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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
チームD-アニマルズ結成

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戦いに身を置く者

 ヴァリタスによって須藤は倒され、燐はヴァリタスが姿を現していた真の意味をわからされていた。


「あえて、姿を見せていたのは僕達の警戒を少しでも緩めるためだったんだね」


「それもあるが、こそこそ隠れるのが我の性に合わないだけというのもある。【遁術】とは本来こういう使い方をするスキルなのだよ。光を遮る事で姿を消す。それだけのスキルだ」


【遁術】とはスロープ達が使う影に入ると消えるスキルで、その効果は影に入ることではなく、光を遮る事で姿を消すというものだった。


「さて、次は飛んでる小娘をなんとかしたいが・・・・・・」


 ヴァリタスは困ってるような仕草を見せるが実際は困っていない。


「させると思うかい!」


 燐はヴァリタスに攻撃を仕掛ける。


「剣だけでは我は取れんよ。お主は既に我の敵ではない」


「ッ!!」


 燐の剣はヴァリタスが腰に差してあった十手に絡め取られる。


「気にするな。技量の違いだ」


 ヴァリタスは奪った剣を後ろに投げ空いた手を使い。


 奏目掛け、燐を投げつける。


「うわあああ!?」


「ちょっ!?」


 奏は燐を受け止めようとし落下し、燐の下敷きとなり気を失う。


「これであとはお主だけ・・・・・・剣だけでは我には勝てんぞ」


「まさか、今のも【武芸百般】の力だと言うのかい」


「普通の【武術】ではああはいかない。その通りだ。正確には【武術】と【投擲術】そして技量があれば再現は可能だがな」


「僕を武器にしたって事かい?」


「そういう事だな」


 燐はまさか自分が武器にされ、奏を倒されるとは思ってなかった。


「【投擲術】は基本的に投げられるものなら武器じゃないものでも効果は発揮する。それと【武術】による投げ技を組み合わせたに過ぎんよ」


 ヴァリタスは簡単に言ってるが、今のが簡単に出来るとは燐は思ってなかった。


「それにアンゲロスもハルピュイアも飛んでる事に変わりはせん。奴らの攻撃が届くならこちらの攻撃も届くのは道理、どう届かせるかが問題だ」


 そもそも、ヴァリタスは燐達とは戦った場数がそもそも違く、飛んでる相手だろうが関係なかった。


「確かに空中というのは一見有利かもしれんが、その慢心こそが付け入る隙よ」


「まさか、一気に二人も倒されるなんて」


「弱いな。この程度なのか、この世界の存在は・・・・・・」


 ヴァリタスはこの世界の存在である人間に落胆する。


「この感じだと、我等の神がどうなってるか不安しかないんだが・・・・・・」


 ヴァリタスは人間達のスキルへの理解の浅さに【魔狼憑依】がどうなってるか不安しかない。


「・・・・・・まだ、やるつもりか?既に勝負は決したものだろう?」


 燐が剣を構えるのを見てヴァリタスは、虚しさすら感じていた。


「僕はまだ、負けを認めたつまりはない!」


「そうか、それなら敗北を認めさせてやろう!」


 ヴァリタスは十手を腰に差し戻し、背中の三節棍を取り出す。


「あらゆる武器術、体術に対応する対応力、これこそが【武芸百般】の強み。お主に打ち破る事が出来るか!」


「【武芸百般】がかなり厄介なスキルなのは、理解したよ。近距離、中距離、遠距離隙がないと思うよ。・・・・・・でもね、僕は負けないよ」


 燐は負けるつもりはないが、剣は片方の棒で防がれ、もう片方の棒が燐の鳩尾に突き刺ささり吹っ飛ばされる。


「くはっ!」


「今の一撃を耐えるとは【闘気】はそれなりに鍛えてるらしいな」


 燐は一瞬だけ見えた攻撃の軌道に合わせて【闘気】を集中させダメージを軽減しただけだった。


(今のは何とかギリギリ動作感知が成功した。こいつら相手に【感知】は必須だね。承の言ってる意味が・・・・・・ここに来て、分かったよ)


 燐はスロープをはじめとする六種族に鍛えた【感知】が必須だという意味を理解した。


(奏ちゃんは、ここまで来た特訓で自分の限界を越えた。それなら、僕も超えないと偉そうな事言ったんだからさ)


 燐は奏がここまで来た特訓で己の限界を越えたのを知っている。


 だからこそ、燐はここで限界を越えると自分を奮い立たせていた。


「やっぱり強いね。君」


「その割にはまだ、諦めてないようだが?」


「うん、むしろありがたいくらいさ」


 燐はここに来て更に強くなる可能性に気付かせてくれたヴァリタスに感謝する。


「僕がただ吹っ飛ばされただけだと思うかい?」


 燐はヴァリタスが剣を投げ捨てた方向に吹っ飛ばされ剣を拾った。


「それがどうした?言ったではないか、剣では我にはかなわんと!」


「そうだとも、だけど僕は【剣術】だけに頼るわけではないよ!」


 燐はヴァリタスに斬りかかるが、その全てを三節棍に防がれ蹴り飛ばされるが、それでも燐は再び斬りかかる。


「防ぐだけが武芸ではないんだぞ」


 ヴァリタスは燐と距離を離し、燐は斬撃を外した瞬間、三節棍を振るう。


(・・・・・・見えた!)


 燐は動作感知を使い三節棍の軌道を読み剣で受け流し、ヴァリタスの懐へ入る。


「捕えた!」


「それがどうした」


 その瞬間、ヴァリタスの蹴りが燐に迫るがそれすら燐は見切っており、蹴りのをヴァリタスの背後に回り込見ながら回避と同時に斬りかかるとその斬撃を背を見せたまま三節棍で防がれる。


「その程度か?」


「君、もしかして【感知】使えるのかい?」


「【感知】か、成程それで我の攻撃を見切っているのか。残念ながらそのスキルは持ち合わせておらん。これは常に戦いに身を置いた者に培われる勘という奴だ」


 ヴァリタスは【感知】ではなく、ただ経験と勘で燐の攻撃を防ぎ切っていた。


「たが、それもどうやら付け焼き刃、ギリギリ使えてると言ったところか」


「その付け焼き刃でどうにか持ち堪えてるんだ。大したものだろ?」


「それなら、その自信を今からへし折ってやろう」


 ヴァリタスは燐の自信をへし折るため攻撃を仕掛けた。


「なんて攻撃だ。一撃一撃が、重い・・・・・・」


 ヴァリタスは三節棍を全力で振り回し一方的に燐を攻める。


「なんだ?防ぐので手一杯か?見切れるもんなら見切ってみろ!」


(そうは言うけど、これ結構難しいんだよ!高等技術とはよく言ったもんだね)


 燐は見切りたくても発動の成功が二割にも満たないため、苦戦している。


(でも、コイツに一撃を当てるならこの分の悪い賭けに勝つしかないんだ!)


 燐に残された最後の希望、それは動作感知である。


【残像撃】も使えない事もないが、一度避けられ警戒されれば、当てることすら困難になりかねないのだ。


 何故なら、ヴァリタスには手裏剣という投擲武器があり、近接を警戒されてそれを使うようになってしまうともう燐の攻撃が当たらなくなってしまう。


 ただでさえ、三節棍のリーチが燐の持つ剣より長いのだ。


 間合いの取れないこの状況で、更に間合いを離されたら、詰みとなる可能性が大きいのである。


「我の攻撃にこうも耐えるか・・・・・・」


「!!」


 燐の足元に煙玉が転がって来て煙で包まれ、

 ヴァリタスの姿、音、気配全てが消える。


 燐は絶対絶滅の危機に陥った。


「悪く思うな。これが我のやり方だ」


 ヴァリタスの攻撃が迫るその刹那、燐の刃はヴァリタスを捕えた。


「カハッ!!」


 それと同時にヴァリタスの攻撃が燐に直撃し、燐はその場に倒れる。


「・・・・・・まさか、相討ちを狙うとはしてやられたわ。お見事、お主らの勝ちだ」


 ヴァリタスは満足そうに燐達の勝利を認めた。


「・・・・・・それで、お主はどうする?」


「やめておく、あんたはどうやら俺が思ってるよりも人間に敵対してはいないようだ。仲間をやられてるのにも関わらずだ」


 承は仲間を多く倒されてるのに、燐達をちゃんと生かした上で決着がついたことよりも最後のアレは燐に手解きをしているようにすら見えていたのである。


「思うことがないと嘘になるが、神に仕える事こそが我々の本懐、その目的を達せられるのだ。それを思えば彼等も報われる」


 ヴァリタス達スロープは、神である魔狼に仕える事こそが本懐であり、目的を達せられる今承達と争う理由がないのである。


「そもそも、誤解があるようだから訂正しておくが、我々スロープは元来、争いを好まない種族だ。ただ警戒心が強いせいか、慣れない相手だとつい攻撃的になってしまう種族なんだ」


 スロープ族は争いは好まない種族ではあるが、その警戒心の強さからか、知らない相手だと攻撃的になってしまう種族で認めた相手には友好的な種族である。


「その割にはハルピュイアやアンゲロスに攻撃を仕掛けてたみたいな感じだったが?」


「それは奴等が、我々が飛べない事を良いことに挑発して来るからだ!アンゲロスはただのとばっちりだがな。全てはハルピュイアが悪い!」


 スロープ族は、ハルピュイアと敵対関係にはあるが、アンゲロスは翼があるという特徴だけでとばっちりを受けてるだけなのであった。


「一つ聞きたいが、あんた達には神に仕える事が目的であり本懐と言ったが、他のハルピュイアやアンゲロスと言った種族に目的はあるのか?」


 承はこの答えこそ、あの囚われてたダンジョンで種族同士が争っていた理由が分かる気がした。


「ハルピュイアは、新天地と自由を求め、アンゲロスは自分達の正義のため、鬼面族は己の力を示し奪うためだ。他の奴は知らん」


 承はそれだけでは彼等が争っていた理由としては弱かったのである。


「だが、我々と共通してるのが故郷を奪われたと言う事だ」


「故郷を奪われた?」


「我々は代行者と呼んでいる存在だが、その中で『対価と代償』コイツの代行者は世界を滅ぼす前に我々に二つの選択を強いてきた。このまま世界と共に滅ぶか、それとも世界を引き渡し、断片世界で生き残るか・・・・・・我々は生き残る方を選び故郷を失った」


 ヴァリタス達、スロープ族をはじめ他の種族も全てこの代行者によって世界を奪われた存在であった。


「どうして、そうなったか聞いてもいいか?」


「お主らはこの空間をダンジョンと呼んでるみたいだが、我々は宝物殿と呼んでいた。資源が湯水のように沸くそれを我々は何の疑問もなく使い続けた。最初はその宝物殿の影響とは知らず未知の病が流行り出した。そして、調べたら宝物殿から未知の毒ガスが発生したが、原因は不明・・・・・・気付いた時には宝物殿の核が真っ黒に染まっていた。しかし、それでも際限なく資源の採集をやめなかった事を我々は後悔する事になった。『対価と代償』の代行者が現れた時にはもう我々に決定権などなかったのだ」


 スロープ族をはじめ全ての種族はダンジョン資源をダンジョンコアが、所持する魔力を超過しても使い続けた結果、『対価と代償』の権能から生み出された代行者が、対価と代償を取りにやって来て世界を奪われたのだ。


「そこの娘の質問の答えになるが、この空間は断片世界の一つ、我々が宝物殿と呼んでいたものであり、お主らがダンジョンと呼ぶものだ。奴は世界を奪い、他の理外の存在がバラバラにし、断片世界を作り、核で断片世界の秩序を作りあげる。それがこの空間というわけだ」


 ヴァリタスはダンジョンが何なのか承に説明する。

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