19 Side.シメール 2
暫く原初の覇王と眷属達以外の視点でお送りすると言ったばかりなのに…、
スマン、ありゃウソだった。
でもまあ、この話は作者の温め続けた設定と閃きで構成されてるから良しとするって事でさ、こらえてくれ。
すんません、ようするに行き当たりばったりってことなんです…。
「無事滞りなく終わったようだね~」
「…あれが…、無事と言えるのか…?」
何やらお姉さんが暗い顔をしている。
「無事も無事だよ~。 本来のあの世界の歴史の通りになったわけだし~。 これであの世界の揺り戻しによって生じる世界の核の軋みによる世界消滅は避けられたわけだしね~」
「…だとしても…、もっと他に方法が……」
「そりゃ~無理ってもんだね~」
本来であるならば、その世界と異なる世界の者が関わることは、ありえないことであり、あってはならないことなのだ。
私らが介入しても問題ないのは、偏に造物主様の眷属であるからだ。
造物主様の眷属となったものは、この世の因果から解放される。
眷属となったその時から、全ての世界において同位体が存在しなくなり、文字通りの意味で、全世界で唯一の存在となるのだ。
因果に縛られていない者でなければ、他世界に干渉することそのものが本来なら治しようもない歪みを齎してしまう。
「あれが造物主様が最も被害を最小限に収められる方法だからね~。 あれよりも被害を減らす方法となると~、もしかしたら造物主様なら知ってるかもしれないけど~、造物主様にはそこまでする義理はないからね~」
造られた私ですら、造物主様の力は底が見えない。
最も造物主様から力を譲渡されているグーロでさえも…。
「…その…、造物主様とやらには…、慈悲はないのかえ…?」
「ん~? 慈悲ならあるよ~。 造物主様にとって世界の維持こそが目的であり行動理念だからね~。 人を助けることは造物主様の管轄外~。 だから罰を与えもしないし試練も与えな~い! 世界消滅の危機を引き起こした原因なのにさ~! 全く造物主様は優しすぎるよ~!」
本当に…、あれ程の愚行を繰り返す人々を見ても、造物主様は慈悲を見せる…。
その目の先に何が映っているのかは、私も知らない…。
もし造物主様がその気なら、私達眷属は喜んで何にだって協力するつもりだ。
だけど造物主様は、その圧倒的で絶対的な力を、全世界の存続と安寧に捧げている。
造物主様曰く、『それが支配者として生まれた私の務めであり役目』なのだそうだ。
(世に蔓延る似非支配者共も、造物主様の在り様を僅かばかりでも見習うべきじゃないかな~?)
ん?なんかお姉さんが怯えてるような…。
まぁいっか~。
「まぁお姉さんも~、造物主様を見れば理解できると思うよ~?」
「…見て気が狂ったりしなければ…、良いのだがのう……」
「だいじょ~ぶ! そうなっても造物主様なら元に戻せるから~」
「!……、そ、そうか……」
あれ?ますます怯えちゃったような…。
まぁいいか~。
「まぁ安心していいよ~。 造物主様の眷属になるってことは~、永劫にして至上の安堵を得られることと同義だからね~」
「……それほど…、までなのかえ……?」
「皆も眷属になる前は~、心の何処かで恐怖や不安を抱いていたと思うよ~」
眷属として造られた私には解らないけれど…。
「でもね~、造物主様の眷属になった子達は口を揃えて言うんだ~。「あの御方の眷属になれたことは、至上の幸福だ。」ってね~」
グーロなんか特にそうだろう…。
あの子にとって造物主様は、絶対的な救済者なのだから…。
※用語解説:揺り戻し
その世界で定められている結末を逸脱する場合、その定められた結末に強制的に軌道修正しようとする現象。
無理矢理舵を切るようなものであり、その反動は歪みとなって世界の核に蓄積される。
本来であれば何度も発生する事ではないが、神等の一定以上の力を持つ者による世界への干渉によって多発している。




