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やっと、くれは視点です。
読みにくくて、ごめんなさいm(_ _)m
……美味しいは正義!
「で、何で私を此処に連れて来たの?」
「僕がくれはお姉ちゃんと一緒にいたいから」
「だからって、攫ってくるのは違うでしょ!」
「ご、ごめんなさい。怒らないでよ、くれはお姉ちゃん」
イケメンにうるうると涙目で懇願される日がこようとは……。
竜王が愛犬、虎だと判明したのは良いけれど、此処にずっと居るのは不味い。さっきの執事の様に、人間を良く思ってない竜の方が多いだろう。彼等が本気になれば、私などあっという間に殺されてしまう。そんな中で過ごすのは、とてもじゃないけれど無理。
帰りたい。
光輝のところに、帰りたい。
……でも、すんなり帰してくれるだろうか。
「えっと、何て呼べばいい?」
「此処での僕の名前はディアルガ。虎でもディアルガでもどっちでもいいよ!」
いや、虎はないでしょ?
超絶イケメンに虎って呼ぶ勇気は私には無いから!
「じゃあ、ディアルガ、様?」
「ディアルガ」
「えっと、ディアルガさん?」
「ディアルガ」
「……はぁ、ディアルガ」
「うん、何、お姉ちゃん」
「私の此処での名前はクレメンティーヌよ」
「……長いね」
「近しい人はクレイって呼ぶわ」
「僕もそう呼んでいい?」
「うん、いいよ」
「クレイ!」
破顔したディアルガは兇器並の美しさだった。
うん、クレメンティーヌごめん。負けた。男性(♂?)に負けてしまった。
「話を元に戻すけれど、ディアルガは私と一緒にいたいから攫った、で間違いない?」
「うん!」
う〜ん、どうしたものか。魔物と人間はお互いに憎しみ合ってる。虎もといディアルガと一緒にいるのは難しいだろう。この城にいる竜達も大半は人間が嫌いらしく、私に対する嫌悪をひしひしと感じた。ディアルガが最初に牽制してくれたから、簡単には手を出せないだろうけれど、だからといって安心もできない。早々にお暇したいところである。
でもディアルガの様子を見る限り、簡単には帰してくれなさそうだ。前世でも私にべったりだったし。
「ねえ、ディアルガは竜の王なんだよね?」
兎に角、現状を把握しよう。対策を練るのはそれからだ。
「うん、そうみたい。でもそれは僕自身が望んだ事ではないけれど」
「ん?どういうこと?」
ディアルガ曰く、竜の王は世襲制ではなく実力主義。人間よりも能力の高い竜は、闘わなくても相手の強さがわかるのだそうだ。ただ、竜王の子供は能力が高いのが当たり前で、大抵は竜王の子供が次代の竜王となる。
ディアルガは先代竜王の子供らしい。ゲームではその辺りの説明がなかったから知らなかった。
だから、ディアルガが望む望まないは関係なく、この世に産まれ落ちた瞬間に竜王となったのだそうだ。
「ディアルガは竜王なのが嫌なの?」
「……嫌ではないけれど……」
「けれど、何?」
「……時々息苦しくなるんだ」
王とは重責が伴うもの。それは人間であれ竜であれ変わらないらしい。
「そっか。なら、竜王やめて私のお家に来る?」
しゅんと萎れた様子が虎を思い出させ、励まそうと冗談を言う。
「えっ?いいの?なら僕、竜王やめる!」
「は?えっ?今のは冗談だよ?」
「そっか、そうだよね。クレイを此処に住まわすのは良くないと思ってたし、僕がクレイの家に行けばいいんだ!」
「ちょっ、ちょっと待って!」
「そうなると引き継ぎは必要だな。クレイ、暫く待って。全て終わらせたら家に帰してあげる。ふふっ、僕も一緒に行くけれどね?」
「へ?はっ、だから待っ……」
「あっ、食事とか着替えとかクリスティンという侍女が持ってくるから。……あのひと以外は信用しないで、部屋にも入れちゃ駄目だ。じゃっ、行ってくる!また後で!」
「あっ、あっ、あああ〜」
ディアルガは私の話を一つも聞くことなく、話すだけ話して物凄く上機嫌で颯爽と出て行った。為す術もないあまりの急展開に、途方に暮れた私はその場に崩れ落ちた。
も、もしかしてこれってとんでも無いことになるのでは……。
予想すら出来ない此後の展開に頭を抱えていると、ディアルガが出て行った扉がノックされた。
「お嬢様、入室して宜しいでしょうか?」
その後に聞こえた声は若い女性のもので、おそらくこの城で働く侍女かメイドのもの。
「お名前を伺ってもよろしいかしら?」
「…………」
ディアルガは言ってた。クリスティンという侍女以外は信用するな、部屋に入れるなと。
「私はこの城で働く者です。お嬢様のお世話をしに参りました」
「ええ。ですからお名前を教えて下さいませ」
「ちっ」
しつこく名前を問うと舌打ちし、強引に扉を開けようとしたみたいで、ガタガタと取手が揺れる。多分、この扉は私か、ディアルガが許可したものしか開かないのだろう。
うん、やっぱりね。
まあ、わかりやすいといえばそうだけれど、ディアルガが出て行った途端に刺客とは。
多分、この城で働いているのは全て竜だろう。人型をとれる魔物など他にはいないはずだ。竜王とはいかずとも、竜は大きく強い魔力を持つ。人間などひとたまりもない。ましてや、今の私は魔法を封じられている。身を護る術を持たない私は、慎重に慎重を重ねなければいけない。何が何でも生き延びる、光輝のところに帰るまで。
さて、どうしたものかと思案していたら、急に静かになった。
な、何?諦めた?
「クレイお嬢様〜、邪魔者は排除いたしましたぁ。あっ、クリスティンと言います〜」
甘ったるい柔らかな声が、ディアルガの教えてくれた名を名乗る。
「クリスティン?」
「はぁい、クリスティンです〜」
「……入って」
私がそう言うと、先程は全く開かなかった扉がいとも簡単に開いた。
扉から現れたのは少し薄めの金髪に、若葉の様な大きな緑の瞳の少女だった。見た目は私よりも幼く、人間でいうなら10歳くらいだろう。玄関で見た侍女の服を着ている。
にこにこと笑いながら少女は口を開いた。
「偉いですね〜。ディアルガ様の言いつけをちゃんと守ったんですね〜」
え、えっと褒められた?
「このクリスティンが来ましたからには、お嬢様には誰も指一本触れさせませんから安心して下さいね〜」
ん?んん?
「あらら〜、怖かったですか〜?大丈夫ですよ〜」
そう言って、クリスティンは背伸びし、私の頭をよしよしと撫でる。
「あ、ありがとうございます?」
「ふふふ、どういたしまして〜」
次回の投稿は7/22(木)です。




