表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝け! 女体研究同好会  作者: 鮎太郎
第三章 お別れの女体研究同好会
29/48

さよならの女体研究同好会

 翌日の放課後、三人は残りの荷物を片付ける作業に入った。


「ジャジャーン! 今日は一度着てみたかったレースクイーンの衣装ですわ!」


 裾が異常に短いノースリーブのワンピース。背中はやたら露出していて、肩甲骨まで見える。銀色で妙にツヤツヤした衣装は友里の抜群なプロポーションが浮き出しになっている。

 友里にはゴスロリよりこういったセクシー系の衣装が似合う。だが、どう見ても作業向きの衣装ではない。屈んだら中が見えてしまいそうだ。だが、それは望むところなので、よしとしよう。


 健吾が鼻の下を伸ばしていると、猛烈な視線を感じて健吾はその視線を辿る。そこには、懸命に手を動かす誠がいた。そういえば、先程から作業の手が止まっていたような気がする。

 健吾は急いで作業を再開する。本音を言えば、友里の作業を見守っていたいのだが、誠の機嫌が最悪にならないように、気をつけなくてはいけない。


 程なくして片付けは終わった。

 最後の荷物を学校の敷地外にいる使用人に手渡すと、健吾は大きく息を吐いた。女体研究同好会の最後だ。もう、関わる事は無い。

 最後の挨拶をする為、会室に戻る。


 片付けが終わった会室は、本当に何も無かった。元々あった五つの机と椅子だけである。ここを埋め尽くしていた荷物は幻だったのではないかと思えるほど、何も無かった。

 これで、本当に終わりだと思うと、妙に寂しくなってくる。最初はあれほど逃れたかったはずなのに、今になって寂しく思うなんて、随分と感化されたものだと思う。案外、ここでの生活が楽しかったのかもしれない。

 今更そう思っても、もう遅い。女体研究同好会は今日を持って解散。この空き教室は六月から知りもしない部活へと引き渡される。

「何をそんなにしみじみしてるのかしら? これからもう一仕事あるんだから、そんな暇は無いわよ」

 もう一仕事といわれても、もう何も残っていないはずである。首を傾げる健吾に、レースクイーン衣装の友里が荷物を押し付けてくる。


「健吾の仕事はこれを運んで頂戴」


「かさが多い割には軽いな。何が入ってんだ?」


「それはついてからのお楽しみ」


 友里はわくわくしているようで、落ち着きが無い。一体何を考えているのやら。


「その荷物はどうしたのですか? もう、活動は終わりですよ」


「これでお終いなんて、つまらないじゃないですか! これから『さよなら女体研究同好会お別れ会』をしたいと思うのよ」


 意外な言葉に少し感心してしまう。友里の事なので、ただ騒ぎたいだけだと思うが、こういう心配りは女性ならではかも知れない。


「いい考えじゃねーか。まだ、時間もあるし明日の停学に備えて、盛り上がろうぜ」


「そうですね。それで、会場は何処にするのですか? 流石にここではできませんよ」


 会場という言葉に、友里は苦笑いを浮かべる。


「それだけど、どちらか学校に近い所に住んでないかしら? 私は電車通学でちょっと無理なのよね」


 場所という事で、健吾はある閃きが頭を過ぎる。


「先輩! 先輩の家なら、部屋が一杯あるだろ? 一部屋ぐらい何とかならないのか?」


「それは難しいですね。空いている部屋は来客用で、私が使用できる部屋は一つもありません」


 まあ、財閥の家だからな。学生が騒げるような場所は無いだろう。となると、残るは自分の家しかない。自然と二人の視線が集中する。自分の部屋なら、それなりに自由にできる。そして、何より学校から家が近い。


「分かった。家に案内するぜ。汚くても文句は言うなよ」


「文句は言います」


「汚いのは嫌ですわ」


 こういう時って、家にやってくる方が下手に出るものじゃないの? 嘘でも、別に気にしないとか言うものじゃないの? オレの常識は通用しないのか。


「ふふふ。冗談よ。そんな嫌そうな顔をするものではないわ」


「私は本気でしたけど……」


 冗談を交えつつ、お別れ会の会場は決まった。だが、健吾は一つだけ確認しておきたい事があった。


「なぁ、友里……、その格好で家まで来るつもりか?」


「何かおかしいかしら?」


 全力でおかしいと言ってやりたかった。レースクイーンの超ミニスカで街中を闊歩する姿は、場所をわきまえろと思ってしまうほど、合っていない。それに、その姿で家に入っていくと色々と間違われそうな気がする。


「私は構いませんよ。どちらにしろクリーニングに出しますから」


 露出が多い分には嬉しい事なので、深く追求する事は止めておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ