1話 価値観押し付けちゃダメだよねぇ…
「自分がされて嫌なことは人にするな」
誰しもこの言葉を聞いたことがあるだろう。
大抵、親とかがまっすぐ育てるために子供に言ったりするものだ。
もちろん俺、左門 真人もそれは言われたことがある。
その言葉に不満があるわけではない。
別に俺自身、他人を傷つけたいとか、そういうことは思ったことはない。
そして、逆にこうも聞く。
「自分がされて嬉しいかったことは他人にもしなさい。」
これも別に不満はない。
だが…どこか引っかかる。
人の好みなどその個人それぞれ違う。
その価値観を押し付けるようなことを示唆するこの言葉は…果たして絶対正しいのだろうか?
「オラァ高松!お前キモいんだよ、死ねっ!!」
ドカァッ!
教室が少しざわめく。
だが、誰も止めに入らない。
そりゃそうだ…誰も面倒ごとになんか巻き込まれたくないに決まってる。
今俺のクラスでは、いわゆる「イジメ」というものが起きている。
強い奴が弱い奴をいたぶり、痛めつける。
ここ数日前から始まったものだ。
(あぁ、可哀想に。でも悪いな高松…止めには入れないぜ。俺が標的にされちゃ困るからな。)
心の中で、イジメられてる奴に謝る。
だが無理なものは無理だ。
なんせイジメている五十嵐は、空手、柔道、ボクシングなど、格闘系の競技の多数の経験があり、それぞれ大会などで成績を残している猛者だ。
そんな奴に何の能力もない俺が挑んだところで、返り討ちにあってこれからも標的にされるかもしれないというデメリットが残るだけだ。
武道は心も鍛えると聞くのに、こいつはどうしてこうも歪んだのだろう…。
ガラッ!
(…?何だ?)
勢いよく教室の扉が開き、一人の男子生徒が入ってきた。
だが、そんなことも気に留めず、五十嵐は高松を蹴り続ける。
「……」
男子生徒が無言で五十嵐に向かっていく。
(おいおい…何だ何だ?説教でもするつもりかよ?)
だが、その予想は完全に外れた。
ボグゥ!
「あっ…がァっ!」
ガシャーン!
予想に反して…男子生徒が五十嵐をぶん殴った…
(…え?ちょっ…えええええええええ!?)
唖然とする生徒。
少し嬉しそうに顔を綻ばせながら、痛がる五十嵐を見下ろす男子生徒。
そんな男子生徒を見て誰よりも驚きの色を隠せない高松…
(えっと…これはどういう状況なんだ…?)
ー1話 終ー
ふと思ったことを文にしてみました。




