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44話 なんだっけ

 成績が出てから結構時間が経った。いつも通り教室に座っている俺は、珍しく胸を弾ませていた。


「ついに今日が来た」


 今日は待ちに待った終業式の日だった。テストが終わってからずっと、この日だけを待ち焦がれていた。この日のために耐えてきたって言っても過言ではない。


 明日からは昼過ぎまで寝ていられる。朝五時までゲームをしても、スマホをいじっても問題ない。だって早起きする必要ないから。

 英語の補習はあるけれど、毎日じゃないし、あんまり気にすることでもなかった。


「終業式さえ終われば、明日からは自由にーー」

「さっきから何つぶつぶ言ってるの」

「うああわああ!」


 突然相澤に声かけられて思わず奇声を上げてしまった。そのため、クラス中の視線wの集めてしまったので、俺は窓の方に顔を向けて知らんぷりをした。


「樽井? なにしてるの」

「今、俺のこと見てるやついないよな?」

「んー、別に誰も樽井に興味ないみたい」

「ならよかった」


 ほっと一息ついてから、相澤の方へ顔を向けた。相澤は優しい笑みを浮かべて尋ねてきた。


「で、何をあんあにぶつぶつ言ってたの」

「明日から夏休みだから嬉しいなって」

「やっぱり」


 相澤は予想したかのように呟いた。


「夏休みになったら毎日あたしに会えなくなるだけど、寂しくないの?」

「全然」

「即答はひどいよ。傷づいた」


 でもマジで、全然寂しくないんだもの。

 むしろ、面倒なやつと毎日関わらなくて済む分、ありがたいくらいだった。


「でもあたしになんでも券があるのは忘れちゃダメだよ。忘れたらぶっ殺すから」


 ああ、そういやそんな勝負してたな。

 テストの点で勝負をしてた。敗者は勝者の言うこと一つ必ず聞いてあげるって勝負だった。結果はもちろん、勉強してなかった俺の惨敗で、彼女の願いを一つ聞くことになった。

 だがなぜか、相澤はいまだに自分の願い事を口にしていない。

 願いがないのだろか。

 その可能性もある。校内カーストの頂点位にいる相澤が、俺みたいなごく普通の男子高校生に望むことなんてあるとは思えない。

 最初はどんなお願いをされるのかすごく気になっていたが、時が経つにつれて興味も薄れ、今では特に気にならなくなっていた。


「忘れてないから、早く言えよ」

「わかった。近いうちに言えるようにするね」


 俺は頷いた。相澤は自分のせきに戻り、俺はぼんやりと先生が来るのを待った。


 しばらくして終業式は終わり、ついに待ち焦がれた夏休みが始まった。俺は急いで立ち上がり、家に帰ろうとした。しかし相澤が目の前に立ちはだかった。


「そんなに急いでどこ行くの」

「終業式終わったし、家に帰る」

「へえ、家にね」


 相澤は意味ありげな笑みを浮かべた。

 まさか、夏休みが始まったからって遊びに行こうとか言い出すんじゃじゃないよな。不安になった。だって相澤なら十分ありな話だったから。


「じゃ、またね」

「・・・・・・それだけ?」


 予想と全く違う反応に、思わず戸惑った。


「なに? まさか一緒に遊ぼうって期待したのに、誘ってくれなくて拗ねた?」

「違う」


 驚いただけ、決して拗ねてはいない。


「今日は友達と遊ぶ約束してるんだ。ほら」


 相澤が教室のドアの方を指差した。そこには白井さんをはじめ、見覚えのある顔が並んでいた。ドアの外にも見知らぬ顔がいて、どうやら相澤を待っているみたい。


 相澤友達多いな。


 ざっとみても十人はいる。しかも大人しく相澤を待っている。いい友達なんだろう。

 もしあれが雛や聡樹だったら、待たずに先に行っちゃい約束場所まで来いって言うに違いない。


「じゃ、みんな待ってるから先行くね。あたしが構ってくれないからって、拗ねないでね」

「拗ねないから、さっさと消えて」

「その言い方は酷くない? もうちょっと優しく「またね」って言ってみて」

「はあ・・・またね」


 言わないと面倒なことになりそうな予感がして、素直に相澤の言うことに従った。相澤は満足したのか、それとも俺を笑ってるのか意味わからない笑みを浮かべた。


「ふふ、またね」


 相澤は手を振って、自分を待っている友達の元へ向かっていった。


******


 夏休みが始まってから一週間。


「ああぁ、やっと終わった」


 一週間かけて、溜め込んでたゲームクエストを全てクリアした。スマホで時間を確認すると、いつの間に午前四時になっていた。


「なんか急に眠くなってきた」


 時間を見たせいか、それともゲームで溜まった疲れが一気に来たのかすごく眠くなった。


「さっさと寝よう」


 俺はベッドに体を投げ出し、そのまま倒れ込むように眠りについた。


 どれくらい寝ただろうか。突然耳元で大きなアラーム音が鳴り響き、目が覚めた。


「うるさいな」


 枕元のスマホを手に取り、アラームを止めた。時間を確認すると、朝の七時五十分だった。


 なんでこんな時間にアラームが。

 夏休みなんだから、こんな朝早く起きる理由はない。だから夏休みに入って真っ先に朝のアラームを全部切ってた。それなのにこの時間にセットされていると言うことは、今日はその時間に絶対起きなきゃ行けないことがあるってことだが・・・。


「なんだっけ」


 三時間時か寝ていないため、頭がぼんやりした。再び目を閉じかけたその瞬間、パッと思い出した。


「今日補習あった!」


 今日が英語の補習がある日だって。

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