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異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――第二章 四面楚歌の宝玉国の王子様を救出せよ!――◆◆◆
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第十四話 毒見の魚

 異空間をくぐって、アレクシス王子の部屋に半トリップした。

 私の物音が聞こえたのだろう。

 天蓋付きのカーテンを引いて、王子様がベッドの方から出てきた。

 やはり、私が異世界側にいる時は、偽王子君の声は聞こえないようだ。


「アレクシス様、お聴きください――」


 報告しようとした私を、アレクシス王子は手で制止した。

 水槽の魚は水面で腹を上にして揺らめいている。

 犯人は見つからなかったものの、嫌な予感がした。水槽に料理の欠片を入れて見たら、案の定だった。


「毒見の魚を使ったのだな。この毒見の魚は私が密かに異国から取り寄せたものだ。皆はこの魚は観賞用と思っているだろう。これは、少しの毒でも毒を発見できるという魚だ。この魚は毒に強い。一時は毒のせいで気絶するが、またしばらくすると復活する。毒を調べる上では便利な魚だよ」


 説明通りに毒見の魚が復活した。何事もなかったかのように、水槽の中で悠々と尾びれを振って泳いでいる。けれど、アレクシス王子は真剣な顔になった。


「また、私は殺されるところだったということか」


 結局、黒幕が用意した結末は同じものだったようだ。

 アレクシス王子の元気が無くなった。

 私は、元気付けようと明るい声を努めた。


「アレクシス様、お喜びください。パトリック執事はアレクシス様の事を第一に考えておられました。パトリック執事の日記には、アレクシス様を心配して祈ることばかりが書かれていたのです」


 急にアレクシス王子の顔が、パッと華やいだ。本当に嬉しそうだ。王子様は本心からパトリック執事のことを慕っていたようだ。


「そうか、ありがとう、蜜柑」


 彼のやさぐれた顔から険が取れた。宝石のような青い瞳が眩しく光る。


「な、何?」

「蜜柑は、本当に妖精なんだな……」

「……え?」


 異世界では、そういうことになっているけど……。

 妖精というなら、私よりもアレクシス王子の方が美しいのに。


 それにしても、黒幕が捕まらない事にはどうにもならない。

 毒炭が無くなったあの日。私は、パトリック執事の後をつけていた。あのとき、すれ違ったメイドがどうも引っかかる。

 もう少し厨房を調べてみようと思った。


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