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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
チームD-アニマルズ結成

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チームでの初配信

 真那華、聖蘭(セイラ)、潤は『枯れ鉱山』へ到着すると早速、配信を始めた。


「やっほー、お猿さん達ー。天才魔法剣士のマナだよー、今日はとある有識者の情報でここ『枯れ鉱山』にある隠し通路を探してみたいと思いまーす」


 真那華はいつも通りの挨拶を開始する。


「そんな、攻略について来てくれる。イカれたメンバーを紹介するよ。ウチのチームのレア素材を嗅ぎ分ける犬さん担当のセイラちゃんだよー」


「どんな紹介よ!!犬じゃないから」


「そして、どんな攻撃も全て防ぐ鉄壁という表現すら生優しい防御を誇る亀さん担当のジュンちゃんだよ!」


「え?も、もう、配信・・・は、始まってるの?ははは、初めまして、ジュンだよ。よろしく」


 真那華は二人を紹介する。


『ペットショップかな』


『そうなるとマナ様は俺たちの親玉だからお猿さん担当になるよな』


『まぁ、セイラちゃんが犬なのは分かる』


『犬は犬でも猟犬だけどな。下手に手を出すとこっちが噛まれそう』


『なんか、ジュンって子誰かに似てないか?』


『言われてみればそうかも』


『S級の潜行者、黒鉄燐じゃないか?』


『言われてみればそうだ!』


 潤の存在に気が付いたリスナー達はざわめき出す。


「やっぱり、お姉ちゃんは有名人なんだね。それは妹の僕としては鼻が高いよ」


『待て、今姉と言ったか』


『黒鉄燐に妹がいたのか!』


『また、とんでもないのが来たな』


『黒鉄燐は殲滅者(エクスターミネーター)と呼ばれる純粋なアタッカーだが・・・』


『妹の方は重騎士(ヘヴィナイト)の純粋なタンクかよ』


『姉の方が強い事は知ってるが、妹の方は強いのか?』


『そもそもアタッカーとタンクじゃ求められる強さの種類が違うからな』


 姉である黒鉄燐と全く違う戦闘スタイルに戸惑うリスナーや実力を疑うリスナーに溢れる。


「あー、こう見えてジュンは学校の模擬戦ではあるけど私達二人を抑え切る実力はあるわ。疑うなら実際にその目に焼き付けるといいわ」


 聖蘭(セイラ)は潤のフォローをする。


「それとジュンは重騎士(ヘヴィナイト)なんて可愛いもんじゃないわ。守護者(ガーディアン)よ」


『守護者(ガーディアン)だと!』


『え?あの重装備で重騎士(ヘヴィナイト)じゃないの!?』


「うん、潤ちゃんはこの装備でかなり身軽に動くからね。」


「本当、初見殺しもいい所よ」


 二人は潤に痛い目を見せられてるので潤がそこらのタンクよりも凄い事を知っている。


「潤ちゃんなら、あっという間にC級になれる実力はあると思うんだけどなぁ」


「実績があればA級はくだらない実力はありそうだからね」


「二人共どうしたの?急に僕を褒めても僕には筋肉くらいしかないんだよ?」


 潤は珍しく二人が褒めるので戸惑っている。


 実際、この二人は実力に関しては潤を過大評価するくらいには認めており、間違いなく世界トップクラスのタンクに入るとも思っている。


『姉と戦ったらどっちが強いんだろう?』


「うーん、そもそもポジションが違うんだよね。僕は防いで受けて叩く専門だけどお姉ちゃんは突撃して斬り込みに行く専門だからさ。アタッカーとタンクじゃ求められる役割が違うからどっちが強いか決められないよね」


 それはかつて、燐が悩んだ事の一つだったが、潤が二人で最強を目指そうと言った事で悩みが吹っ飛んだ事である。


「比べるなら同じポジションで比べた方がいいんじゃないかな?だから、マナにお猿さんって言われちゃうんだぞ」


『ぐっ、流石はマナ様のチームメイト』


『可愛い顔していう事がエゲツないな』


『確かに比べるなら同じポジションで比べるべきだよな』


「そうだねー、潤ちゃんの言う通り、頭の中がいくらお猿さんでもこれくらいは分かるはずなんだよねー。だって言ってる事アタッカーとヒーラーを比較してどっちが強いかと言ってる事と同じなんだよねー。求められる物が違うのに比べるって頭の中身が空っぽなのかなー。でもー、その分夢詰め込めるからいいのかなー」


 真那華はこれでもかと言うほどの煽りをする。


『ジュンちゃんが優しく思える煽り』


『ヒーラーの強さはパーティの維持管理能力だからな。そりゃ、全然違うわ』


『求められる能力が違ければ、求められる強さも違うと言う訳か』


「そうそう、だからね。潤ちゃんのお姉ちゃんと比べるなら同じアタッカーのウチとか聖蘭(セイラ)ちゃんと比べるべきなんだよね。潤ちゃんと比べたい場合、ウチの知ってるタンクなら『バルムンク』の葵ちゃんかなぁ」


『葵って、まさか三菱葵か?』


『日本で五本の指に入る実力を持つタンクだろ!』


「え?あの人ってそんな有名なの?」


 真那華はまさか、葵がそんな有名人だとは知らなかった。


「有名も有名、タンクをやってる人はまず知らない人がいないくらいには有名よ。なんで数だけ多い中堅ギルドの『バルムンク』に入ったか分からないとも言われてるくらいだからね」


「葵さんはお姉ちゃんも認める程の実力の重騎士(ヘヴィナイト)なんだよ。なんで、S級じゃないのか疑問だと言ってけど、後々聞いたら実績取るのが面倒だからって理由を聞いた時はお姉ちゃんは葵さんらしくて思わず笑ったと言っていたね」


 真那華を除く二人は当然知っていた。


『聖蘭(セイラ)ちゃんってたまに毒舌だよね』


『まぁ、実際数だけは多いんだよな。あのギルド』


『でも、最近方針を変えたみたいだよ』


『実際、葵さんに会った事あるけどあの人普段はやる気無いのに盾持つと性格が変わったようにしっかりと仕事するからな』


『やっぱり、よくよく考えたらマナ様の周りにいる面子おかしくないか?』


『今更だな。マナ様が俺を鍛えたと言っても過言じゃない程だ。学生だから忙しいのは分かっている。だからこそ、待ち侘びたぞ。この配信を!!』


『ミツルギ来ちゃった』


『そりゃ来るだろ。だって名誉猿だぞ』


 ミツルギの登場でコメ欄がざわつく。


『潤ちゃんが配信出るって聞いて、わざわざオフ貰っちゃったー』


『え?』


『え?』


『え?』


 黒鉄燐の登場にコメントは困惑が巻き起こる。


『でも、『枯れ鉱山』って既に調べ尽くされてた気がするけど大丈夫そ?・・・・・・て、何そのカッコいいメイス!!新調したの!?いいなー、カッコいいなー、僕も帰ったらそこの子に武器新調してもらおっと。あ、素材はちゃんと用意しとくから心配しないでね』


『え?黒鉄燐ってこんなキャラだったっけ?』


『もっとクールなイメージがあったけど』


 黒鉄燐はクールという世間的なイメージがここに来て破壊される。


「お姉ちゃん!!出るかもとは言ったけどチャンネルは教えてなかったはずだよ!」


「いや、教えなくてもSNSでグッドボタン押してたら飛んで来れるでしょ」


 燐は潤が真那華が投稿した配信予告にグッドボタンを押していたのでそこから飛んで来た。


「そうだったーーー!!」


『なんだろう。この妹ちゃんの存在で黒鉄燐のメッキがどんどん剥がれて来てないか?』


『なんだろう凄い残念な臭いがする』


『妹のSNS見てわざわざ仕事の休み貰って配信にすっ飛んで来る辺り完全なるシスコンだろ』


『え?ただの仲良し姉妹なだけなんだけど、僕の妹が可愛いからって嫉妬しないでくれないかな?』


『やっぱり、ヤバい人じゃん!』


 黒鉄燐の登場によりコメント欄は荒れに荒れていた。


「こほん、それじゃあ。まずは隠し通路の場所を確認したいんだよね」


 真那華は『マイナースケルトン』の情報に従い出入り口から少し進んだ辺りの壁を剣で叩いている。


『マナ様、何やってんの?』


『ダンジョンの壁叩いてるだけじゃね』


『隠し通路の場所を確認するって言ってたが・・・本当にあるのか?』


『さっき話してた有識者って奴にデマつかまされたか?』


『そもそも、その有識者って誰よ』


 リスナーが真那華が掴んだ情報を疑ってる所だった。


「あー、ここかな。明らかにこの辺りだけ叩いた時の音が高いね」


 真那華は何回か別の所も叩いて音の違いを確かめる。


『音?』


『確かに違うけど、それが何か?』


『それ、だいぶ昔に気付いた人いて爆弾とか試したけど何も起きないって話しなかったか?』


『確かにあった、偶々怪物に剣を弾き飛ばされて、その場所に当たった時の奴な。二年くらい前の配信だったか?』


『まさか、その情報を使ったデマを摑まされたのか?』


 リスナーの一部は壁の音が違う場所を既に知っており、攻撃や爆弾を試したが何も無いという事を知っていた。


「うんうん、何も分からない無知なお猿さんがたくさんいてウチは凄く嬉しいよ。例えダンジョン由来の素材を使った爆弾でも駄目なんだよね。あの爆弾って鉱石とか採掘したり、確かに怪しいヒビが有れば破壊出来るけど一部のダンジョンギミックには意味ないの気付いてないのかなー?」


『・・・・・・そういえばそうだ』


『たまにある廃墟のダンジョンにある鍵付きの扉は鍵を回収しないと通れないし、爆弾でも確かに破壊出来ない』


『まさか、それダンジョンギミックなの?』


「まぁ、普通は気付かないし、誰もやりたがらないよね。だって、最近まで【感知】のスキルは産廃扱いだったからねぇ」


 そこで、今まで散々見てきたマナのリスナー達は気付いた。


『いや、そんなわけない!考えたくもない!』


『あっても鬼畜過ぎるだろ!!』


『誰もやりたがらないどころかそんな考え誰もしねーよ!』


『危険行為すぎるだろ!自殺志願者か!』


『流石、師匠だ!考え方が常人を超えている!そこに痺れる!憧れる!』


 流石にここまで来ると鍛え上げられた真那華のリスナー達は嫌でも気付いてしまった。


『え?どういう事?』


『僕もそのダンジョンは知ってるけど、意味が分からないかな』


『燐さんでも分からないんだ』


 今回初めて来たリスナーは真那華の考えは理解出来なかった。


「うんうん、この配信を見に来てくれてるお猿さん達は流石に気付いたかな。そう、その想像通りだよ」


『やっぱりか、やっぱりそうなのか!冗談であって欲しかった!』


『当時は色々試した奴いたけど確かにそれだけはやる奴いなかったわ』


『取れ高稼ぐにしてもリスク高すぎるわ!配信者は命あっての物種なんだぞ!』


『今回、初見だからか意味が分からん』


『リスナー達の一体感が他の配信者となんか違うよね』


『まぁ、猿の群れという意味では間違ってないかもな』


『俺含め自認猿ばかりだからな。ここのリスナーは』


『て、事はマナちゃんは猿山のボスなんだね』


『ここの猿達はマナ様のぶっ飛んだ天才的な思考によりにわからせられ鍛え上げられた猿なんで、マナ様が何をするつもりなのか何となく察せるようになってしまったんですよ』


『流石に僕もその域には達してないかなー』


(ぶっ飛んだ思考か・・・なるほどね。だから、僕のスキルの秘密に気付けたのか)


 燐は自分の【分身】が抱える秘密を見破ったのが真那華だとすぐに察した。


「それじゃあ、手筈通りやるから二人はここで待ってて」


「流石にいても邪魔になるだけだからね。ゆっくりお茶でもして待ってるわ」


「僕も力になりたいけど【挑発】だけは持ってないからね」


「いや、逆になくて良かったと私は思うけど?」


 聖蘭(セイラ)からして見るとその欠けたピースがハマってしまうと他のタンクが霞むどころではなく他のタンクの価値そのものが揺らぎかねない事態になりかねないと思っている。


「潤ちゃん、大丈夫だよ。この先開けたら頼りにさせてもらうからさ」


 真那華はそう言うと颯爽と先に進む。


『マジかよ。冗談きついって。もし、仮に出来たとしてマナ様以外に誰ができんだよ』


『でも、もし隠し通路が本当にあって未知の素材を見つけたら』


『そうか!!マナ様が頭を抱えてた実績が得られる!!』


『いまだに話の流れが見えないんだが』


『ミツルギ、アンタなら何か分かってんだろ!』


『無論、分かってる事だが、それは俺から言わなくてもすぐに分かる事だ。師匠は他の配信者どもと違い口だけじゃない行動で俺達を導いてくれる。そんな配信者に俺もなりたい』


『たぶん、そいつがマナ様に一番忠誠心強いから教えてくれねーよ』


『自前で丈夫な猿のカチューシャ作るのに素材集めてたくらいの忠誠心だぞ。他の猿どもが敵うわけねーよ』


『むしろ、ここでの猿扱いはむしろ褒め言葉だからな』


『なんか、ヤバいところに来てしまった気がする』


『安心しろ。新人、お前もいずれああなる』


『何するか分からない分ドキドキするね。潤ちゃんが君を気に入った理由分かる気がするよ』


 リスナー達の心配と期待の中、真那華は『ボンバーヘッド』の誘導へ向かった。

黒鉄 潤(17)

護りにおいては最強クラス

型《バトルスタイル》:守護者(ガーディアン)

好きなもの: 両親(特に父) 姉 筋肉

嫌いなもの: 脂質 糖質 胸の贅肉 スケルトン

好きな飲食: 豆乳 牛乳 鶏肉 野菜全般 プロテイン

嫌いな飲食: ジャンクフード お菓子

趣味: 筋トレ ストレッチ ジョギング 水泳 温泉 サウナ


挿絵(By みてみん)

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