大切な人
今回の報酬は、皆で案分したので、二十万クラン弱になった。
それでも、かなり稼げる同好会である。
危険と隣り合わせであるが、皆の能力を考えると、リスクはさほど高くはない。
改めて、タズルにより、ダールとの話し合いが済み、格安で肉料理の有名な店舗へ商品を卸す代わりに、卸したてのブレスランページカトルの肉でステーキを作ってもらう事になった。
肉の処理に時間がかかる事や、肉の量も多い事から、夕方その店の最上階で簡単なパーディー形式で食べる事になった。
何人か、交友関係のある人間を連れてくることにして各々解散した。
俺は、この学園内の知り合いといえば、チームの面々くらいなもので、ブリジットに早めに連絡を入れて、二人でいく事にした。
建物は、縦に長く、高層階からは、都市を一望できるつくりになっている。
魔導灯が輝くその建物は、シンボルの一つとして、待ち合わせ場所に使われている。
階層で、高級度が変わるらしい、一番上の階に招待された。
美味しさとしては、中級レベルのブレスランページカトルを、高層階の料理人たちは、それを至高の肉へと仕上げていく。
ブロック肉が並び、石で造られた台の上は、熱を持っており、その上で肉を焼くようだ。
中には、同好会メンバーの友達がたくさんいた。
俺だけ、友達少ない。
ワイワイ、ガヤガヤと皆何か話している。
肉はどんどん焼かれ、特別製のタレや、胡椒が並んでおり、野菜などもバイキング形式になっていた。肉を分けて皿に盛る。
「先輩?その人は、どういった関係のかたですか?気になり」
槐が突然声を掛けてくる。
そうだ、ブリジットは、俺の何なんだ?
あまり考えた事が無かったがとっさに。
「彼女だ」
「へ?」
「え?」
二人ともすっとんきょんな、顔をしていた。
「冗談だ」
「おっ、驚かせないでくださいよ……あははは。驚き」
槐はやけに、目をキョロキョロしながら、はなす。
「……」
ブリジットは、上目づかいで少しむくれている。
その後は、槐の友達も含めて、皆で肉を満足いくまで堪能したのである。
食事の最中は、その友達に品定めされているような目線を感じつつではあったが。
料理には、マナが込められていたようで、体力と筋力が上がっているような気がした。
効果時間は、どれほどだか分からないが、明日の予選に良い影響がありそうだ。
皆の食欲により、ブレスランページカトルを三分の二くらいは、平らげてしまったようだ。
お腹も膨れて、程よい満足感を感じながら、各々は帰路につく。
「お休みなさいませ」
今日は、こちらに寄る事もせずにブリジットは、部屋へ戻る。
その後ろ姿に向けて、
「お前は、俺の力の源。そして、大切な人だよ」
ブリジットには聞こえない声で、つぶやき、自分の部屋に入るのだった。




