↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
チームD-アニマルズ結成

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/193

獣人とのリベンジ

 燐達は獣人達が巣食うダンジョンに再び突入した。


「燐ちゃん、目の前から来る!【イリュージョン】!」


 奏はダンジョン内に入った瞬間に獣人が襲撃して来た事にいち早く気付き、幻術を使用して襲い来る獣人を牽制する。


「ナイス、奏ちゃん!」


 奏に発見された事で襲撃にやって来た獣人の【隠密】は効果を失い、燐の【感知】でも感知できるようになったので、燐は獣人達を斬り倒す。


「【感知】を鍛えただけでここまで戦えるようになるんですね」


「正直、獣人に限らずこういう連中には【感知】は必須スキルになる」


 特に空中を移動できる鳥人や天使には上空からの襲撃に合わないために必須だったりする。


「さて、この調子で行ければいいけど」


「そんな簡単に行く相手なら承さんもここまで警戒してませんよ」


「とりあえず、ここで一つ開けるか」


「え、マジで・・・・・・」


 承はシュールストレミングの缶を開けると離れてる燐達の方まで臭いがやって来る。


「うっ・・・・・・少しとはいえ離れてこれなら、人の数十倍の嗅覚を持つ獣人はたまったもんじゃないね」


「くっさーーー、これ本当に食べられるのー」


「・・・・・・ッこれでも、発酵食品なので食べられますよ」


 三人はそれぞれ臭いによって嫌な顔をしている。


「・・・・・・さっきまで近付いて来てた獣人が離れて行っちゃってるね」


 奏は修行の成果により常時、【感知】を使用出来るようになっており、獣人が近付いていたのには気付いていたが、承がシュールストレミングを開けた瞬間に獣人達の足が止まったのと臭いが強過ぎて言うに言い出せなかった。


「臭いが強過ぎて嗅覚を潰されるのを恐れたから一旦引いたんだろ。だからといって、同じ場所に居続けるのは危険だ」


「そうだね。先に進もう」


 燐の指示で四人は先に進みながら一定の間隔でシュールストレミングを開け道端に設置していく。


「結構、襲って来ると思ったけど・・・・・・やっぱあの缶詰のせい?」


 奏は【感知】を使い警戒してるが、承がシュールストレミングを開けると足を止めて引き返す獣人が多い事に違和感を感じていた。


「あいつらは嗅覚が良い分、自分達の体毛に臭いが付いたら臭いでの敵味方の区別が付かなくなる。それを恐れてるんだ」


「つまり、嗅覚での撹乱というのは、臭いで敵か味方か判別させなくするって事だったんだね」


 承の考えた作戦の意味を燐ははっきりと理解した。


「だが、そうも言ってられない。前も言ったが奴等には人並みの知能が備わっている。嗅覚が使えなくなったところで戦えなくなるわけではない」


 承がやった対策はあくまでも獣人との集団戦を避ける対策であり、戦闘を避ける対策ではないのである。


「油断は禁物って奴だね」


「つまり、嗅覚を頼らずに探しに来る可能性もあるという事ですね」


 燐と須藤は油断する気は更々ないが、獣人を改めて警戒する。


「ねぇ、むしろこっちから襲撃かけちゃうのはどうかな?」


 そんな中、奏がとんでもない事を言い出す。


「奏さん、それはいくらなんでも・・・・・・」


「いや、むしろそれはアリかもしれない」


 反対する須藤とは逆に燐は奏の意見を支持する。


「奴等がどう出るか分からないなら、対策を打たれる前にこっちから仕掛ける。それにおそらく奴等は【感知】は使えない。だからこそ、嗅覚と聴覚でそれを補ってるんじゃないかな」


「なるほど、臭いでは敵味方の区別が付かなくなって混乱してる今がチャンスだという事ですね」


 反対していた須藤は燐の説明で納得する。


「承はそれでいいかい?」


「まさか、ここで攻めるという案が燐さんからじゃなくて奏から出たことが意外だったが、俺はアンタの決定に従う。それだけだ」


 承はこのタイミングで獣人に襲撃を仕掛ける指示を出すのは燐だと思っており、まさか奏からその発言が出るとは思えなかった。


 その理由は前衛で戦うアタッカーやタンクならまだしも後方支援は、そんな発言はしにくいのだ。


「それで、場所は分かる?」


「ここからだとあそこの川沿いを下ったところが近いかな」


「よし、急ごう!」


 燐は奏に獣人の位置を確認するとその指定の場所に進む。


 獣人達は川で水浴びをしており、影の下じゃないのでその姿は透明化していなかった。


「【イリュージョン】」


 奏は獣人達が燐達の存在に気付いた瞬間に幻術をかけ無力化してる間に燐と須藤がそれぞれ、獣人達を仕留めていく。


「なるほど、臭いを取る為に水浴びか・・・・・・理にはかなってるが・・・・・・」


「既に辺りに撒き散らされてるからねー」


 燐は獣人が人間と同じ知能を持っていることを理解したが、奏の言ってる通り辺りには既に臭いが撒き散らされているので、洗って臭いをとったところであまり意味はないのである。


 そして、遠吠えをされる前に全滅させたので救援を呼ばれる心配がないのは、須藤が遠吠えしようとしている獣人の喉を矢で優先的に射抜いていたからである。


「改めて見ると獣人にも色々なタイプがいるんだな」


 目の前に横たわる獣人は犬みたいなのもいれば猫みたいなのもおり、鼠みたいなのも存在していた。


「主に遠吠えで仲間を呼ぼうとしてたのは、犬型の獣人でしたね」


 須藤が喉を射抜いてる獣人は全て犬型の獣人だった。


「今の奏達だから何とか相手出来てるけど、知らないパーティが、ここに挑んだら奏達が最初にあった目にあいそうだね」


「確かに、S級指定は確定だろうね」


 奏と燐は調査が終わり、ダンジョンが開放された時どうなるか不安だった。


「たぶん、こいつらはリポップしないぞ」


 そして、承は倒した獣人は再び出現する事はないことを告げる。


「え?どうして?師匠?」


「こいつらがダンジョンコアが生み出してる存在ならリポップするはずだ。しかし、こいつらとダンジョンコアにはなんの繋がりもない。つまり、こいつらは死んだら終わり。俺達と同じというわけだ」


 奏の質問に承は答える。


「ダンジョンコアは僕達でもまだ謎が多いものなんだよ。それがどうして分かるんだい?」


 燐はダンジョンコアがいまだに謎が多い物体だと分かっており、ダンジョン研究所も下手に扱うとダンジョンコアは繊細な物体であるため壊れやすく、壊れた場合ダンジョンが消滅する事が起きる可能性が高いので深くは調べられないのである。


「ダンジョンコアと親和性の高い怪物は怪物同士で争うことはない。怪物と共闘できるなら、あいつらは使って来てもおかしくないんだが、出来ないからここのダンジョンに怪物がいないんだ。ダンジョンコアがダンジョン内に配置出来る怪物の数には実は上限が存在するからな」


 承はダンジョンコアと怪物の関係を説明する。


「上限が存在するならオーバーフロウは起きないはずでは?」


 須藤は怪物が溢れるからオーバーフロウが発生すると思っている。


「オーバーフロウは、ダンジョンコアの魔力が活性化することにより、制御下においてる怪物とダンジョン内の魔力が暴走してダンジョンの外に溢れ出る現象だ。上限があるからといって起きないわけじゃない」


 承は須藤の疑問に答えると一呼吸おいて告げる。


「このダンジョンコアが、生み出す怪物の数がダンジョン内部に存在する魔力を持った生命体の数を含めた基準にしているんだとしたら?」


「まさか、獣人が多かった理由って」


 燐はこの承の発言で察した。


「怪物を生み出さないようにするためかい?」


「その通りだ。怪物を意のままに操れない。だからといって生み出されても邪魔になるだけ、それならどうするか・・・・・・ダンジョンコアに怪物がダンジョン内に上限以上いる事を誤認させればいい」


 ダンジョンコアはダンジョン内の魔力量によって怪物の有無を判断している為、外から来た生物の魔力量もダンジョン内の魔力量に含まれてしまう。怪物が持つ魔力量と同じ数のダンジョン外の生物がいれば、ダンジョンコアが怪物が存在してると誤認し、怪物を生み出さなくということが起きる。


「それも囚われたダンジョンで知ったのかい?」


「これはまた別口だ」


 承はそれを眷族の権能の倒し方と情報交換した『ナレッジバンク』がジョージに研究資料として渡していたものであり、秘匿情報のため知ってるのは日本国内では承とジョージしか知り得ていない。


「まさか、あんな馬鹿みたいな実験の結果がこんな時に役立つとは思ってもなかったがな」


 最初はダンジョンの収容人数に上限があるのかという実験だった。


 最初は一定時間でリポップする怪物に辟易とする研究者含む先行者達だったが、とある人数から怪物がリポップしなくなったのだ。


 そこで、実験を変更しこの現象の実験結果こそ、今まで獣人がやっていた事なのである。


「俺の知る限り、獣人に怪物を使役するスキルはなかったはずだ。それが出来たのは六種族の中で魔人だけだったからな」


「やっぱり、そういうのもいるんだ」


 奏はゲームはしないが、漫画やアニメは見るのでそういう種族とかには詳しかった。


「意外かもしれないが、魔人はそこまで好戦的な種族じゃない。好戦的ではないが狡猾な奴ばかりだな。獣人とは別の意味で厄介ではあるがこれほどではないな」


 承や真那華は真正面から魔人の策を打ち破っていたので、あまり脅威ではなかった。


「あー、お喋りしてる暇ないかも獣人が、十体こっち向かってる」


「ここはこの場を去ろう。その数は流石に厳しい」


 燐の指示の元、承達はその場を去ると承は去り際に川へ『誘引核』を投げ込んだ。


「今、何を投げ込んだの?」


「『誘引核』だ。もし、あいつらが怪物のリポップを阻害してるなら、数を減らしたらその分湧いて来るはず、そうなれば俺達を相手する暇はなくなる訳だ」


 奏の質問に承は答えていた。


「たぶん、臭いを取る為に来たんだろうけど川に投げて意味あるのかい?」


「『誘引核』は臭いじゃなく特殊な魔力で怪物を引き付けるから問題ない。それに川に入った瞬間、怪物の誘引効果が獣人に付着すると怪物が発生した時に獣人が優先的に狙われるという訳だ」


「まさか、シュールストレミング用意した理由って・・・・・・」


 燐はまさか、今まで倒して来た怪物まで利用するとは考え付かなかった。


「これに関しては獣人が怪物を使役出来ないと確信出来たから決行したことだ。こんな事なら真那華に忌避剤を頼んでおくべきだったな」


 承は忌避剤を使う事でより効果的に、獣人達を狙われやすくすることを考えて後悔していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。