表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/72

その後の話。

ここから別視点に切り替えが多発してます!ご注意ください。

*主人公すくなめ?

……会長視点……


「あー……行ったか」


 透が良い笑顔を振りまいて、火媛の方に走って行った。

 後押しするつもりなんて、サラサラなかったんだが。

 大きく溜息を吐いて、その場にしゃがみ込む。

 そっと自分の唇の触れて、先程の透の感触を思い出した。本当はその唇を奪ってしまいたかったが、僅かな理性が働いてしまった。自分のそんな所が心底憎らしい。

 けれど、透に嫌われたい訳ではない。額くらいなら許してくれるだろうが、流石に唇はダメだろう。面と向かっては許せてくれるだろうが、きっと傷つくと思うと、それ以上出来なかった。

 好きな子にキスをして、嬉しい反面、とても苦しい。いつだって彼女は火媛を見ていたのを知ってはいた。それ故に、火媛が中々動かないのをイラついてもいたが、安心もしていた。その間に、透に振り返って貰えるように自分なりに努力したつもりだったが、結局励まして見送ってしまう。


「情けないな」


 最初に目を惹かれたのは、その真っ直ぐな目だった。水無月先輩以外に真っ直ぐに見つめてくる人間などいなくて、印象に残っている。

 次に目を惹いたのは時折見せる女性らしい仕草だろうか。その時は男と思ってなんとかごまかしていたが、ドキッとさせられる仕草に動揺を隠しきれない時もあった。

 男相手に、何を動揺しているんだと思っていた。女だと知って納得をしたし、男好きじゃなくて良かったと心底安心した。

 ……そういえばあの時は、透には随分と失礼な事をやらかしたな。胸を……思い出しただけで赤面するほど柔らかな胸を揉んでしまった。否応なしに女だと認めざるを得ない感触は、今でも忘れられない。

 よくよく考えると、普通に結婚しようとか言ってたの自己満足野郎だったな。胸を揉んだのは確かに俺が悪かった。もう1度揉んでみたいなど……考えたりもした。付き合ってもいないのに何考えてたんだ、あの時の俺。

 前副会長の力を借りて海に駆り出した事もあったな。顔をあわせ、会話をしていくほどにどんどん透の事を好きになっていった。近くで目を瞑られれば、唇を奪いたいという欲求が生まれてしまうほどに。

 けれど、だからこそ、俺は分かっていた。自分が恋愛対象として見られていない事に。弟のような存在としてみられている事に。

 そしてあの日にはっきりと気付いてしまった。

 生徒会選挙。チラリと見ただけの赤い髪の男、透の幼馴染とかいう男。

 ずっと見ていたから、知っていた。男として意識しているのは、火媛の方だと。火媛の方も、明らかに透の事を好いている事にはすぐに気付いた。

 はっきりとしない火媛に、いつもイラついてしまっていたのは言うまでもなく。告白された事もあると聞いて、殴りたい気持ちを必死に堪えた。

 透に告白されて、振っているんだ、あの野郎。なんてもったいない。

 俺だったらすぐに頷いて、めちゃくちゃ幸せにしてあげるのに。どうしてすぐに返事を出さない。が、それで俺にもチャンスがあると思った。何度も火媛に邪魔をされたが、こちらも邪魔をする。好かれているのに、何故俺の邪魔をするのか、と何度思った事か。まだ透に直接むかわないだけ、助かるっていた事は事実だが。透に告白されたら、ひとたまりもないからな。

 透の真っ直ぐな想いが、こちらに向いてくれたなら、と何度思った事か。

 想いが伝わって嬉しいと思ったが、透を困らせるだけの結果に終わってしまった。初恋は実らないっていうが、本当なんだろうな。

 俺はなにを間違ったんだろう。

 間違っていたなら、そこからいくらでもやり直したい。

 どうして背中を押してしまったんだろう。自分が良い人であると見せたかっただけなのか。あの観覧車で火媛と乗らせなければ、何か違っていたのだろうか。

 ……後悔しないようになんて、火媛に言っておいてなんだが、俺は今、物凄く後悔している。

 あーあ、恰好悪いな。やっぱり唇にしておけばよかったか。たぶん火媛に殴られるだろうけどな。

 透の反応に、少しは勝機があるかと思ったが、そうならなかったな。俺は透の想いを軽視していたみたいだ。

 透の前だと、変な失敗ばかりしていたからなぁ。

 ……いや、火媛の方が失敗が多い気がする。むしろちょっとぶっきらぼうな方が良かったのだろうか。

 いくら後悔したところであとの祭りだけどな。

 でも、透が幸せそうに笑ってくれるならば、それもまた、いいか。









……とある転生者視点……


 ふう、やれやれ。

 やっといったか。長かったな。

 そう思いつつ、愛用のカメラを撫でる。

 しかし、2ndの隠しキャラまで出るとは聞いてない。木下透というライバルキャラがあんなにもブレるのも聞いてない。そのせいで、月島蓮という攻略対象者が攻略されたとみなされて高天原先生が出現した。

 悪い人間ではない事は分かっているので、それには安心した。なにせ、木下透はいじめの主犯格にもなるようなルートを持っているのだから。

 恋愛感情を晴翔に向けている事には少し汗をかいていたが、晴翔もまた木下透を好いていたので、変な事は起こらなかったという事か。

 主人公や、間宮という脇役も目が離せなくてカメラが手放せなかった。この1年と半年の間にどれ程の写真が溜まった事か。そしてお金もたんまりと。

 これを元手に株で稼ぐか。それで儲かったら……私、遊んで暮らすんだ。

 こちらはハッピーエンドだし、主人公も良い感じ。

 間宮さんも水無月と良い感じで、オールハッピーエンドって感じかな。

 会長さんはあれからどうすんのかなぁ。

 誤算が多かったけど、楽しい学校生活となった。まさかここまで腐敗が進むとは思っていなかったが、良い誤算である。いじめなんてそんな大層な事考えるやつはいなかったし……ああ、いや。カップリングの揉め事があったが、これはまあいいか。私の見事な写真でおさめてやったのは良い思い出。


「に、してもやるなぁ」


 さすが攻略対象者と言わざるをえないイケメン度合いの会長さん。あんな風に想われたら私なら即落ちるなぁ。

 完璧なスチル絵をゲットできたので、ほっくほくだ。流石に額にキスは売る事を許してくれなさそうだから諦めるとして、他は有効活用させていただこう。

 ポチポチとボタンを押して写真を眺めていたら、人の気配がしたのでカメラの電源を消して顔をあげる。すると、そこには何故か2nd追加隠しキャラが。見つかるとは修行が足りんな。

 我が親友に精神攻撃を与えた張本人。しばらく会わなければ自然にその効能も減っていくと思っているが、あれは困った能力だと思う。いくらなんでもあの設定はむちゃくちゃだと思う。まぁ、面白かったからいいけども。でもこの世界でも有効だとは思わなかったなぁ。結構普通の世界だと思ってたんだけど。


「こんにちは」

「こっ、こんにち、はっ」


 相変わらずたどたどしい言葉遣いの保健医だ。怪我人や病人相手だときっちりと仕事をこなすギャップ萌えを売りにしている。

 にっこりと営業スマイルをかまして、会話を続ける。


「奇遇ですねぇ、こんな所で。あれですか?木下さん目当てですか?」

「え……き、木下さん、いるの?」

「いや、もういないっすけど……違うんですか?」

「う、うん……そう、かな」


 少し俯いて、胸を押さえてプルプルしている。この先生、あろうことか木下さんを好きになるなんてな。木下さん男にも女にも人気あって、倍率超高いからなぁ。それに、もう勝負はついてるし。


「あ、あの……なんとも、ない?」

「んあ?なにがっすか?」


 どちらかというと、貴方のメンタルの方が心配ですわ。振られ確定ですからなぁ。まぁ、出るのが遅すぎたんだ。それに、先生というのもハードルが高すぎる。生まれるのが早すぎたんだ。


「あの、ぼ、僕の、顔、君もみ、見たよね……?」

「はぁ、それが?」

「う、ううん。それだけ……また、学校で、ね」


 へにゃ、と口元を笑わせてから、立ち去ってゆく。

 ……なんだろう。この、フラグちっくなやつは。

 保健医の顔?……確かに、我が親友と共に見たな……超絶キラキラモードの保健医……あ、あれ?これって、もしかして。

 私は高天原先生の裏設定を思い出して頭を抱えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ