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第一話「石の下から」
最初の記憶は、暗さだった。
狭かった。
温かかった。
周りに、似たような体がいくつもあった。
絡み合っていた。
ある日、上が開いた。
光が来た。
這い出した。
世界は広かった。
広すぎた。
草があった。
石があった。
土があった。
どこまでも続いていた。
怖かった。
上が開いていた。
どこまでも上が開いていた。
空というものだった。
這った。
草の間を這った。
草が体に触れた。
冷たかった。
腹が減った。
初めて、腹が減った。
何かを食べなければならなかった。
しかし、何を食べるかを、まだ知らなかった。
体が知っていた。
舌を出すと、分かった。
匂いがあった。
その方向へ、這った。
見つけた。
小さな虫だった。
体より小さな虫だった。
飲み込んだ。
世界が、始まった。
(第一話 了)




