8 Side.リース
本日の仕事、無事に終了。
交代人員に引き継ぎを済ませ、創造主様の所へ行くとしましょう。
「では、後は任せましたよ」
「はい、了解しました」
No.1083に引き継ぎ、私は部屋を出る。
向かう先は、厨房。
出来ているのかの確認と、そうであるならば配膳をしなくては。
そうして廊下を歩いていると、前方に創造主様とテレス様を発見する。
「創造主様、テレス様」
「おっ?リース!」
『異常はなかったか…?』
創造主様が確認するように思念を伝達する。
「はい、私が退室するまでは問題ありませんでした」
『ならばよい…、行くぞ…』
「一緒に行こー!」
「はい、御供させていただきます」
答えながら創造主様の横に移動する。
そして、創造主様とテレス様の半歩後ろの位置を維持しつつ、歩く。
と、そこでいつもなら存在するはずの気配が、周囲にないことに気付く。
「創造主様、淫魔女王の姿が見えませんが…」
『あ奴には別件を頼んでいる…。 戻るのは今夜の内か…、遅くとも明日の朝だろう…』
朝方には見かけた淫魔女王の所在を聞くと、創造主様が答える。
世界消滅の危機以外の事となると、淫魔女王の配下の淫魔達への協力要請でしょうか…。
あの者達は創造主様と直接的な契約を結んでいない故、動かすとなると淫魔女王を通じて呼びかけるしかないですからね…。
「何か準備が必要ですか?」
『大丈夫だ…。 お前は何時も通り…、母星の有象無象を監視しておいてくれ…。』
「解りました。 差し出がましい真似、申し訳ありません」
『よい…。 気に病むな…』
そう造られたとは言え、畏れ多くも創造主様の身を案じるなど…、創造主様は気にしてはいませんが、私ももっと精進しなければ…。
「あの色ボケ、やたらはりきってたからなぁー」
「それはそれは……。 余計な騒動を持ち帰らないことを願いましょうか」
『あ奴には前科がある故…、私も弁護できんな…』
(以前はそのせいで、666の眷属達のほぼ半数を動員することになりましたからね……)
淫魔女王の騒動誘因体質ぶりにも困ったものです…。
会話を続けながら歩いて行くと、向かう先に食堂が見えてきました。
「では創造主様、私は厨房を見て参ります」
『うむ…、私はもう暫く散歩していよう…。 皆が集まる前に食堂に入っては…、皆に要らぬ気苦労を与えるからな…』
「んじゃ私もー!」
そういって創造主様とテレス様が、廊下の向こうへと消えて行きました。
さて、あまり創造主様をお待たせするわけにもいきませんし、準備が整いましたら今いる眷属達を呼び集めましょうか。
※用語解説:機械人形
クレスが創りだした人間を模した生命体。
身体は頸部を除いて人間と大差ないが、体内が機械仕掛けで人で言うところの血液が魔力になっている。
頸部にシリンダーとの接続部分があり、全員がマフラーでその部分を隠している。
全員が統轄個体であるリースの管理下にある。




