#23 下校からのランチ ☆
先生…はるかさんとの話が終わり、ぼくは2人が待つ教室へと戻った。
「お待たせ」
「やっと来た~」
「何の話をしてたの?」
「ううん、大した話じゃないよ」
さすがにこの話は2人には話せないので、そうはぐらかした。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「うん、分かったよ」
ぼくも、そう返し、帰り支度を済ませて、一緒に教室を出た。
3人一緒に、校門まで歩くと、香織姉が待っていた。
「みんな待ってたよ~。長かったんだね」
「ううん、ちょっとぼくが担任の先生に呼ばれてね」
「えっ、何で呼ばれたの?」
「いや、大したことじゃないから」
「ふ~ん、じゃあ帰ろうか」
「うん…」
というわけでぼくら4人で帰った。
「あ! 香織さん、ちょっといいですか!?」
「ん、どうしたの心愛ちゃん?」
帰宅中、心愛さんが香織姉を呼び止めた。
「このお店のケーキを食べてみたいんですが、良いでしょうか?」
そのお店は、ケーキ屋さんだった。
「この店、テレビでもやってる人気のケーキ屋さんだね」
「うん。わたし、前からここのチーズケーキを食べて見たかったの」
「あっ、ここあたし前にママと来たことあるよ。おいしかったよ~」
心愛さんはどうやらこの店に前から行ってみたかったそうだ。
心音さんは一度行ったことがあるみたい。
「う~ん、そうだ。みんなの進学祝いも兼ねて食べようか」
「いいんですか!? ありがとうございます!」
心愛さんが分かりやすく喜んだ。
このお店は、テイクアウト出来るみたいなので、テイクアウトすることにした。
時刻は12時を回ったところなので、みんな家で昼食をとることにした。
昼食は、香織姉特製のサンドイッチだ。
「おいしいね~」
「はい、やっぱり香織さんの料理はおいしいです」
「ふふっ、ありがとう2人とも」
2人が香織姉の料理を褒め、香織姉は照れている。
そして、今食後のチーズケーキを食べることに。
「なんておいしそうなの…」
うっとりとした瞳で心愛さんは、チーズケーキを見つめていた。
「じゃ、食べよっか」
「うん!」
そして、フォークを手に取って、チーズケーキを口に運んだ。
「ん~! おいし~!」
心愛さんは、彷彿な笑みを浮かべている。
「みんなも食べて! こんなにおいしいチーズケーキは初めてです!」
どうやら心愛さんはチーズケーキがよっぽど気に入ったみたい。
「そういえば香織さんって、コーヒーいつも飲んだりしてるの?」
「わたしは、あんまり飲まないかなー。苦いのちょっと苦手だからね」
心音さんが香織姉にそう聞いたが、コーヒーを飲まないらしい。
「あ、でもこの前ゆきあくん、こっそりコーヒー飲んだことあるよね」
「へっ!? な、何で知ってるの!?」
確かに昔、早く成長出来るようコーヒーを飲んだことあるけど、見られてたの!?
「もしかしたら大人になるよう、飲んでたのかなぁ〜?」
「な、なんのことかな? ぼくはコーヒー飲んだことないよ…」
「ゆきあくん、噓付くの下手だよ~。飲んだ瞬間、味が合わなかったのか、すぐに噴き出しちゃったけどね」
「そんなところまで見られてたの!? うぅ~、恥ずかしい…」
なんか最近、いろいろ黒歴史が出来てる気がするんだけど、気のせいかな…?
「ゆきあくん、大人だね~」
心音さんはそう言ってくれた。
「大丈夫だよ、ゆきあくん。こうしてわたしと一緒に甘い物を食べてるから」
心愛さんがそう言ったが、どういう意味か全く分からなかった。
そして、ぼくが心愛さんのほうへと視線を向けると、彼女はいつのまにか平らげてしまったチーズケーキの皿を寂しそうにみつめていた。
「ぼくの分、少し食べる?」
すると、心愛さんは可愛らしく「うんっ!」と返事をして、フォークを持つ手を伸ばしてきた。
「ありがとうゆきあくん。やっぱりゆきあくんはいつも優しいね」
そう言ってくれた心愛さんの笑顔は、今も昔も、かわいい。
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