第18話 悪夢的日常回
アイリスアウトーーーーー!!!!(気さくなアイサツ)
どうもお久しぶり、ヒトデです。チェンソーマンレゼ編ヤバかったですね。
最推しが銀幕で大暴れするのがもう、たまらんです。
米津さんの歌も凄いしホルモンの刃渡り二億センチもあって大興奮ですわ。
しかも刺客編制作決定。クァンシ様いっぱいちゅき、闇様もっとちゅき。
この調子でファイアパンチも映画になれ。
17-26はアニメになったぞ。
こっちのナユタも可愛いぞ。
声がとても可愛いぞ。
にゃぁオ
がんばれマッパ、がんばれアグニ様。
動いてるトガタを劇場で見たいぞ。
あの人には銀幕が似合う。
それはそうと大長編タローマンおすすめです。
部分部分はデタラメなのに全体を見るとちゃんとした特撮になっている、まさしく「見る対極主義的」といった作品です。
水差し男爵夢女子なる50年選手がいると聞いて驚いたぞ。
あとエランが普通にかっこいいぞ。
来たる3月にうまくきれいでここちよいブルーレイ&DVDも出ます。
円盤を買ってみんなもタローマンを応援しよう!!
くたばれ!タローマン!!
ガタン、と、車輪が轍に嵌って跳ねる音で、目が覚めた。
重い瞼を開いて見渡し、奇妙に色褪せたいつかの馬車の中、目の前で血が噴出し、右の視界が赤く潰れる。
馬の嘶きと爆発、横転、絶叫。
暴走するメリーゴーランドに放り込まれたような混乱の中、私の脳味噌は酷く俯瞰的に状況を把握していた。
(これは、夢だ)
いつもと同じ夢。
いつも通りの夢。
焼き増しの悪夢。
録画した金曜ロードショウの合間のCMを飛ばすように視点が切り替わり、目の前で吊るされたママの胎が裂けて赤黒い未熟児が零れ落ちた。
(これは、夢だ)
濃厚に香る死血と臓腑の臭いの中、視界がグニャリと歪み、音が消える。
眩暈がする。
呼吸が荒い。
世界が、ひどく不安定だ。
(これは、夢だ)
脳に直接ノコギリをねじ込まれたような激痛と吐き気の中、グルリと眼球の回転する感覚を最後に意識が消散した。
「うにぃ~………」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかでいえばすごく大丈夫じゃないです」
悪夢の屋敷、リビングの安楽椅子に体を預けて、リナが用意してくれたあったかいお茶を啜る。
砂糖たっぷりの甘いお茶を飲みながらクッキーを齧り、ようやっと一息ついて、
「ふぅ………」
「つっかれたーーっ!休憩を要求します!!もう今日はお休み!!アタシもうなんもしないもんねーーっ!!」
「装備の手入れしなきゃ………」
「………アリアねぇ、頼んでいい?」
「わかった」
「それくらい自分でやらんかバカモノが」
「にゃぴーーっ!?!?」
ガヤガヤ騒ぎながら再殺部隊のメンバーがリビングに入ってきた。
ちなみに、再殺部隊のメンバーは、
おっぱいが大きい隊長のアンナリーゼさん。
おっぱいが大きい無口な衛生兵のアリアさん。
おっぱいが小さいよくしばかれてる狙撃兵のカティアさん。
おっぱいが大きい眼鏡っ娘の斥候のエリザさん。
以上4名です。
………なんだか私、最低な覚え方してるな。
「お疲れ様です、アンナリーゼさん。これ、西方の未探索領域の調査資料です。さっとでいいので皆さんの間で読み回しておいてくださいな」
なにやらくたびれた様子のアンナリーゼさんに紙束を渡して、あきれたような視線を向けられてしまった。
「………もう出来たのか?前回の調査から、まだ二日もたってないだろう?」
「書類仕事の速さには自信があるので」
前世で提出期限スレスレの課題を爆速一本打法で片づけてきた私の書き込み能力は53万を超えている。
ブラインドタッチなど出来ずともパソコンは扱えるのだよ。
だからうん、某寿司にチャレンジして三十分で心折れてそっ閉じしたところで何も問題はな
「………ジュジュちゃん、1ついい?」
「?どうかしましたか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど………この、ナイトメアデスゴキブリってなに?」
あー、あのリアルテラフォーマーか。
「石剣を使う人型のゴキブリです。まぁ、群れたりしないのであんまりゴキブリっぽくはないんですけど。一応、こっちから仕掛けない限りは襲ってこないようなので見かけたらそっと離れてください。ふつーに剣士としてクソ強いので死にます」
「………こっちの、ナイトメアデスマグロは」
「原理不明の飛行能力持ちのマグロです。まともにやったら死にますけど縄張り意識が強いみたいで回遊ルートから基本的に動かないので、そこさえ気を付ければ何とかなるかと」
「この、ナイトメアデスカマキリは」
「クソデカいカマキリです。動きはかなり素早いので油断すると死にますけど、中位以上の炎魔法を何発か叩き込むか、手榴弾を食らわせてやればぶっ倒れるのでその隙に全力ダッシュで逃げてください」
「………なぁ、1ついいか?」
「はい?」
「なんで、どいつもこいつもナイトメアデスから始まるんだ?」
………はて?
「なんでって、ここって悪夢じゃないですか?悪夢産の怪物ってことでナイトメアデスシリーズで統一したんですけど………ダメでしたかね?」
「いや………ダメというわけではないが、少し気になってな」
「はぁ………?」
よくわからないが、直接言われないあたり大した問題ではないのだろう。
気にならないと言えばウソになるがそれだけだ。
紅茶に角砂糖を1つ放り込んで混ぜ混ぜし、甘ったるいソレで唇を湿らせ、
「とりあえずの生態調査の結果として、現段階で可能な推察としては、この屋敷から北西に向かうにつれて魔物のレベルが上がってることと、この森のバケモノがおおよそ2パターンに分けられることくらいですね」
魔物の強さの偏位の方は簡単な話だ。
おそらくは、複数回にわたって繰り広げられた革命軍と政府軍の決戦によって発生した魔力汚染の中心点が其処なのだろう。
中心点に近い位置に生息する魔物はより強力に汚染に暴露され、そうでない魔物は安全地帯を求めて汚染の薄い場所へ移動し、結果として、汚染源に近づけば近づくほど魔物の強さが跳ね上がるというわけだ。
興味がないと言えばウソになるが、それはそれとして突っ込んだら普通に死ぬ未来しか見えない。
………調査するなら、もっと装備を整えて、万全を期して行うべきだろう。
問題は。
「通常の生物の範疇に留まってる連中はまだマシとして、問題はそうじゃない連中なんですよね」
体躯が異常に巨大だったりパーツが多かったりと、まだまともな生物の範疇に収まっている魔物ではない、正真正銘の異形ども。
いにしえのTRPGに出てくるシャレにならない方のスライムや、25メートル級の巨体の人の四肢を持つシャチホコ。
三本足で歩く生首、人のソレに似た無数の指を這わせて蠢く巨大ナメクジ、馬車ほどのサイズの空中を浮遊する脳髄、エトセトラエトセトラ。
おそらくは突然変異と思わしき、悪夢の生態系からも外れた魑魅魍魎。
急所がどこにあるのか分からないどころか、まともな神経や臓器があるのかすら不明な化け物ども。
「一応対抗策はありますけど………そう何度も切れる手札じゃないというか、そもそも一回限りの鬼札なので、そこらへんが不安なんですよね。今のところは、そもそも連中が住むような危険地帯に近づかないのが一番ですね」
少し溶け残った砂糖ごと、カップの中身を飲み干して。
「それじゃ、野暮用があるので私はこれで失礼します。リナ、晩御飯の用意お願いね?」
「かしこまりました、お嬢様」
「ふぅっ!」
回転の勢いをのせた鋼刃が頸骨を切断した。
倒れ込む巨躯を他所に跳び退り、大ぶりの拳をしゃがみ込んで躱しつつ一刀。
伸びきった腕を肘関節から切り落とし、下段から摺り上げるように放った一太刀が相手の頭蓋を半ばまで切断する。
刃を引き抜きざま、首を刎ね。
「………これで終わりか」
べったりと血で濡れた刃を拭い、大身の鉄鉈を鞘に納める。
あたりに散乱する獅子猿の死体と、新雪に赤黒く映える血と臓物。
………空気が、酷く血腥い。
「しっかし、最近こいつら多いな?」
ゴリラが五匹も木の上からダイナミックエントリーしてきた時は口から心臓飛び出たかと思ったし死を覚悟したが、案外何とかなった。
戦闘車両に使われる装甲の廃材で鍛えたインゴットを素材に創造魔法で鍛造・研磨し、《堅牢》の魔術刻印を施した大鉄鉈、【仁王】。
刃の鋭利さよりも重量と速度を生かして叩き斬るような武骨な代物だが、それ故にこういう手合いを解体するのには向いている。
初エンカした時は危うくやられかけたが、もう何回かやったおかげで普通に獅子猿にも勝てるようになったし。
むしろ問題は、
「………また、オスばっかか」
大の字になってくたばる獅子猿のマタグラには、半萎えのビッグマグナムがぶら下がっていた。
この2週間で潰した獅子猿の集団が8つ、殺したのが41匹。
解体して検分したその全てに男性器と見られる器官がついていた。
………俺がたまたま雄の集団とばかりエンカウントした、なんてことはないだろう。
ゴリラにしろチンパンジーにしろ、大抵の場合、類人猿の群れを率いるのは年を取って成熟した個体だ。
毛並みや歯の消耗具合からしても、この集団の中にそこまで成熟した個体がいるようには思えない。
若い雄の小集団とは別に、どこかに成熟した強力な雄が率いる、大規模な本隊とでもいうべきトライブがいるはずだ。
………十数体規模ならまだしも、数十、数百となれば対応しきれないな。
「連中の行動範囲に気を配りつつ、場合によっては屋敷を放棄して逃げるべき、か」
狂気の殺人モンキー×たくさんと森の中で殺し合いとか絶対ヤダし。
屋敷に愛着も執着もあるが、それはそれとして命は惜しいし。
人間よりバケモノの方が殴って解決する分マシだと思っていたが、それが無理なら逃げるしかないだろう。
………まぁ、とりあえずは
「テメェもいっぺん死んでみっか?あぁ?」
ずるずると嫌な音を立てて現れたのは、中型のトラックほどはある巨大な腐肉塊。
鼻が曲がりそうな腐敗臭を漂わせるバケモノに、抜き放った鉄鉈を突き付ける。
一瞬の静寂の後、空を引き裂いて殺到する触手群に真っ正面から身を投じた。
「へっ、雑魚がしゃしゃり出るからああなんだよ」
「何言ってんですかお嬢様、血みどろじゃないですか」
「いいじゃん別に、全部返り血だし」
「まったくよくありません」
「わぷっ」
お風呂場で悪態ついてたら、頭からお湯を掛けられてしまった。
「はぁ………せっかくきれいな髪なのにグチャグチャにしちゃって」
「仕方ないでしょ、突っ込まなきゃコッチが死んでたんだし」
リナに髪をゴシゴシ洗ってもらいながら思い返すのは、ついさっきぶっ殺したバケモノの事。
遠間から触手をブンブンされてはたまったものじゃないので触手を切断しながら近づいてナマスに切り刻んだはいいものの、頭から返り血を浴びて全身スプラッタになってしまった。
………冷静に考えりゃ、アイツの血にエイリアンよろしく毒か強酸でもあったら私死んでたな?
おのれ悪夢、油断も隙もあったもんじゃない。
「まったく………お嬢様は血の気が多すぎます。誰に似たんですか?」
「ん~………血の気が多いのは転生前からだし、生まれつきかな」
「………お嬢様。前世は本当に一般人だったんですよね?軍人とか殺し屋とかの類じゃないんですよね?」
「まさか。武道は幾らかやってたし鍛えてもいたけど、それだって精神修養がメインだったし」
………もっとも、その肝心要の精神修養については大した効果は見られなかったのだが。
まぁ、人間が持って生まれた性質などそう簡単に変わるものでもないだろうし、詮無い話か。
「ところでお嬢様、ちょっといいですか?」
「なぁに?」
「いえ。さっきから当ててるんですけどリアクションがないので」
「当てて………?」
何の事だろうと考えて、リナに後ろから抱えてもらってたのを思い出した。
………ん?あぁ?そういう事か?
「でもリナ、当てるほどおっぱい無いじゃ」
「怒りますよ?」
「いふぁいれふ」
いらんこと言ったせいで頬っぺた抓られてしまった。
すごく痛い。
「なんですか、当てるほど無いって。ありますよ少しくらい」
「あぶっ………いや、私の中での基準値がママで固定されてて………ゴメン」
「………それを出されると何も言えませんね」
ママ、色々と凄かったからな。
背ぇ高いし睫毛長いし顔面強いしボンキュッボンだし。
………ママとパパの血を引いているという事は、私も成長すればあんな感じになるのだろうか?
うぅむ、想像つかん。
「お嬢様。湯船にいれますのでバンザイしてください」
「うぃ」
言われるがままに両手を挙げて、そのまま湯船に放り込まれた。
ついでと言わんばかりに入ってきたリナに背中を預けて、少し熱めのお湯が心地いい。
けだるさに身を任せ、目を閉じて。
「それでお嬢様、最近の悪夢はどうですか?」
「ん~、ぼちぼち、かな?悪夢の環境にも慣れてきたし、手ぇ出していい奴とダメな奴の見分けもつくようになってきたし。………まぁ、まだ勝てないやつの方が多いんだけどさ」
シャチホコとかえげつないくらい硬いし、ナイトメアデスゴキブリ相手に正面戦闘で勝てた例がないし。
………いっぺんだけ、森の奥の方を飛翔する未知の巨大怪蟲を目撃していたり。
幸いなことに相手が私の事を認識していなかったおかげで難は逃れたが、私の目測が正しければ最低でも体長50メートルくらいあったはず。
あんなバケモノとやりあうとか、まっぴらごめんだ。
「あと、ちょっとマズいことになったかもしんない」
「と言いますと?」
「獅子猿いるじゃん?アレがむっちゃ群れで来る可能性がある」
「………勝てます?」
「無理っぽい」
「どうします?」
「ん~………最悪、この屋敷捨てて逃げるしかないかも」
「マジですか」
「本当に最悪の場合は、だけどね。あまり人と関わりたくないのも屋敷に愛着があるのも事実だけど、それはそれとして命は惜しいし」
これが私だけなら殺人モンキー相手にエンドレスデスマッチというのも悪くなかったが、私には守るべき妹たちが、リリアナがいる。
「好きに生き、理不尽に死ぬ、か」
「?なんですそれ?」
「なかなか思うようにはいかないなって話」
背伸び1つ、首を鳴らして。
「………うん。やっぱりこの屋敷は放棄しよう。1週間で荷物まとめて逃げるよ」
「承知致しました、お嬢様」
即断即決、大事。
何にしても判断が早いに越したことはないだろう。
「それじゃ、そろそろあがろうか」
「はい」
リナに手伝ってもらって湯船から上がり、体を拭いている間にドライヤーで髪を乾かしてもらう。
外していた義足を付け直し、寝間着に着替えて。
「お休みなさい、リナ」
「え?一緒に寝ないんですか?」
………まったく、このメイドさんは。
「ベッド狭くなるんだけど?」
「私は気にしませんよ?」
「そういう事じゃないってのは」
「わかってます。言わせないでくださいよ恥ずかしい」
甘えるみたいに抱き着いてきたリナを受け止め………ようとして、ウェイト差でベッドに押し倒されてしまった。
抵抗しようかとも思ったが、まぁ、拒絶するほどの事でもないだろう。
柔らかな体を抱きしめ、寝転んで。
「………お嬢様、大丈夫ですか?」
「………まぁ、多少憂鬱ではあるけど、そこまでかな。優先順位を間違えるほど耄碌したつもりはないよ」
「耄碌って………お嬢様、まだ11じゃないですか」
「前世足したら三十路だからね。そんだけ生きれば多少は知恵もつくよ」
寝室の明かりを消し、目を閉じて。
「それじゃおやすみ、リナ」
「おやすみなさい、お嬢様」
緩やかな呼吸音と、優しく鳴る心臓の鼓動。
抗いがたい眠気に、瞼が重くなる。
消散する意識の中、誰かに頭を撫でてもらった気がして。
幸いなことに、夢は見なかった。
魔物解説:ナイトメアデス触手
命名・ジュジュ
腐肉の縄で構成された巨大な毛糸玉のような魔物。
分類的には粘菌の類であり、魔物や人間の死骸からバイオマスを吸収し肥大化する死肉食の生物。
特殊な粘液を分泌してタンパク質を吸収、融合させることで死骸から剥ぎ取った肉を自身の肉体に継ぎ足し、鞭のように振るって外敵や獲物を仕留める。
急所らしい急所がないため非常にタフだが、バラバラに切り刻むか高温の炎で焼き尽くすことで対処は可能。
とてもくさい。




