悪い人ですね
俺の口角は上がる。
いい肉が目の前にあるじゃないか……。
勇者倶楽部の皆さまは、灼熱の鼻息で、少し対象とは距離をおいている。
おいおい、俺が貰っちまうぞ。
居合いの構えに入る。
「先輩、悪い人ですね。絶対」
槐ちゃん。君も目が肉になってますよ。
女の子がはしたないですよ。
【落葉風】
無数の手裏剣が、ブレスランページカトルを襲う。
赤い葉が舞うように、血が噴きだす。
「横取りはよくないと思うがね」
アレックス君が何か言ってるよ。
「たく、あいつらは……」
絶鬼があきれている。
怒り狂ったブレスランページカトルが、首を振り角で攻撃してくる。
タズルが前にでて、その大きな盾で、槐を守る。
「憤怒!」
「うぉらあああぁあぁぁ!」
ギーバは金棒を振り払う。
【金剛力】
ブレスランページカトルの前足は、はじけ飛ぶ。
「ふふふ、跪いてかわいいわ」
【アスティニア】
ブレスランページカトルは、跪いて起き上がる事ができなくなった。
弱体化魔術を、マラキールが発現させた。
紫色の煙が、ブレスランページカトルの体を覆う。
「ちょっ!君たち?」
「もらうぜ」
【雷神の二振】
ダブルブート
爆音と伴に、雷のはしる刀を抜く。
横一直線とその後滅多切り、すでに弱体化したブレスランページカトルから、焼け焦げた匂いが充満する。そして、完全に沈黙するのであった。
「良い切れ味だ……ふふ、たまらない」
俺の狂気に、勇者倶楽部連中が一歩後ずさる。
同好会の連中も後ずさる。
おい!お前らは、同じ穴のむじなだろ?
「依頼の確認条件は何だ?俺たちは肉があればいいんだけど」
「ブレスランページカトルの舌と心臓があれば、こちらは十分だが……」
アレックスが、あきれて答える。
「タンとハツはしょうがないか……良いだろう。持っていけ」
「君、横取りしたくせに偉そうだね」
少し、アレックスがイライラした声で、こちらに視線を向ける。
そんなことは意に返さず、淡々と心臓をえぐりだし、舌を渡す。
残りは、さも当然に、例の壺に収納していく。
アレックスは、心臓と舌を回収したが、釈然としない顔をしていた。
何か言われる前に、退散しよう。
今夜は、焼肉パーティーだ。
キャホー
チンカチンカなルービーを一緒に飲みたいぜ。
アルコールは飲めないけどね。
そんな事を考えながら、オンボロ馬車で帰るのだった。




