけはでかい所長の事が気に入らなかった。


 何故なら、彼女のプロジェクトは彼が所長になった途端に計上してた予算は見送られ、プロジェクトは進められなくなり実質の凍結となった。


 このダンジョンアンドロイドは、彼女が研究者として一世一代の大勝負であったのである。


 しかし、現実は再現性がなく問題が山積みということで予算は見送りという実質は打ち切りをくらったわけなのである。


 そして、どういうわけか今のメインとなってるプロジェクトは、【感知】を利用しダンジョン内をマッピング、そのデータを利用したナビゲーターロボ『ピクシー』である。


 それはかつて、権田原がやっていたダンジョンアンドロイドと似たプロジェクトではあるが、大きな違いは、怪物との戦闘や資源の回収は人の手で行う事で『ピクシー』はダンジョン内の案内と情報を出すことに重きを置いている。


 しかし、権田原が我慢出来ないのはそう言った理由もあるが、その見送られた予算が『ピクシー』の開発プロジェクトに回ったことである。


(何が、ピクシーよ。案内しか出来ないロボに何の意味があるというの?戦闘と資源を回収できてこそじゃないの?)


 権田原は案内しか出来ないロボに何の意味もないと思っており、自分が掲げていたプロジェクトの方が有意義な結果になるという事を一切疑ってない。


(あー、ポシャればいいのに)


 権田原は『ピクシー』のプロジェクトが失敗すれば今度こそ自分のプロジェクトの有用性を示せるとも思ってる。


(さて、所長方達は私が行き詰まったあの問題をどう解決するか見ものね)


 権田原は所長が権田原に掲げた問題点の他に一つ問題点がある事を知っている。


 それは、失敗を何度も味わった者しか分からないような問題点で、失敗を省みず切り捨てる者には決して分からない問題点だった。


 そこは結局のところロボをダンジョン内で継続的に動かそうとすると魔力の有無が重要になるという点である。


 配信用のカメラと異なり、簡易的なバッテリーでの運用も可能ではあるが、配信用のカメラは容易にバッテリーを交換出来るのと引き換え、ピクシーのサイズとなると長時間の運用には大型のバッテリーを積む事となるのである。


 それと同時にピクシーには親機から情報を常に更新する機能と学習AIを有してる為に配信用カメラと違い、ただでさえ電力をくうのである。


 だからこそ、権田原は何とかしてダンジョン内の魔力で動力を賄えないかと考えていたのである。


 それを所長達はダンジョン外の技術を持ち出そうとしてる姿は、それで失敗を経験してる権田原からすると滑稽でしかなかった。


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