↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
チームD-アニマルズ結成

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/193

二人の腕利きが産み出した武器

 西宮院昴はいまだに戸惑いを隠さなかった。


(おかしい、絶対おかしい。以前と違ってギルドのメンバー、しかも上位層まで僕の言う事を聞いてくれるようになったんだが?いや、良い事なんだけど、どうなってるんだ!!黒鉄燐、一体何を企んでるんだ)


 黒鉄燐がサブマスターになってから何故か今までいう事を聞かなかったギルドのメンバー達が急にいう事を聞くようになったのである。


 本来ならば、嬉しいはずなのだが、今までの扱いが扱いの為に何かを疑わずにはいられないのだ。


 それはおそらく燐が行った方針改革の影響が一番大きいだろう。


 今までは金を稼ぐ為だけでギルドには、仲間との連携を大切にしようとかいうあるのかないのか分からない方針だったが、その上で常にギルドのトップに立てるような数だけ多い烏合の衆とは言わせない、潜行者としても専属の職人だとしても常にトップを目指せるような強いギルドにする事に方針転換した事により、今までは入団に試験はなかったが、実技試験を実施し、一ヶ月に渡る新人教育を導入した上でB級以上の資格を得た者に報奨金を与える制度を導入した事でギルドメンバーのモチベーションを上げた事が大きい。


 今まで以上にギルドマスターである昴の負担は増えたが、燐がサブマスターに就いてからは、今までサボっていた葵まで手を貸すようになっており、昴は一人戸惑い疑心暗鬼になっている。


 年内に国内最強のギルドの一角にする。


 それこそが、燐が掲げた『バルムンク』の目標である。


 ちなみに国内の大きなギルドで最強争いのトップ層にいるのは、東京の『浅草雷門組』、大阪の『ゴールドタイガー』、鹿児島の『薩摩武士道隊』であり、その中で鹿児島の『薩摩武士道隊』がトップに踊り出ている。


 その一角に食い込むのが年内の目標になっている。


 その目標が明確になった事により、ギルドメンバーも真面目に活動に取り組む事になったのである。


(僕は本当にこのままで良いのだろうか)


 ギルドに明確な目標が出来た事で今まで以上にギルドマスターの産廃【射撃術】が足を引っ張りそうで怖いのである。


「昴さん、お客様がおみえです」


 昴の側近かつもう一人のサブマスターは燐の親友でもある。


「えっと、今日の予定は・・・・・・宗像様の妹が来る予定になってるね」


 昴は手帳にびっしりと書かれた予定表で予定を調べる。


 ちなみに承を様付けして呼んでるのは、あまりにも周囲が悪魔的に悪かったので、承の人柄と対応が神対応で聖人か神としか思えなかったから敬意を込めて呼んでいるが、真那華の苗字も宗像である事を忘れている。


「ここに案内できるかい?」


「お友達も一緒みたいですが・・・」


「一応お友達の名前を聞きたいんだけど?」


「東城寺聖蘭(セイラ)さんと黒鉄潤さんです」


「ん!?」


 昴にとってこの二人の身内とは関わりがあるから知っている。


「どうしたんですか?」


「いや、ある意味手間が省けたから良しとするよ。その二人も通してくれ」


 昴自身、この二人とはどこかのタイミングで会ってみたいと思っていた。


 その理由は一人は今後のビジネスパートナーとして一人は燐が認める実力を持つ妹を一目見て起きたかったからである。


 時間は少し巻き戻り、真那華、聖蘭(セイラ)、潤は『バルムンク』に到着した。


「ギルドってビルなんだねぇ。思ってたのと違くてガッカリ」


 真那華はファンタジー漫画で出てくる木とレンガでできた建物を期待していた。


「一体何を期待していたのよ。だいたいのギルドはビルよ。例外があるとするなら大阪城を強引に大阪府から買い取って中を改築して好き勝手やってる『ゴールドタイガー』ぐらいよ」


「あそこのギルドの面子は気性が荒くて喧嘩っ早いって聞いた事があるかな」


 聖蘭(セイラ)と潤は『ゴールドタイガー』に良い印象は抱いていない。


『バルムンク』も評判は良く無かったが、その評判の悪さはまだ、身内同士での評判の悪さだが、『ゴールドタイガー』は一般市民からの評判が悪い。


『ゴールドタイガー』はガラの悪い者達が多く、ギルドマスターは元ヤクザだと根も歯もない噂がたつくらいであり、関西の弱小ギルドを次々と傘下に加え好き勝手しており、観光に来た他所の地域の潜行者ならお構いなしに喧嘩をふっかける。


 特に『ゴールドタイガー』の拠点がある大阪城周辺地域の治安はもはや無いも同然で終わっており、警察だけではどうにもならず京都にある管理局が常に目を光らせている。


「さてと、受付け済ませてチャチャっと終わらせよっと」


「早く帰って筋トレとストレッチをしたいよ」


「ハンドグリップ握っててよくいうわよ。常に筋トレしてないと死ぬ生き物なの?」


「休んでるよ。今日は腕周りを中心にしたいからお腹周りの筋肉は休憩かなぁ」


 潤は筋肉の休憩はするがあくまでも部位ごとの休憩なので、毎日筋トレしているのである。


 二人が話してると真那華は受付けを済ませる。


「今、担当者が呼びに来るってさ」


「担当者って昴さんの側近のことよね」


「お姉ちゃんは今日から出張で管理局集合だからいなかったら葵さんって人が案内するかもと言ってたね」


 潤の姉である燐は復帰早々、東京の八王子で発生している未調査ダンジョンの異変を解決する為に出張となった。


「ウチの兄ぃも管理局で出張に行くとは言ったけどウチにはなんの説明もしてくれなくてさー。絶対それじゃん!行きたかったなー」


「承さんが言わなかった理由が分かるわ。言ったら無理矢理にでもついていったでしょ」


「当たり前じゃん。だってどう考えてもダンジョンに行くんだよ。兄ぃはウチがいないとダメダメなんだからね」


「それはどちらかと言うと真那華のような」


 聖蘭(セイラ)から見ると真那華の方が、承にベッタリなブラコンな気がした。


「僕も気になって出張について聞いてみたけど、守秘義務があるから喋れないって言ってた」


「まぁ、言ったら混乱を招く内容なら言えないわね」


 聖蘭(セイラ)は大災害の時に起きたダンジョンから怪物が溢れるところは見たことないが、それと似たことが起きる程の依頼だと勝手に想像していた。


「ずるいなぁ。兄ぃばっかりさ」


『深淵の樹海』のシークレットエネミー『禍津』を倒したのも承であった。


「ずるいも何も、承さんは遊びで行ってる訳じゃないのよ」


「やっぱり、聖蘭(セイラ)ちゃんは兄ぃの肩を持つんだねぇ。潤ちゃんはお姉ちゃんがずるいと思わない?」


 聖蘭(セイラ)は別に承の肩を持っておらず普通の事を話しているが、普段の聖蘭(セイラ)を見てるとそんな風に見えてしまうのだ。


「うーん、僕はお姉ちゃんが無事に帰って来てさえくれればいいかな。だって、真那華のお兄ちゃんって理不尽に強いじゃないか」


 潤は真那華に見せてもらった『禍津』を蹂躙する承の動画を思い出しながら話す。


「お姉ちゃん言ってたよ。どうやって倒したんだろうって・・・・・・僕知ってたけど何も言えなくなったよ。言える訳ないじゃん!何度も何度も手加減の調整をしながら倒したなんて!・・・・・・てっ、手加減の調整ってなんだよ!いらないよそんな調整!!」


 潤は一人で混乱して一人でツッコミを入れている。


「潤ちゃんは潤ちゃんで兄ぃと会わせるとまずそう」


 潤が一人混乱していると葵が真那華達の元へやって来た。


「えっと、葵と申します。ギルマスの昴さんのどこまで案内します」


「よろしくぅ」


「こらっ!」


 真那華の軽い返事に聖蘭(セイラ)が注意する。


 葵に案内され、エレベーターに乗ると2Fのボタンを押す。


「え?一番上の7Fがギルマスの部屋じゃないの?」


 真那華は偉い人は高い階層にいるイメージがあった。


「最初は7Fでした。ですが、昴さんは高所恐怖症なんです。窓から外が見えると脚がすくんで動けなくなるので2Fになりました。可愛いですよね」


(今のどこに可愛い要素あった?)


 聖蘭(セイラ)は葵の歪んだ愛情に心の中でツッコミを入れる。


 葵が部屋の前に着くと扉をノックすると扉の向こうから「どうぞ」と声がする。


「入ります」


 と葵が扉をあけ真那華達を案内する。


「初めまして、『バルムンク』のオーナー兼ギルドマスターの西宮院昴だ。立ちっぱなしは疲れるだろう。腰掛けてくれ」


 昴は四大家としてではなく『バルムンク』の立場として真那華達に挨拶した。


「こうして顔を会わせるのは初めてですね。東城寺厳蔵の義理の・・・・・・」


「義理はいらない・・・・・・厳蔵殿の娘、東城寺聖蘭(セイラ)ちゃんだね。僕にとって君も東城寺厳蔵の子供だ。・・・・・・なるほど、僕から見た感想だけど、君が他の兄妹の中で一番、厳蔵殿に近い雰囲気を感じる。まぁ、これは僕が言うべきではないと思うけど君が東城寺を継ぐべきだね。むしろ、君が一番適任だ。まぁ、これは助言だと思ってくれたまえ」


 昴は厳蔵の息子や娘には会った事があるが聖蘭(セイラ)だけは会ったことは無かった。


 昴が他の兄妹の印象は厳蔵が持つほどの威厳を感じられず、誰が後継者になっても悪くはなっても良くはならないという印象だったが、聖蘭(セイラ)には厳蔵との血は繋がってなくとも厳蔵が持つ威厳を感じた。


「ありがとうございます。しかし、後継に関しては義父が決めることですのでご期待には添えないかもしれません」


「構わないよ。でも、有能な人財は国の宝だからね。腐らせておくのはもったいないというのが西宮院としての僕の考え方だからさ。」


 昴は聖蘭(セイラ)が国にとって有益な人物だと認めた上で言ってるのであった。


「初めまして、黒鉄燐の妹の黒鉄潤です。お姉ちゃんが迷惑かけてませんか?」


「ハハハ、迷惑・・・・・・か」


 昴は遠い目をしている。


「最近は彼女のおかげで更に忙しくなったかな。まぁ、良い事なんだが、でも妹ちゃんが卒業したらここに入るって燐ちゃんが喜んでいたからね。あそこまで喜んでる燐ちゃんは見たことなかったよ。きっと、何か良い事あったんだろうね」


「え?聞いてないんですか?」


 潤は燐の【分身】が変異した件を話したと思っていた。


「まぁ、アレはかなりのイレギュラーだから話しても信じられないから話せないんじゃない」


 真那華はその件に関しては説明したところで信じてもらえない事を懸念して燐が説明しなかったと思っている。


「確かにそうだね。お姉ちゃんなら説明するのも面倒くさがりそうだからね」


 潤は姉の性格上、ややこしく面倒な説明を面倒くさがり、やらない事は容易に納得出来た。


「・・・・・・話しが読めないんだけど」


 昴は真那華と潤の話しが見えなかった。


「仕方ないので僕から説明します」


 潤は姉の燐の身に何があったか昴に話し足りないところは真那華が補足していた。


「そうか、【分身】がそんな事になるのは確かに信じられないが、おかしいと思ってはいた。燐ちゃんが【分身】を使わなかったのは使うに足る相手が現れないからだとそう思っていた。だからこそ、強い相手を求めてたと思っていたが、そんな事情があったとはね。だから、あそこまで三層に拘ったのか・・・・・・」


 昴は燐の不可解な行動に何となく納得いった。


「三層?」


 潤は何の事か分からなかった。


「こっちの話しだよ。でも君はタンクか、燐ちゃんから聞いてるよ。最強クラスのタンクの自慢の妹だって、今後の活躍に期待しているよ」


 昴は一目見て分かった。


 姉である燐とは別の意味でやばいと


「ウチは宗像真那華、兄ぃの頼みで『蓄電結晶』と『魔龍玉』の件で来たんだけど、早くやらせてくれないかな?それと報酬の件も忘れないでね」


「・・・・・・報酬の件は・・・・・・本当にアレで良いの?僕しか得してない気がするんだけど」


「ウチが問題ないと言ってるから問題ないの!さぁ、今すぐにでも始めるよー♪」


 真那華はさっさと素材の製作に取り掛かりたかった。


「そうそう、ちなみに『蓄電結晶』は面倒だから作ってきたから材料はいらないよ。『魔龍玉』は材料の兼ね合いでここでやるけど」


 真那華はポーチから『蓄電結晶』を取り出し、昴に渡す。


「え?ちょっ!?」


 あまりの手際のよさに昴は戸惑う。


「すぐに取り掛かれば、すぐに聖蘭(セイラ)ちゃんに頼めるからねぇ。職人も雇ってるなら鍛治炉くらいあるでしょ。ここで作業すれば今日中に試し撃ちくらいはできそうだからね」


「ああ、そういう事か」


 昴は真那華が急かす理由がわかった。


 魔填銃は一つ一つ【錬成鍛治】で各パーツを製作して組んで完成なので時間がかかるのである。


 聖蘭(セイラ)もその手間を知ってるので魔填銃はなるべく製作したくないのだ。


「分かった。今すぐ持ってこよう」


 そして、昴が見守る中、真那華はあっという間に『魔龍玉』を作成してしまう。


「簡単そうにやってるけど実際は難しいのよね。今の私でも二、三割くらいしか成功しないわ」


「え?そうなの?」


 その難易度を知ってる聖蘭(セイラ)は改めて真那華の凄さを思い知らされた。


 潤は【錬金術】がないのでそもそも分からないのである。


「さて、次は私ね。作業着に着替えて来るわ」


 聖蘭(セイラ)が作業着に着替えると1Fにある鍛治炉に向かい、鍛治炉に到着するとすぐに作業に取り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。