攻撃をとるか、防御をとるか戦術的問答
少し寒さのある風がひゅるりと吹く中、第二回戦がはじまろうとしている。
「さあ、今回のカードは、ダークホース『二年生編入チーム』と優勝候補『勇者倶楽部チーム』だー」
「これはどう楽しませてくれるのか楽しみだね」
解説子ちゃんと学園長は解説に入っている。
そして、その時が来た。
ブザーがなり向かい合ったお互いの選手が距離を詰める。
【八ビット】
やはり、あの音楽が流れてきたか。
雷が皆に襲い掛かる。
マルコメ君は、まともに雷を受けたが、気合で立ち上がる。右手にはグミのようなものを握っていた。
ジュラは、直撃の瞬間に魔装の装備を終え、ほぼ無傷。
リンヴァーラは、炎と風の鞭で、雷を打ち消す。
ブリジットは、土の壁を作り、雷を地面へ逃がす。
そして俺はというと、当然男だからな。
マルコメ君と同じで、もろに雷を受ける。
結構痺れるな。
なぜこんなに余裕なのか理由を説明すると。
基本的に魔術による攻撃は、自分の保有するマナの量により抵抗することができる。
よって、魔術を使いすぎた状態では、この程度のダメージでは済まなくなる。
その攻防のバランスが、魔術戦の勝敗を決するといっても過言ではない。
当然、直撃よりも打ち消した方が、マナの消費を抑える事ができるが、男たるもの気合という別ステータスが存在する(妄想)ので問題ない。
簡単に説明すると、俺とマルコメ君は、避けるだけの能力を持っていないだけだった。
実は、マルコメ君は、直撃の前に魔力抵抗を高めるグミを食べていたことは、後で知ったのだが。
少し足は止められたが、そのまま突撃を掛ける。
雷を纏った剣と刀がぶつかりあった。
激しい閃光と轟音で、会場は激震する。
「君は、あの同好会の新人だね。ランページカトルの時は、やってくれたね」
「今日もやってやるけどな」
刀を滑らせ、いなし、切りつける。
剣の応酬が繰り広げられる。
アレックスには多くの強化魔術が施されている。
しかし、この戦いのセンスは、強化だけでは得られるものではない。
強さは本物だ。
瞳を開いて、マナの流れを視認する。
激しい閃光と轟音のなか、風の声や大地の香りを感じる。
集中力を分散する。
強化魔術の恩恵が無いならば、それを常として、相手に合わせればいい。
相手の動きを、一呼吸まですべて感じとる。
強敵との戦いの経験は、いち学生以上にしてきたつもりだ。
均衡している戦いの中では、その差は勝敗へと直結する。
押されているようで、徐々に俺の刃が彼を蝕む。
そして、彼に数回斬撃を加え、彼の魔力抵抗を奪っていったところで、とどめの突きを放つ。
しかし、その刃は、彼を捉える前に、弾かれ刃はヒビがはいり、紋章が破損してしまう。
タークスの側面攻撃を、回避する為、刀でその拳を受けてしまったからである。
その勢いで、弾き飛ばされ、砂ぼこりをあげながら、吹き飛ばされてしまった。
勇者倶楽部の強さの本質は、個々のそれでは無く、その集合体としてのそれである事を、すっかり忘れてしまっていた。
そして、いつの間にか音楽は軽快なものにかわっていた。
【六四ビット】
激しい衝撃が、体の芯を伝う。
雷により敵をなぎ倒してきた俺が、雷によって地に伏せられてしまったのだ。




