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トレモロ 5  作者: 安之丞


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5巻 1章 1話



あれから13年後。

クラウンは30歳になっていた。


アース。

エコノバ・福岡。


都会的な建物にたくさんの植物が植えられ、ビル街は緑化している。とても濃い緑のある街並みや自然公園もあり、豊かな森に自然の温かさがある。


フォレスト地区。そこにクラウンは家を借り、ハニと住んでいる。


ドーム状のガラス窓から、木漏れ日がキラキラ差し込む。ベッドルームでクラウンとハニは寝ている。2人の背中や腕にはこれまでの激戦の傷跡があちこちにあった。


ピンポーン!


玄関のチャイムが鳴った。


ガバッ!

クラウンはチェックのパンツとゲームTシャツにさっと着替え、扉を開けに玄関へ向かった。


「はいー。」


ガチャ。


クラウンが扉を開けると男の子が見えた。光に照らされ男の子は光って見えた。あまりに眩しくてクラウンは手を扉から離して目を覆った。


「あの、ギルドから来ました、、あの、僕、、」


バタン。


話の途中で扉が閉まってしまった。


「うおー。まぶしー。」


「誰か来たの?」ヨガウェアに着替えたハニが慌てて来た。


「うん。眩しくて閉めちゃった。」


「閉めちゃったじゃないよ。誰か来たんでしょ?すみません、今開けますね。」ハニはゆっくり扉を開けた。


髪や肌、まつ毛も白い男の子が立っていた。


「ギルドから来ました。ビクトール・ヴィキです。お父さんに会いに来ました。」ビクトールはクラウンを見て軽く会釈した。


バタン。


ハニが扉から手を離すと扉は閉まった。「えっ?えっ?どーゆー事?!他にも付き合ってる人がいたって事?!」


「いないよ!年考えてよー。あんな大きな子供がいるわけない!それに浮気なんてしてないからね!何歳か聞こうよ。」


クラウンは再び扉を開けた。


「とりあえず中入りなよ。何歳?」クラウンが片眉を下げて聞いた。


「ごめんなさい。変な冗談言ってすみせん。15歳です。」


「ほらー。ハニ、15歳じゃ僕の子供じゃないし。僕一回も浮気した事ないからねっ。」


「あの、クラウンさんは存在がお父さん的って意味で。」


クラウンとハニは不思議そうに男の子を見た。


「ハニさんですよね?僕にとってはお母さん的な存在?僕が勝手にそう思ってるだけです。初めまして、ギルドのビクトール・ヴィキっていいます。」


「ビックリしたー。えっ、私がお母さん?うふふっ。なんで私達が?」誤解が解けてなんだか急に嬉しそうなハニ。


「これ見て下さい。」ビクトールはログを検索してディスプレイを見せた。


そこには、プロマキシケンタウリcで保護したゴールデンベビーの卵が写っていた。ビクトールは卵と自身を交互に指差した。


「えーっ?!あの時のーっ?!」クラウンとハニは声が揃った。


「これ僕です。」ビクトールは嬉しそうにうなずいた。


「うわ〜。なんか感動ー。」


「ハグしていい?」ハニが両手を広げると3人は笑顔でハグした。


挿絵(By みてみん)


「クラウンさんとハニさんは生まれてくる僕にメッセージを残してくれたでしょ?ケンタウリdに行けばオススメゲームに有利とか、アースは伝統的な文化があるとか過ごしやすいとか。僕にとってそのメッセージが生きがいになって、それからログマニアになって。クラウンさん達のログをいつも見てるうちに、僕もギルドを目指すようになりました。ギルドになったら会いに行こうと思ってたので、やっと会えて嬉しいです!」


「ハニ、ティッシュとって。ぐすん。」クラウンは感動して泣いた。


「生きてるとこんな事もあるんだね。ねえ、ログマニアって何?」ハニも目尻にティッシュを当てながら言った。


「いろんなログをみまくってます。へへっ。ギルドでも特技を生かしてクエストしてます。僕、2人が殺し屋とバトルしたログが大好き!」ビクトールはログを再生した。



ー壁に背をつけてクラウンが待っていると、ハニがクエストを終えてやって来た。クラウンは何も言わずにハニを抱き寄せ、片手で後頭部を包み引き寄せた。ハニは照れながら言った。「もう。いきなり何〜。今日はそーゆー気分?」クラウンはハニの耳元で囁いた。「後ろに殺し屋が3人いる。構えるんだ。行くよっ。」クラウンはくるっと回り殺し屋に背を向けた。「タクシス!」


ババババン!


クラウンは背中に銃弾を受けた。ハニはクラウンの脇の下から手をかざし、タクシスで空高く殺し屋達を持ち上げ、ビルの壁に数回激突させ倒した。クラウンは崩れ落ち、背中から血を流してハニを守った。


挿絵(By みてみん)


「クラウン!119にコール!救急車お願いします。」ー


「カッコイイー!このログ大好き!」ビクトールは興奮している。


「そっか。ログ見ればいつでも思い出のシーンを見れるね。私もログチェックハマりそう。」ハニはビクトールに微笑んだ。


クラウンは照れ臭くなって、髪をかき上げた。


「僕、次のクエストまで時間があって、できたら一緒にクエストしたい。仲間とこれから集まりますか?」目を輝かせたビクトールは、クラウンを真っ直ぐ見て言った。


「あー。僕はこれからスノーとマーズで捜索と奪還のクエストで、ハニはブラストと海賊討伐のクエストがあるんだ。ハニ、一緒に連れてってあげなよ。」


「ブラストさんに会いたい!スノーさんにも会いたかったなー。残念。」


「早く終わったら駆けつけるよ。」クラウンは言った。


「じゃあ、私と一緒に四国に行きましょ。出発は今日の夜よ。大丈夫?」


「はいっ!僕がんばります!よろしくお願いします。」


⭐️


続く。

絵:クサビ



ジョーです⭐️

ビクトールがクラウンに救出された回は、2巻3章3話になります。

クサビ先生が、まだ卵だった頃の姿を描いて下さっています。挿絵を拡大して見るといます。

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