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第九話「出会った」
森を抜けた先に、草原があった。
広かった。
風が通っていた。
草の間を、這っていた。
匂いがした。
知らない匂いだった。
しかし、似ていた。
自分の匂いに、似ていた。
舌を出した。
匂いを追った。
草が揺れた。
風ではなかった。
何かが動いた。
止まった。
出てきた。
草の間から、出てきた。
蛇だった。
自分と同じ、蛇だった。
自分より細かった。
模様が、自分より細かかった。
目が、黒かった。
丸かった。
その蛇も、止まった。
二匹で、止まった。
草の間で、向かい合った。
舌を出した。
その蛇の匂いを読んだ。
似ていた。
しかし、違った。
自分の匂いに似ていて、しかし違った。
その蛇だけの匂いだった。
その蛇も、舌を出した。
こちらの匂いを読んでいた。
風が来た。
草が揺れた。
どちらも、動かなかった。
夢の中にいた温かさを、体が思い出した。
あの温かさに、似ていた。
(第九話 了)




