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第二章、再会とプロポーズ

 アンジェリカはフランチェスカ家を出ると、門の前に停まっていた馬車に乗り込んだ。

 御伽の国に出てきそうな真っ白な馬が、パカパカと蹄を鳴らし道を進む。

 艶やかな黒塗りの車体に、アンジェリカは執事と向かい合い座っていた。

 思わず手を取って、家を出てきてしまったアンジェリカだが、今になって別の感情が湧いてきた。

 不特定多数の相手をする娼館よりも、公爵家に嫁ぐ方がいいに決まっている。

 素性も確かであり、待遇は天と地ほどの差があるだろう。

 しかし、会ったこともなければ顔も知らない、好きでもない男性のものになるわけだ。

 アンジェリカの望みが叶わないといった点では、娼館行きと同じだった。

 ――一度でいいから、恋がしてみたかった。

 十歳から幽閉生活を送っていたアンジェリカは、まさに少女がそのまま、大人になった女性だった。

 ――ブリオット家の次期公爵様……一体、どんなお方なのかしら。

 アンジェリカがいろいろ考えている間も、馬車は進み、やがて都市部へと入った。

 ふと、窓の外に目をやったアンジェリカは、その光景に心を奪われる。

 石畳みの広い道に背の高い街灯、その左右にはオレンジ色の煉瓦を積んだ建物が並んでいる。

 一階はどこもガラス張りになっていて、お店になっているようだ。

 洋菓子屋に、洋服屋、雑貨屋に、果物屋まで、さまざまな店が軒を連ねており、頻繁に客が出入りしている。

 二階や三階には洗濯物が干してあるので、住居だということがわかる。

「素敵な街でございましょう?」

 外の景色を覗き込むアンジェリカに、執事が微笑みながら話しかけた。

 ハッとしたアンジェリカは、窓から少し離れて姿勢を整えた。

 はしゃいでしまったのかバレただろうかと、アンジェリカは少し気まずくなった。

「……はい、とても活気があって」

 アンジェリカが街に出たのは、もう十年以上前のことだ。

 そこは他の貴族の領地であったが、もっと人が少なく、寂れた雰囲気だった。

 ただでさえ久しぶりの外出だというのに、こんなに栄えた街を見るのは初めてだったアンジェリカは、つい興奮してしまったのだ。

「この辺りはすべてブリオット家の領地なのですよ」

「そ、そうなのですか……!」

「昔はなにもない寂しい場所だったそうですが、ブリオット家が上手く土地活用をし、今に至るのです。現公爵の先代の先代から続く、由緒正しい家系なのですよ」

「そう、なんですね……」

 長年地下室で暮らしてきたアンジェリカは、貴族界の詳しい事情がわかっていない。

 地下室に入る前から、爪弾きにされてきたので当然だ。

 幼い頃は家族で外出することや、客人の前に出ることもあったため、貴婦人としてのマナーは学んだが。

 執事からの話を聞いたアンジェリカは、ますます疑問を膨らませ、頭を悩ませた。

「あの……どうしてそんなすごいお方のところに、私なんかが……? ミレイユなら、まだわかりますが……」

「あなたでないと意味がないのですよ」

 即答して微笑む執事に、アンジェリカは少し頬を染めて俯いた。

 大人の男性に対する免疫がなさすぎる上、この執事はなかなか端正な顔立ちをしているので無理もない。

 それよりも今重要なのは、アンジェリカの装いの方だ。

 膝に置いた手元を見たアンジェリカは、着ているドレスが視界に入った。

 そして自分の装いを今更思い出すと、居た堪れない気持ちになった。

「すみません、こんな装いで……化粧もろくにせず、出てきてしまって」

 そう言ってアンジェリカは、濃いピンクの布をギュッと握りしめた。

 娼館用の奇抜な衣装が、公爵家に行くのに、相応しいはずがない。

「次期当主様はあなた様の事情をご存知ですので、なにも心配はいりません」

 アンジェリカは手の力を抜くと、パッと顔を上げた。

 するとやはり、彼はにこやかに微笑んでいた。

「大丈夫です、アンジェリカ様……この先には、あなたが思っているよりずっと、優しい世界が待っておりますので」

 ――貴族の令嬢が嫁ぐ時には、みんなこんなふうに言うのかしら?

 あまりに優しい執事の台詞は、女性を安心させるためのマナーなのだろうと、アンジェリカは見当違いなことを考えていた。


 馬車が徐々に北上していくと、景色は市街地から郊外に移る。

 太陽の光を受けてキラキラ輝く川沿いには、三角屋根の一軒家が建ち並んでいる。

 黄緑の草原くさはらと、春らしい鮮やかな花々が彩る道は、とても爽やかで美しい。

 街中のような賑やかさはないが、どこか懐かしさを感じさせる長閑な町並みだ。

 アンジェリカが窓の外を眺めていると、やがて前方に建物が見えてきた。

 中央と左右の先端が尖った黒い屋根に、真っ白な長方形の館。

 いや、館というよりも、城のようだとアンジェリカは思った。

 黒く重厚な門には、金色のライオンの紋章が飾られている。百獣の王を模したブリオットの家紋だ。

 アンジェリカたちの馬車に気づいた門番は、一礼すると門を開いた。

 驚くほど広大な庭だ。館までの距離が遠い。

 綺麗にカットされた芝生に、色とりどりの花が咲く花壇、ところどころに置かれた女神や天使の銅像。

 伯爵であるフランチェスカの家も立派ではあるが、やはり最高位の公爵家とは比べ物にならない。

 馬車はゆっくりと石畳みの道を進み、館の前で止まった。

 執事はドアを開けて先に降りると、アンジェリカに手を差し出しエスコートした。

 アンジェリカは地面に降り立つなり、顔を限界まで上げて館を見た。

 三階建てなのはフランチェスカ家と同じだが、とにかく横に広く、大きな建物だ。どれだけ多くの使用人を雇っているか窺える。

 歴史を感じさせるが、古臭くない、洗練されたデザインの館、その立派な扉が静かに開かれた。

「ようこそ、いらっしゃいませ、アンジェリカ様」

 館の外観に見惚れていたアンジェリカは、その声にハッとして前を見た。

 すると飛び込んできた光景に、アンジェリカは目と口を丸くして驚いた。

 アンジェリカの正面、玄関に向かってずらりと並ぶ使用人たち。

 向かって左側に執事、右側にメイドが立ち、一同にお辞儀をしていた。

 こんな盛大な出迎えが待っていると思っていなかったアンジェリカは、頭を右往左往させ、挙動不審になっていた。

「初めて来る時は、いらっしゃいませで出迎えよと、次期当主様からのお達しでしたので」

 アンジェリカの隣に立った執事は、実に落ち着いた様子で話した。

「次に出迎えられる時は、おかえりなさいませ、アンジェリカ様、奥様、公爵夫人……となるでしょうからね」

 執事を見たアンジェリカは、どんな反応をしていいかわからず、困った顔をした。

 ついさっきまで娼婦になる予定だったのに、いきなり公爵夫人なんて……やはりなにかの間違いではないかと、アンジェリカは思った。

 それでも執事に促され、使用人たちの間にできた、赤い絨毯の道を進む。

 その間もアンジェリカは、辺りをキョロキョロと見回している。

 高い天井にぶら下がった豪華なシャンデリア、壁面には金の額縁に入った絵画が飾られており、階段や床はピカピカに磨き抜かれている。

「おっと、申し訳ありません、あなた様をお探しするのに必死で、肝心なことを忘れておりました」

 最後尾の使用人を通過したところで、執事はなにか思い出したように立ち止まった。

 アンジェリカもうろうろしていた視線を戻し、金色の瞳の執事と向かい合う。

「私はブリオット公爵家で執事長バトラーを勤めております、フリードリッヒ・フェルシアと申します、以後お見知り置きを」

 フリードリッヒは胸元に右腕をあて、丁寧に一礼をした。

 それを聞いたアンジェリカは、小さな衝撃を受けた。

 まさかバトラーが、こんなにも若いと思っていなかったからだ。

「バ……バトラーって使用人で一番偉い……屋敷の運営や、統括を任されている人、ですよね?」

「はい、ワインセラーや銀食器の管理などもいたしております」

「す、すごいのですね、お若いのに、そんな大役を……」

「いいえ、私はもう四十になりますので、決して若いとは言えないのですが」

 フリードリッヒの台詞に、アンジェリカはまた別の衝撃を受けた。

 三十代からバトラーをしているだけでも優秀に違いないのだが、それよりも見た目年齢と実年齢の差に驚いた。

「――えぇっ!? て、てっきり、二十代後半くらいかと……」

 思わず口に両手をあて声を上げるアンジェリカに、フリードリッヒは少し面食らいながらも優しく微笑む。

 誰からも若く見られるフリードリッヒは、驚かれるのには慣れている。

 しかし、仮にも伯爵令嬢ともあろうお方が、こんなに素直な反応をするとは思っていなかったのだ。

「……ふふ、これは困りましたね、アンジェリカ様はずいぶんとお上手なようで」

「い、いいえ、お世辞ではなく……」

「わかっておりますよ」

 フリードリッヒは温かな気持ちで、螺旋階段に向かった。

「さあ、ご案内いたしましょう、あなたの主人となる方の元へ」

 ドキン、とアンジェリカの心臓が跳ねる。

 いよいよ、ブリオット公爵家の長男――次期当主様にお目見えするのだ。

 現在のブリオット公爵にも会ったことがないアンジェリカは、容姿を想像することもできない。

 ――怖い人だったらどうしよう、なにかひどいことをされるのかしら、だけど領地は活気があったし、使用人のフリードリッヒさんも素敵だし、ここの主になる方がそんなに恐ろしいとは思えない……たぶん。

 ぐるぐるとそんなことを考えながら、アンジェリカはフリードリッヒの後をついていく。

 純白の階段を三階まで上り終えると、しばらく廊下を進み、突き当たりの角部屋に着く。

 チョコレートブラウンの大きなドアを、フリードリッヒがノックした。

「フリードリッヒでございます、アンジェリカ様をお連れしました」

「入れ」

 即座に返事が来ると、フリードリッヒは金のドアノブを持ち、姿勢を低くしてドアを開いた。

 そしてドアノブを持っていない方の手で中を示す。

「どうぞ、お入りください」

 フリードリッヒの後ろに待機していたアンジェリカは、ふぅーと深呼吸をしてから、再び歩き始める。

 しかし、その足取りは重く、緊張して顔も上げられなかった。

 俯いていても、前方に立派な机があるのがわかる。

 気配からして、そこにそのお方がいることも。

 だからアンジェリカは、ドアから入って正面にある、机に向かった。

 広々とした一室の、青い絨毯を見ながら、少しずつ前進する。

 やがてアンジェリカは、机からやや離れた場所で足を止めた。

 そして自分の中で心を落ち着かせてから、口を開く。

「……は、初めまして……ア、ア、アンジェリカ・ドーリー・フランチェスカでございます……こ、この度は……」

 焦りを悟られないように気をつけていたのに、思いっきり吃った上に、次の言葉が出てこない。

 こういう時はどうすればいいのか。

 頭が真っ白になったアンジェリカは、血色の悪い顔で黙り込んでしまった。

「顔を上げてください」

 そこで助け舟を出したのは、アンジェリカを呼んだ当人だった。

 ほのかに甘い、幼さの残る、大人びた少年のような声だった。

 思ったより若い声だと思いながら、アンジェリカは勇気を出して顔を上げた。

 黒のズボンと上着に、白のベスト、青い蝶ネクタイ……貴族らしい豪華な装いの次に、その人物の顔が明らかになる。

 彼の背後にある窓から射し込む光が、さらさらとした白銀色の髪を輝かせる。

 ――銀の糸……みたい。

 アンジェリカは一瞬、自分の置かれた状況を忘れ、彼に見惚れた。

 アクアマリンのような切れ長の瞳に、高い鼻と薄い唇、シャープな顎、そして抜けるような肌。

 まるで妖精のよう――。

 アンジェリカがそう思った時、彼は机を出て、アンジェリカの方に歩み寄ってきた。

 ツカツカと近づいてくる彼に、怖くなったアンジェリカは反射的に強く目を閉じた。

 もしかして、ぶたれる――?

 しかし、アンジェリカに与えられたのは、痛みではなく、熱烈な抱擁だった。

「やっと……やっと会えた……僕のアンジェリカ……!」

 突然抱きしめられたアンジェリカは、わけがわからず思考停止していた。

 その様子を見たフリードリッヒは「ゴホン!」とわざと大きく咳払いをする。

 それにハッとした銀髪の彼は、急いでアンジェリカを離した。

「失敬! 嬉しくて身体が勝手に動いてしまいました!」

 身体を離されると、停止していたアンジェリカの思考が徐々に動き出す。

 アンジェリカは目の前に立つ青年を、じっと見上げた。

 なぜだかわからないが、どこか懐かしい気がしたのだ。

 そんなアンジェリカを、彼も一心に見つめる。

 澄んだ水のような瞳……初めてじゃない、どこか遠い昔……見たことがあるような。

「……あなたは……どこかで、お会いしたことがございましたか……?」

 アンジェリカの問いかけに、青年は感激して微笑んだ。

「……ええ、決して初めましてではありません、僕ですよ、アンお嬢様」

 青年は胸に手をあてながら、正体を明かした。

 それを聞いたアンジェリカは、落っこちそうなほど目を見開き、息を止めた。

『アンお嬢様』

 アンジェリカをそんなふうに呼ぶのは、たった一人しかいなかった。

 かつてのアンジェリカを呼んだ彼と、今目の前にいる彼が重なる。

 こんな見事な銀髪と、美しい瞳をした人間は、彼だけだった。

「……も、もしかして……く……クラウス――?」

「はい、そのもしかしてです」

「――えっ、えっ、ええええっ!?」

 アンジェリカは驚愕のあまり、貴族らしからぬ叫び声を上げた。恐らく、今までの人生で最も大きな声だろう。

 しかし、クラウスはニコニコと機嫌よさそうに笑っている。

「……ほ、本当に、あの、クラウスなの? フランチェスカ家で使用人をしていた?」

「はい、そうです」

「ランタンの油を頻繁に変えて、紅茶をたくさん運んでくれた?」

「はい」

「私が好きそうな本をいっぱい持ってきてくれた?」

「はい、そのクラウスでございますよ、アンお嬢様」

 アンジェリカの質問攻めにも、丁寧かつ、ハキハキと答えるクラウス。

 確かに、言われてみれば、どことなく面影があると、アンジェリカは思った。

 声も大人っぽくはなったが、軸になる部分は変わっていない気がする。

 八年の時を越え、再会した二人は、互いの成長に心震わせていた。

「……信じられないわ、こんなことが本当にあるなんて」

「僕のことをそんなに鮮明に覚えていてくださったなんて、感激です」

 目を細めるクラウスに、アンジェリカはかつての記憶が蘇ってきた。

 あの薄暗い地下室で、自ら進んでアンジェリカの世話を焼いてくれた、唯一の人物。

 一緒にお菓子を食べたことや、髪を撫でたこと、交わした言葉、その大切な思い出が、アンジェリカをこの世に繋ぐ糸となった。

「当たり前でしょう、忘れるはずがないわ、私に優しくしてくれたのは、クラウス……あなただけだったんだもの」

 アンジェリカは当時を思い出し、少し涙ぐんだ。

 そんな彼女の頬の腫れに、クラウスが気づかないはずがない。

「……この頬は、連中にやられたのですね?」

 クラウスはアンジェリカの赤みを帯びた頬に手をあてた。

 アンジェリカは少し気まずそうに目を逸らす。

「クラウス様がいらっしゃった頃より、なにも変わりないご様子でした」

 無言のアンジェリカに代わり、フリードリッヒが答えた。

 フリードリッヒはクラウスからすべてを聞いているため、フランチェスカ家の様子をきちんと観察していた。

 フリードリッヒの言葉に、クラウスは険しい顔をした。

 やはりあいつらは変わらなかったのだと、今のアンジェリカの状態を見たクラウスは思った。

 アンジェリカに相応しくない派手なドレスを見れば、なにが行われようとしていたか、大体検討はつく。

「そうか……よくぞ耐えられましたね、ですがもう大丈夫です、ここにはあなたにひどい仕打ちをする者はいませんから」

 クラウスはそう言って、アンジェリカの髪を撫でた。

 まるで昔と反対ね――。

 そう思ったアンジェリカは、ふとある考えに至った。

「……もしかしてクラウス、私を助けるために、結婚という理由をつけて、連れ出してくれたの?」

 公爵家からいきなり縁談が来るなんて、おかしいと思ったが、そういうことなら説明がつく、とアンジェリカは考えた。

 しかしクラウスは頷かず、腕を組み、片手を顎に添え、考えるポーズを取った。

「うーん、半分は正解で半分は違っています。あなたを助けようとしたのは本当ですが、結婚は口実ではありませんので」

 てっきり結婚はただの名目で、本当にするわけではないのだろうと思ったアンジェリカは、不思議そうに首を傾げた。

 なにもわかっていない様子のアンジェリカに、クラウスは手を伸ばす。

 そしてアンジェリカの顎をクイと持ち上げると、瞳を覗き込んだ。

「あなたは僕と結婚するのですよ、そしてここでともに暮らすのです、ずっと一緒にね」

 急に現実を突きつけられたアンジェリカは、またしても動きを止めることとなった。

 しかし、先ほどまでとは違う。

 相手がクラウスだとわかっているのだから。

 ――結婚……口実じゃなかったの? じゃあ本当にするのね、結婚……公爵様と……って、公爵様って、クラウスのことよね? じゃあ、じゃあ、私が結婚する相手って――。

 様々な思いに揺さぶされ、アンジェリカはだんだん目が回ってきた。

 そして、ついに思考回路がショートしたアンジェリカは、全身の力が抜けて気を失ってしまう。

 クラウスが素早く彼女を支えたため、床に倒れずに済んだ。

「あ、アンジェリカ!?」

「一度にいろんなことがありすぎて、お疲れなのでしょう、まずは静養された方がよいかと思います」

 フリードリッヒの言うことは最もだった。

 この数日間で、アンジェリカの置かれた状況は劇的に変化した。特に今日一日の変化は著しい。

 アンジェリカの頭がパンクするのも当然である。

 クラウスは自身の腕の中で、静かに目を閉じるアンジェリカを見つめた。

「……そうだな」

 小さく呟いたクラウスに、フリードリッヒが近づく。アンジェリカを運ぶ手伝いをするためだ。

 しかし、それに気づいたクラウスは、フリードリッヒを振り払うように、アンジェリカを抱きかかえた。

 所謂お姫様抱っこというやつだ。

「大丈夫だ、僕が運ぶ」

 まるで彼女は自分のものだと言いたげなクラウスに、フリードリッヒはやれやれといった様子を見せた。

「十年の片恋は根深いですね」

「余計なことを言わなくていい……それよりも……『例の件』は順調なんだろうな?」

 フリードリッヒはモノクルに触れると、妖しげな笑みを浮かべた。

「ええ、もちろんでございます、すべては次期公爵、クラウス様の思いのままに……」

 フリードリッヒの返事を聞くと、クラウスはアンジェリカ抱えて部屋を後にした。


 その日、アンジェリカは夢を見た。

 無機質な地下室で、ソファーに座り、立ったクラウスと向き合っていた。

 いつも通りの光景だと思っていた。

 しかし、クラウスの一言で事態は一変した。

 アンジェリカは手にしていた、大好きな本を落とした。

「クラウス……もう一度言ってちょうだい」

 アンジェリカは信じたくないあまりに、クラウスにそう言った。

 自分の聞き間違いであればいいと願った。

「僕は本日付けで、フランチェスカ家の使用人ではなくなります」

 しかし、アンジェリカの願いはあっさり打ち砕かれた。

 嘘であってほしかった、冗談だと言ってほしかった。

 だが、クラウスの真剣な表情が、事実だと物語っていた。

「なぜ……どうして、そんなに急に」

 狼狽えるアンジェリカに、クラウスは苦しげに目を細めた。

「……申し訳ありません、アンお嬢様、しかし僕は行かねばなりません、自分のために、そして、アンお嬢様のために」

「意味がわからないわ、どうしてあなたがいなくなることが、私のためになるの? クラウスがいなくなったら、私はもう……」

 アンジェリカは首を横に振り、胸の前で両手を握りしめた。

 クラウスはアンジェリカに近づくと、その手に、そっと自身のそれを重ねた。

「アンお嬢様……これは永遠の別れではありません、どうか、どうか、お元気でいてください」 

 そう言ってクラウスは、手を離すと同時に振り返り、走ってドアから出ていった。

「クラウス、待って!」

 アンジェリカは立ち上がり、右手を伸ばした。

 未練を断ち切るように、走り去ったクラウスの後ろ姿。

 これがアンジェリカにとって、クラウスの記憶の最後だった。

「クラウス――……!」

 そこでパッと意識が切り替わり、アンジェリカは目を見開いた。

 目覚めたアンジェリカの視界には、白い天井が映っている。

 ――あれ、私……。

 徐々に頭がハッキリしてくると、夢を見ていたことに気づく。

 パチパチと瞬きをしながら、アンジェリカは昨日の記憶を辿った。

 そして、クラウスに再会した後、意識が途切れたことを思い出す。

 ――そうだわ、あれから気を失って……。

 ここはどこなのだろうと、アンジェリカは天井から視線を移動させる。

 すると、すぐそばにある白銀色の髪に気がついた。

 アンジェリカのベッドの端に、体重を預けるようにして休む一人の美青年。彼は両腕に顔を埋めるようにして、すやすやと眠っていた。

 ――クラウス……そう……あなたとまた会えたのは、夢じゃなかったのね。

 アンジェリカは少し驚きながら、静かに上体を起こす。

 もう二度と会えないと思っていた、突然の別れを惜しんだ彼が、今目の前にいる。

 昨日はいろんなことがあって、ゆっくり感動している暇もなかった。

 二人きりの部屋で静かな時が流れる今、アンジェリカは改めて胸を熱くしていた。

 そして、ふと気づく。

 先ほどの夢――実際にあった、過去のやり取りから、クラウスの台詞を思い出す。

 クラウスは、自分のため、そしてアンお嬢様のためと言った。

 そして、永遠の別れではない、とも。

「……クラウス、あなた、もしかして、あの時から――」

 アンジェリカはそっと、クラウスの髪に手を伸ばした。

 すると、パシッと手を掴まれてビクッと驚く。

 眠っていると思っていたクラウスは、ベッドにもたれたまま、アンジェリカを見つめていた。

 その愛おしそうな微笑みが美しく、アンジェリカは思わず頬を染めた。

「お、起きていたの?」

「呼ばれたので……僕の夢でも見てくれていたのですか?」

 アンジェリカは夢の中だけでなく、現実に声を出してクラウスを呼んでいたのだ。

 それを知ったアンジェリカは、なんだか恥ずかしくなってまつ毛を伏せた。

 クラウスは上体を起こすと、改めてアンジェリカを見た。彼は金縁に赤い革張りの椅子に座っている。アンジェリカを運んだ後、つきっきりで見守っているうちに、自分も眠ってしまったのだ。

 アンジェリカはふかふかのベッドの上で、花柄の布団に入っていた。

「あなたの想像通りですよ」

 アンジェリカが言おうとしたことを察したクラウスは、自ら進んで話を始める。

「僕はあなたの前を去る時、心に誓ったのです、必ずあなたを迎えに来ると……そのためにはここに来る必要があった、あなたを救うためには、力が必要だったから」

 アンジェリカはクラウスの端正な顔をじっと見つめた。

 やはりそうだったのだと思いながらも、大きな疑問はいくつも残る。

 落ち着きを取り戻した今、アンジェリカは、クラウスに聞きたいことが山ほどあった。

「一体、どういうことなの? クラウスはうちで使用人として雇われていたわよね、それなのに、公爵家の長男、だったというの?」

「ええ、僕の父はサウロス・シモンズ・ブリオット……現公爵なのです。しかし母はサウロスの正式な妻、公爵夫人であるマリアンヌ・シモンズ・ブリオットではありません。僕を産んだのは、クラウディア・バートン……レストランのウェイトレスをしていた女性でした」

「もしや、レストランのウェイトレスと公爵様が恋に落ちたとでもいうの?」

「はい、その通りです。父のサウロスが外出時に見そめたそうで、それはもう夢中だったのです……僕は二歳辺りから記憶があるのですが、父は頻繁に母に会いに来ていました、僕ともよく遊んでくれましたし」

 クラウスから初めて語られる事実に、アンジェリカは耳を傾けながら、ほう……と驚いた。

「まあ……なんだか、作り話しのようなラブストーリーだわ」

「言われてみればそうかもしれません、今でもお好きなのですね、恋愛の物語が」

 クスッと微笑ましそうに笑うクラウスに、アンジェリカは少し恥ずかしくなった。

 身分違いの男女の恋は王道だ、しかし、今クラウスが話しているのは物語の話ではない。

 

「ですが、現実は本のように上手くいかなかった。父は本気で母と一緒になる気でしたが、なんせ身分が違いますから、周囲からの反対……などという可愛いものでは済みません。父がブリオットを捨てれば、今まで父が管理していた領地はどうなるのか、雇っている使用人を路頭に迷わせるわけにもいかず……父は公爵としての責任と、愛の狭間で揺れ動いていたようです。そして、迷っているうちに……母は亡くなってしまいました」

 少し寂しげなクラウスに、アンジェリカの胸が軋んだ。

「……まだお若かったでしょうに、幼いあなたを残して亡くなるだなんて、無念だったでしょうね」

「母は僕を二十で産んだので、亡くなった時は二十八でした、あの時は本当に悲しかったですが……母のことは鮮明に覚えています、病弱なのに働き者で、とても優しかったですが、父からの援助は断る頑固な一面もありました」

 クラウディアはサウロスに頼らずとも、クラウスを育て上げると懸命に働いていた。

 片田舎の町で母との二人暮らし。決して生活は楽ではなかったが、クラウスは自分を不幸だと思ったことはなかった。

 人として大切な幼少期、母から精一杯の愛情を受けてクラウスは育った。

「まぁ……芯の強い女性だったのね、きっと見目も麗しかったのでしょう?」

「息子の僕が言うのもなんですが、美人だったと思います、化粧っ気がなく素朴ではありましたが……僕は母親似で、この髪や瞳も母から受け継いだものなんですよ」

「そう……ならば間違いなく美人ね、早く亡くなってしまったのは気の毒だけど、きっと不幸ではなかったわね、あなたも……短い間でも、本当の愛を知ったんだもの」

 裕福であっても幸福ではなかった、アンジェリカの言葉には重みがあった。

「もしかして、それで……クラウスを孤児院に入れないために?」

「はい、母が亡くなった時、僕はまだ八歳でしたから、一人では生きていけなかった。それを知った父が、自分の目の届く範囲である貴族社会の中で、生活させようと決めたのです。そして、僕はあなたと出会った」

「この家で一緒に暮らすことはできなかったの? 本気ならば、隠している関係ではなかったのでしょう?」

「うちでは皆知っていましたが、当時はまだ公爵夫人のマリアンヌが、僕を引き取ることに猛反対されたようです。そんな状況で無理に引き取っても、僕が肩身の狭い思いをするのではと考えたそうです。かといって、妾の子だと知れたら、蔑まれるかもしれない、だから僕は父の友人の子という、当たり障りのない存在として、世間に出されたのです」

 彼がフランチェスカ家に来た時、クラウス・バートンと名乗っていたのはこのためだった。

 当時、クラウディアとサウロスの仲は、公爵家では公然の事実だったが、外部に情報は漏れていなかった。

 なので母方の姓で外に出れば、誰もクラウスを公爵家の息子だとは思わない。

 実際、バレないまま、クラウスは二年間の使用人生活を終えた。

「でも……そんなに嫌がっていたマリアンヌ様が、あなたを迎えるのを了承したのはなぜ? あたしの元を去ったのは、公爵家から迎えが来たからなのでしょう?」

 クラウスは深く頷き、アンジェリカの疑問を解く。

「それは……彼女が四十歳になったからですよ」

 その答えには、女性ならではの苦悩が詰まっていた。

「まだ三十代ならと、男児を産める可能性を捨てきれなかったようです……だが叶わなかった。しかし、ブリオット家の血筋を絶やすことはできないため、仕方なく僕を後継として迎え入れたのです、男児を産めなかったことを罪に思っているのか、今は大人しくしておいでですよ」

 貴族の爵位を継承できるのは、長男だけと決まっている。

 だからマリアンヌは男児を産もうと必死だった。

 加齢のため、ついにあきらめたマリアンヌが許しを出したので、クラウスは正式な後継者としてブリオット家に迎えられたのだった。

「そう、だったの……マリアンヌ様も、辛い思いをされたのね」

 つい、人の気持ちになって考えてしまうアンジェリカを、クラウスは愛おしくも、心配な眼差しで見つめた。

「あなたは、本当に、すぐに人のことを気遣ってしまうのだから……変わっていませんね、そういうところ」

「そ、そうかしら?」

「あの頃も、自分に優しくしたら叱られるだろうと、僕のことを心配してくれた、一番辛いのはあなた自身だったはずなのに」

 気遣うクラウスに、アンジェリカは少し恐縮しながら、布団の縁を摘んだ。

「あの……ありがとう、クラウス、いろいろ話してくれて、疑問が解けたわ」

「それはよかったです」

「だけどまだ一つだけ……どうして私にそんなによくしてくれるの? 私はいつも助けてもらってばかりで、あなたになにもできていないのに」

 この台詞に、クラウスは涼しげな目を丸くした。

「……なにを言ってるんですか、むしろ、僕が先にあなたに助けられたというのに」

 今度はアンジェリカが目を丸くする。一体なんのことだといった感じだ。

 ぼんやりちゃんのアンジェリカにわかってもらうため、クラウスは説明を始めた。

「目の色はともかく、この髪はずいぶんと目立つのでね、銀髪はかなり珍しく、よく嫌がらせを受けました。公爵家の紹介ということで、表立ったいじめはありませんでしたがね」

 実際、クラウスの髪色は本当に珍しいのだ。

 母もそれでいじめられたことがあると言っていた。

 珍しいものに対する拒否反応と、美しさに対する嫉妬が相まって、クラウスはよく嫌がらせを受けた。

 フランチェスカ家の使用人は待遇が悪かったため、ストレスの吐口にしていたのもあるだろう。

「覚えていませんか? 他の使用人たちに仕事を押しつけられた時、あなたはその使用人たちを叱ってくださった。それでも聞かなければ、洗い物や掃除まで、一緒にしてくださったではありませんか」

 クラウスがフランチェスカ家に来た時は、まだアンジェリカは上の階で生活をしていた。

 地下室ができるまでの数ヶ月間、アンジェリカはよくクラウスを庇い、面倒を見ていたのだ。

 その感謝の気持ちを伝えようと、熱弁するクラウスだったが――。

「……そういえば、そういうこともあったかしら?」

 当のアンジェリカは助けたことをすっかり忘れていた。

 顎に人差し指をあて、宙を見上げる彼女に、クラウスはハァァーーーと、非常に深いため息をついた。

 まったく困った人だが、そういうところも好きだと思いながら。

「あなたは本当に、自分がした善行は綺麗さっぱり忘れるのだから……」

「そんな、善行だなんて、大したことじゃ」

「それでも僕は救われたのです、あなただけが僕の光だった、そして、それは今も変わっていません」

 クラウスは握ったままだったアンジェリカの手に力を込めた。

 そしてアンジェリカを真摯に見つめる。

「あの頃からずっと……愛していますよ、アンジェリカ、僕のものになってください」

 一世一代の愛の告白。

 それなのに、アンジェリカは珍獣を見たかのような顔をしている。

「……なに面白い顔をしてるんですか、真剣に告白しているというのに」

 これにはクラウスも突っ込まずにはいられなかった。

 それはどういう感情の顔なんだと、疑問でしかない。

 しかしアンジェリカは、アンジェリカなりに真剣だった。

 互いを希望とし、生きてきた二人だから、深い情のようなものはあると思っていた。

 しかし、アンジェリカは今まで、クラウスを異性として見たことがなかった。

 だから、この告白は、アンジェリカにとって予想外だったのだ。

「えっ……だ、だって、愛、してるだなんて……クラウス、わ、私のこと……そ、そういう意味で好き」

「そうですよ、触れて、愛して、独占したいという意味の好きです」

 アンジェリカの言葉に、被せ気味に断言するクラウス。

 あまりにストレートな表現に、アンジェリカは毛が逆立ちそうなほど驚いた。

 焦り散らかすアンジェリカに、クラウスは手を伸ばすと、彼女の顎を捕まえた。そして少しずつ顔を近づけてゆく。

 クラウスの目にはアンジェリカが、アンジェリカの目にはクラウスが……互いだけを一心に見つめ、唇が触れ合おうとした、その時――。

「キャーッ!」

 アンジェリカは自由になる方の手で、クラウスの顎を押しのけた。

 瞬間、グキッと音がした……ような気がした。

「あっ、ご、ごめんなひゃいっ! だって、あ、あのクラウスが、妖精のように小さくて、美少女のように愛らしかったクラウスが、こんな、こんな……」

 勢いでクラウスの手から逃れたアンジェリカは、真っ赤な顔をして胸の前で両手をブンブン振った。

 クラウスはアンジェリカにグキッとされた顎を、静かに自分の手で撫でていた。少し痛かったようだ。

 時の経過というのはすごい。

 アンジェリカより小さかった少年は、すっかり彼女の背を抜かして、立派な紳士に成長した。

「あれから八年経ちますからね、僕は十八、あなたは二十だ、もう十分立派な紳士と淑女です」

 その言葉に、アンジェリカは衝撃を受けた。

 自分の年齢を忘れていたのだから当然だ。

 地下室でずいぶん過ごしたとは思ったが、まさか大台に乗っていたとは……。

 女性は十代で嫁ぐのが珍しくないナタリア王国で、二十という数字がアンジェリカにのしかかった。

「わ…………私、もう、二十、なのね……」

「本当は爵位式を済ませ、正式に公爵になり、嫁入り道具もきっちり揃えてから、万全を期してお迎えに上がるつもりだったのですよ。しかし、フランチェスカ家が破綻したと聞いたのでね……これはあなたによからぬことが起こるのではと、急いだのです」

 アンジェリカになにかあってはいけないと、クラウスはフランチェスカ家について、常日頃からアンテナを張っていた。

 そのおかげでアンジェリカは、難を逃れたわけだ。

「すごいわね、クラウス……実は私、娼館に身売りする予定だったのよ」

「……やはり、そんなことだと思いましたよ、あのクズども――ンッンヴッ」

 うっかり口を滑らせたクラウスは、不自然すぎる咳払いで誤魔化した。

 クラウスは八歳まで下町で育ったため、汚い言葉も知っており、イラッとした時はつい口走ってしまうこともある。

 今なにか聞こえたかしらと、不思議そうにするアンジェリカ。

 おっとりしたところを見ると、お嬢様らしいかもしれない。

 クラウスはそんな彼女を前に、だんだん我慢ができなくなってくる。

 想像以上に綺麗になった、愛する人に両手を伸ばす。

 そして自身の腕の中に、閉じ込めるように抱きしめた。

 トクン、トクン。

 触れ合ったところから、鼓動が伝わってくる。

 ほっそりしているのに、しっかりした骨格に、広い胸、意外と強い力に、男らしさを感じた。 

 クラウスはアンジェリカを抱きしめたまま、そばにある額に口づけた。

 それに反応したアンジェリカが顔を上げると、クラウスはすかさず顔を寄せる。

「観念してください、もうあなたを鳥籠には返さない」

 身体を固定されていて動けない、いや、顔を背ければ回避できたかもしれない。

 けれど、アンジェリカはかわすことをしなかった。

 ギュッと目を閉じて、クラウスから口づけを受けた。

 ふわっと触れる、柔らかな温もり。

 初めての感覚に酔いしれる間もなく、唇は名残惜しそうに離された。

「……今はこれで我慢するので、早く慣れてくださいね、アンお嬢様?」

 わざと昔と同じ呼び方をしたクラウスは、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。

 ――クラウスって、こんなに強引だったかしら……?

 アンジェリカは真っ赤になりながら、言い返せない自分を少しだけ悔しく思った。

 クラウスの十年越しの恋、十年分の思いの丈に、果たしてアンジェリカは応えることができるのだろうか。

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