迷宮戦
ある日の晨弥とクラウド
「クラウドって結局どこの国出身なわけ?」
「おいおい、この顔を見てもわからねえのかよ?」
「わかる分けねえだろうがよ!その顔でよお!」
「ヒ・ミ・ツ さ!今のご時世個人情報の開示は危険だからね!」
「こっちで科学世界の住まいの個人情報隠したってどうにもならねえだろ」
「ヨーロッパさ」
「範囲がいかれているだろうが!ざっくり日本の30倍くらいあるだろうがよ!」
「向こう帰ったら日本に移住しようかな?考えてはいたんだよなぁ、、、オススメどこ?」
「無難に関東圏行けば?電車一本で東京行けるくらいのところで」
「無難すぎじゃね?なんか、、、さあ?いい感じの穴場ねえの?」
「穴場ねえ、、、田舎行ってもだしなあ、、、」
「日本の田舎!行ってみてえ!住んでみてえ!」
「それアニメ見て言ってるだけだろ。どのレベルの田舎言ってるんだかわからんけど、、、、日本の田舎に夢見ないほうがいいぞ?」
「やめろお、、、やめてくれえ、、、夢見させてくれえ」
「旅行だけにしときな」
「とりあえず東京と京都には行くよな?」
「なんで疑問形なんだよ?」
「いやだって、俺が日本行ったらお前も一緒に回るんだろ?」
「回らねえよ。東京とかより日本三景見に行きたいもん。」
「なんだよ?東京嫌いか?」
「東京なあ、、、行ったこと全然あるけど、、、駅周辺がなんか臭くて嫌になった記憶がある。あと純粋に肌に合わん。風景見ていたい。」
「面倒な日本人だなあ、、、、」
「なんだこの版権野郎。ま、戻れたらな」
「おうよ。」
「あといい加減その魔眼解いて本当の面見せろや。」
「それもいや。」
「なんなん?本当によお」
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晨弥たちが迷宮3階層を移動中
迷宮外
「ウォナ支部長!?いかがなされたのですか!?」
晨弥たち最下層組が迷宮に潜ってから
迷宮の入り口に陣取っていたウォナ
そのウォナが急に戦闘の準備を始めたことに驚いたギルド職員が声をかける
「すみませんが、騎士団から何名か私と一緒に迷宮に潜ってください!それと君は迷宮に潜った人間と残った人間の確認をしておいてください。もし人数が合わない場合はギルドと聖都に報告をお願いします。」
そう言い残すと数名の騎士団員とともに迷宮に潜っていった。
晨弥たちが魔力を感じ取る前にウォナは迷宮の違和感を感じ取っていた。
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晨弥たちと別れ、魔力の持ち主のもとへ向かうクラウドたち
その道中
「十中八九異世界人だ。相手は俺がする。お前たちは迷宮をでて支部長に報告しろ」
「本当にひとりでいいのか?3人いるんだろう?」
「ああ、すまんが邪魔だ。」
「わかった。タイミングは?」
「ま、わかるだろ?」
「キラーパスも大概にしてくれ。」
「いやあ、魔力の持ち主たち見えてきたし、、、ね?」
魔力の発信源へ行くまでの道中には負傷者がおり
魔力に近づくほど死者が増えていった。
そして
今いる4階と3階をつなぐ階段?の近く
三人の言い合いをしている異世界人がいた。
「クラウド?どうした?」
「いや、、、、ここが異世界で良かったってよ。」
俺と同じ白人と黒人そして黄色人。おそらく黄色人は日本人だろうな。
「ほら見ろよ!あいつ、例の異世界人だろ?日本のキャラに影響受けまくっているだろうが!」
「あ゙あ゙?あいつ日本人じゃねえのかよ。」
「悪いな。お前と同じ白人だ。」
「はあ?!てめえ、それでも白人かよ!?クソJOPの文化なんかに影響受けやがって!」
・
・
・
その後もクラウドたちを無視し三人は罵り合いを続ける。
「ならこいつらを一番殺せた奴が正義だ」
クラウドたちを指して言い放つ
どうしたらそうなるんだよ!
だが、、、立ち位置がまずいな。
闘うことそのものはいいとしても、、、奴らが階段側、、、
俺たち全員を殺す宣言している以上
簡単にいかなそうだな
なら
「未来よ今に至れ」
先手で切り開く
身体強化の魔法の中で強化の部分だけをみたら最高の強化を誇る深淵魔法
クラウドの肉体に赤黒い靄が立ち込める
と同時にクラウドの意図を察し
アスドラにつかまるエフエフのメンバーたち
異世界人3人組もまた動くが
クラウドの方が速かった
「星雲の剣」
大剣をふるったその瞬間
星々が天の川を作り出しているかのような幻想的な魔力の光がその場に満ちる。
異世界人たちが攻撃を捌くことに意識を割いているうちにエフエフは階段までたどり着き
4階から脱出することに成功する。
「チッ!」
異世界人たち全員がエフエフのメンバーを追おうと動く、、、、、が
「行かせねえよ 影沼 影槍」
影沼
闇魔法に分類される魔法
影を作り出しその影を踏んだものの動きを止めさせる魔法
影槍
闇魔法に分類される魔法
影から影の槍を発生させる魔法
「おいおい。同じ白人のよしみで見逃そうとしてるってのに」
「知ったことかよ!」
軽口を叩く余裕はある
が
クラウド自身は3人を相手にしているのはもちろんなのだが
他の3人に関しても時折流れ弾と称して攻撃をしているため
1対1対1対1
という構図が出来上がっていた。
そのなかでも
あの日本人は晨弥よりはすべてが雑だな
あの黒人はゴルドルの完全下位互換ではないが、、、問題ないな
問題はあの白人、あの3人の中で一番強いのは間違いない
対人特化ってわけでもなさそうだが、、、晨弥よりはできるんだろうな。
晨弥の場数の問題かもしれないが、、、
クラウドは淡々と評価を下す。
その後も数分間の間
魔法を使わせないような立ち回りを続け
近接戦闘を継続させる。
!下から魔力の高まりを感じる、、、、
あっちも始まったか。
気が付けば最下層でも戦闘が始まっていた。
4階層と最下層、厳しい状況にあるのはここだとクラウドは評価する。
!やべっ!日本人目を離しすぎた!
クラウドがほんの少し最下層に意識を集中させている間に日本人が距離をとっていた。
意識から外れたことを認識して距離をとったわけではなく
たまたまだった。たまたま階段近くまで離脱していた。
しかしかみ合ってしまった。
魔法を使う時間を稼げる距離をとった日本人が魔法を使おうとした瞬間
スオッ
消え入りそうな空気の切る音が日本人の首に迫る
!
「ッぶねえなあ!だれだよ!」
階段の前に陣取っていたのは大鎌を携えたウォナだった。
「途中でパーティメンバーに会って話は聞いた。異世界人3人、、、さすがにきついな、、、」
言葉とは裏腹にウォナの口元にはほんの少し笑みがこぼれていた。
ジュドウン!
ウォナが大鎌を構えると同時に刃の部分に赤黒い魔力があふれ出る。
その瞬間クラウドが全力退避
他の異世界人たちが一瞬遅れて回避をし始めた瞬間
「煉獄・撃」
煉獄
火魔法と深淵魔法の合成魔法
火魔法に関しては高位の火魔法を制御できるだけの技術と
ある一定レベルの火属性の才能がないと成立しない
眼前に向けた放たれた煉獄は回避が遅れた異世界人たちを呑み込んだ。
それでもと言うべきか、異世界人の体のタフネスと言うべきか
あの攻撃を受けてもなお、3人はボロボロになりながらも耐えきっていた。
クラウドは予想通りだとでも言うかのように
一番厄介だと考えていた白人に星雲の剣を振るうために若干距離を詰めた。
ウォナもまた再び魔力をため炎を刃に纏わせる
「ウオオオオオオオ!」
狙いが自分だと気が付いた白人は二人の異世界人を魔力操作で動かし
盾とすることで攻撃を防いだ
「「!?」」
「マッ」
クラウドが驚いたのもつかの間
ビジュン
白人は隠し持っていた魔道具を使い二人に行使する。
その結果クラウドの体を雷撃が貫いた。
ウォナもまた防御が間に合ったものの大怪我をおった
ほんの一瞬の間に状況はクラウド優勢の状況から壊滅的な状況に転がり落ちていた。
「ウォナ殿!」
ウォナはエフエフから話を聞いたのち
騎士団を置き去りにする速度で4階層まで下ってきていた。
このタイミングで騎士団が合流を果たす
騎士団がたどり着いた時にはすでに
近くに協力者がいたのか白人は姿を消していた。
置き土産をのこして
「ウォナど、、、、クラウド殿!」
「急ぎ地上へ!」
矢継ぎばやに指令を飛ばす騎士団
できるだけその場にいる人々を連れ出そうと奔走する騎士団の一人が
「マズイ!総員!離脱!」
置き土産という名の魔力暴走を起こし
いつ爆発してもおかしくない設置型の火魔法を見つけ
撤退の号令をかける。
これが晨弥たちが討伐した直後に起こった迷宮崩壊の要因であった。
これの発見が早かったおかげと言うべきか、
騎士団はウォナとクラウド、そして連れ出せるだけの生存者、死者を迷宮外に連れ戻すことができた。
そして3階までの冒険者たちもエフエフのメンバーに退避命令を聞かされたことにより
被害はなかった。
これが今回起こった昇級試験での事件の全容であった。
、、、、
時間は晨弥が迷宮の外に出た時に戻る
目の前に広がっていたのは
痛みに呻く負傷者たちと神聖魔法や回復薬で治療を施す
ギルド職員と聖都から派遣された人々
そしてその近くには
死者の遺体が集められていた。
「どうなって、、、、、いるんだ?崩壊に巻き込まれた、、、のか?」
晨弥が言ったのか矢石の誰かが言ったのかは定かではない
しかし全員が思ったこと
いや
そんなはずがないことは分かっている。
わかっているのだが、、、
それ以外はないと自分に言い聞かせたい
その思いからきた言葉であった。
クラウドたちは無事かな?
晨弥はふと思いクラウドたちを探す
探すのだが見当たらない
傷を負わなかった者たちのところにも
負傷者たちの中にも
ましてや死者の中にもいなかった
迷宮の方に目をやり
まさかと思い始めたころ
!?
クラウドの魔力を見つける。
しかし感じられる魔力が非常に弱弱しいものとなっていた。
クラウドがいたのは拠点の隅の方に建てられていた聖都から派遣された者たちのテントであった。
「クラウド!」
声を荒げながらテントに入った晨弥の前にいたのは
腹に穴が開き、聖都の人々に回復魔法をかけられている横たわったクラウドの姿があった。
「よ、、グ、、、、や」
聖都の何人もの人々に回復魔法をかけられているにもかかわらず
良くなる兆しが見えない状態であるにもかかわらず
普段同様話しかけようとするクラウド
「っ、、、」
そんなクラウドとは対照的に
言葉を発することができない晨弥
言葉を発することができないのか
頭がもうすでに真っ白になってしまっているのか
それすらわからない
「このか、、、、お、、と、、、な、、まえ、、、、で、、、し、、、の、、、ま、、、っいよ、、、、な、、、、」
「んなこといってる場合じゃ、、、、」
晨弥とクラウドが話す裏では
聖都の人々が回復魔法の効きが悪いと別の魔法の準備をしたり
それ以上話すなと制止するが
二人の耳には届かなかった。
晨弥はすでにクラウドに対して神聖魔法をかけていた。
しかし晨弥は神聖属性を持ち合わせていない。
晨弥の魔法はクラウドには意味をなさなかった。
だが無意味だったというわけではない
晨弥の神聖魔法の行使によりあたりに魔力が満ちていた。
これにより聖都の人々の魔法が強化された。
それでもクラウドは弱っていく
少しずつ魔眼によって変えていた顔が戻っていく
晨弥にできることはもう何もなかった。
「しんや、、、、、あとは、、、、たくす」
「何、、、言ってんだ?、、、なあ?、、、おい!」
クラウドは答えない
いくら呼び掛けても
、、、
何度呼び掛けても
答えてはくれない
「クソが、、、」
それは何に対しての言葉なのか
あの時未来視を使わなかった自分なのか
神聖属性を持ち合わせない自分なのか
悲しみがわいてこない自分なのか
悲しみ以外の何かの感情がわいている自分なのか
分からないまま
昇級試験は終わりを迎えた。
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「生き残ったのはお一人だけですか、、、、」
「ハァ、、、、、ハァ、、、、、」
「おや?なにをお持ちで?、、、、武器?回収してきたんですか?それはあなたがお使いください。」
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