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作戦実行!

 俺はさっそく、スキル『利き鼻』を使ってアマタのいる場所を捜索した。

 俺の『利き鼻』は一度嗅いだことのある人物の臭いならば、この世界中どこにいても捜索が可能だ。

 例えそれが海底であろうと造作もないことだ。

 アマタが今いる場所はとても潮の匂いがする。やはり海底ダンジョンに潜っていることは間違いなさそうだ。

 俺は神経を研ぎ澄まし、彼が一箇所に留まっていないかどうかを確認する。

 ──ダメだ。まだゆらゆらと海上を航海している、そんな感覚を覚える。

 つまりは彼は、まだダンジョンを探索している段階で、まだダンジョンの中に入ってないということだ。

「ダメだ。まだアマタもダンジョンを探索している段階らしい」

「どうやらそのようだね。私も魔力を探ってみたけれど、強い魔力にぶつかっている様子はないね」

 レイがそう言って、俺の理論を補強してくる。

「やっぱりそうか。ん?」

 俺はあることに気がついた。レイはアマタの魔力の位置を探ることができて、しかもダンジョンの中にいるのか

どうかも知ることができるのではないか? ということである。

「お前もしかして、やろうと思えば俺と同じことをできたんじゃないのか?」

 そう俺が言うと、彼女は「まあね」と胸を張って答えた。

 つまりは俺は、レイの手のひらの上をコロコロと転がっていただけということになる。

 そう考えると正直ムシャクシャするが、逆に考えれば作戦の方向性はレイも同じことを考えていたのであろうと考えられる。

 ただ逆に考えるならば、やはり俺が今からやろうとしていることは間違いではないはずだ。

 俺は理論の補強とより正確な探索ができるというポジティブな要素だけを受け取ることとした。


 俺達がスキルを使い始めて、数十分経って気がつくことがあった。

 それは、意外とスキルを維持することは集中力と根気が必要だということだ。

 つまりは二人が同時にスキルを維持することは、正確性は増すが効率性という観点で見るととてもよいとは言い難い。

 俺は正直最初に辞めようと言い出すのは、ギブアップしたみたいに捉えられて嫌ではあったが背に腹は代えられない。

 それに正しい指針を示すのも、リーダーの務めというやつだ。

 俺は、さっそくレイに交代制でアマタを見張ることを切り出した。

「なあレイ」

「なんだい?」

「正直言って二人で、アマタの位置を見張るのってあまり効率的とは言えないんじゃないか?」

 レイは少し頭を傾げ、数秒考えた後答えをつぶやいた。

「確かにそれはそうかもしれないね。それでナユタはどうしたいんだい?」

「やっぱりそうだよな。俺は、あと三十分スキルを使い続ける。その後レイがまた三十分スキルを使い続けて欲しい」

「なるほど、交代制ってやつだね。わかった、そうしよう」

 このときレイは素直に俺の提案を飲んだ。

 やはり正直彼女も疲れを感じていたみたいであった。

 レイがスキルを解除すると、今度はルリの出番であった。

 ルリは、レイの消耗した魔力を回復するためスキルで魔力を分け与えた。

 レイのスキルは俺の『利き鼻』と違い、魔力を消耗するため無限に使えるわけではないのだ。

 やはり俺の提案は間違いではなかったと思わされた。

 まあ俺の『利き鼻』も集中力と体力を削るという意味では、やはり有限なのだが。

 そんなことを考えていると、何やらアマタに動きがあった。

 アマタが一箇所で動きを止めてのである。

 これは……? と思い、レイに尋ねてみる。

「なあ、レイ。もしかしてアマタの奴ダンジョンに辿り着いたんじゃないのか?」

「待って、今探索してみる」

 そう言って彼女は、再び術式を発動しダンジョンに入ったかどうかを探り始めた。

 結果はすぐにわかった。

「間違いないね。強い魔力と魔力のぶつかり合いを感じる。彼は間違いなくダンジョンに潜入している」

「よし! まず第一関門突破だ!」

 俺はガッツポーズを掲げて、早くも勝利を確信した。

「善は急げだ。さっそくアマタの元へ飛ばしてくれないか?」

「わかった。やってみるよ」

 そう言ってレイは、俺達をダンジョンに送るための移動魔法を唱え始めた。

「賢者レイが命じる、彼の者たちをダンジョンに送り届けよ『ムーブ!』」

 そう唱えた次の瞬間俺達の意識は、一瞬失われ気がついたときには別の場所にいた。

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