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周泰  作者: 涼風隼人


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第1回 周泰、蒋欽と出会う

 「どこもかしこも、盗賊、山賊がはびこっている。どうにかならないものか・・・。」

 

 一人呟く、大男がいた。

 

 姓は周、名は泰、字は幼平、「周泰」である。出身は揚州の九江郡であった。

 

 貧しい寒門の出で、今は、盗賊や山賊で困っている集落の傭兵となり、食い扶持を稼いでいる。

 

 諸侯は自分たちの領土の拡大に躍起となり、民の生活など全く気にする様子もなかった。それが許せず、今の生活を送っている。

 

 周泰は、この辺りでは既に盗賊、山賊からも恐れられる存在であり、様々な集落から引く手あまたであった。

 

 そんなある日、一人の大男が周泰を訪ねてきた。

 

 「でかいな・・・。」

 周泰は呟く。周泰も立派な体躯の持ち主であるが、こちらも負けず劣らず、という感じであった。その男が言う。

 

 「周泰殿とお見受けいたす。俺は、姓は蒋、名は欽、字は 公奕と申す。周泰殿は相当の腕の持ち主だとか。不躾で申し訳ないが、俺と一騎打ちで戦ってくれぬか。」

 

 「・・・何故?その様ないわれはないが・・・・。」

 

 「ああ、ない。しかし、あまりにも周りの奴らが、あんたの名前を出すものだから、戦ってみたくなってしまったのだ。」

 

 「・・・。しかし、やはり俺には蒋欽殿と戦ういわれはない。」

 

 このふたりがやり取りしている最中、近隣の集落の者が周泰のもとに飛び込んできた。そして言う。

 「周泰殿!また盗賊が出た。その規模は、普段の比じゃない。数百はいるようだ。」

 

 「わかった。今すぐ行こう。蒋欽殿、こういうわけでお話はここまでとさせて頂く。」

 

 「周泰殿、俺も行くぜ。俺も腕には自信があるんだ。」

 

 「助けてくれるのか、かたじけない。」

 

 二人は馬に乗り、集落を目指した。

 

 集落からは、煙がもくもくと舞い上がり、住民たちの叫び声が聞こえてきた。

 

 周泰は怒りに顔を紅潮させて言う。

 

 「蒋欽殿、私はこのまま一騎掛けで突撃をする。」

 

 「何を言う。俺もついていくぜ。」

 

 二人は猛然と集落の中に突撃をかける。

 

 ものすごい勢いに、盗賊たちは面を食らった。しかし、その面を食らった者たちの首はすぐさま飛んだ。

 

 「やるな、蒋欽殿。」

 

 「周泰殿もな。さあ、この調子で片端からやっちまおうぜ!」

 

 二人は足並みをそろえて突撃をしていく。

 

 ここかしこに、盗賊たちの首が転がっていく。

 

 馬上にいる者たちを見かけた。蒋欽が言う。

 「あいつが、頭目かい?」

 

 「ああ。以前、俺から逃亡した奴だ。今回は、その復讐なのであろう。」

 

 頭目の後ろには、依然、一〇〇人ほどのならず者が見て取れる。

 

 頭目が叫ぶ。

 

 「周泰!久しぶりだな。今日は、弟の仇を討ちに来た!」

 

 

 「弟の仇・・・。ならば、何故、俺との一騎打ちを選ばぬ?この集落の者たちは関係ないだろう。」

 

 「ははは!周泰、俺があんたに勝てないのは、俺自身がよくわかっている。だからまずは集落をぶっ潰して、その後にじっくりとあんたを殺す、というのが今回の作戦さ。」

 

 「・・・。哀れな男だな・・・。参る。」

 

 周泰はそういうと、一直線に頭目に向かって駆け出し、その首を一閃のもとに切り落とした。

 

 その一瞬の光景にあっけにとられて動けない盗賊たちを次々と討ち取った。

 

 蒋欽も合流し、盗賊たちはほぼ全滅した。

 

 周泰と蒋欽は、馬上から当たりを見回した。

 

 数えきれないくらいの首や死体が転がり、当たりは血一色にまみれて、ものすごい臭いを放っていた。

 

 「救うことが出来なかった・・・。」

 

 周泰は言う。それに返すように、蒋欽は言った。

 「何を言っているんだ?盗賊たちはほぼ全滅させたじゃないか。」


 「確かに盗賊たちは討ち取った。しかし、村人たちもかなりやられてしまっている・・・。」


 「それは周泰殿、あんたの責任じゃないだろう。」


 「そうかもしれんが・・・。前回、あの頭目を取り逃がしさえしなければ・・・。」


 「後悔しても死んだ奴は生き返らない。それが、現実だ。」


 「それはわかっている・・・。」


 「よし、それなら俺と旅に出ないか?ここにいたら、ずっと暗い顔をして生きていかねばならないだろう。」


 「旅に出る理由が無い・・・。」


 「あるさ。俺と二人で各地の盗賊や山賊で困っている人たちを助けて回るのさ。」

 

 「・・・。それが罪滅ぼしになるのか・・・。」


 「ならないね。今回の事はもう、終わったことだ。ただ、困っている人たちを救うことは出来る。そのための旅だ。」


 「私でいいのか・・・?」


 「もちろんだ!むしろ、あんたみたいな強い相棒がいれば、どんな相手にも負ける気がしないぜ。」


 「・・・。わかった。ただ、この集落の片付けや再建はどうしても手伝いたい。それで、いいか?」


 「ああ。もちろん、俺も手伝うぜ。」

 

 こうして二人は、この先、行動をともにすることになるのである。

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