18 Side.帝国北部砦の兵士
「あ~、暇だなぁ……」
「だらけるなよ。 隊長に見つかったら大目玉だぞ」
「そうは言っても、時々迷い込んでくる獣以外には何もないじゃないか……」
「まぁそうだけどよぉ……」
ここ帝国の北部砦は、魔王軍の監視を目的として建てられた砦だ。
魔王軍に動きがあれば、即座に帝国首都に知らせにいけるように体制が整えられている。
だが北門以外は、正直見張る意味があまりない。
たまに迷い込んでくる獣も、門の前まで来ることはあってもそこから先へは来ず、いつも引き返していく。
帝国首都からの知らせによると、二年後まで魔王軍には動きがないという…。
その情報のせいか、北門の奴らも最近はあまりやる気が感じられない。
見張りはしているが、のんきに欠伸したり、立ったまま寝ている奴もいる。
「まぁ一応形だけでも見張っておこうぜ。 給料もらってるんだし」
「そうだな…。
交代まで精々真面目に振る舞っておきますか……」
欠伸を漏らしつつも門の外を見張る。
何時も通り何もないせいか、眠気が襲ってくる…。
(あぁ…、流石に寝るのは不味い…。 だが……───)
意識が落ちそうになったその時、警鐘が鳴り響いて眠気が吹き飛んだ。
「な、なんだ!?」
「他の門で何かあったのか…?」
耳を澄ますと、北門のほうが騒がしい気がする…。
「流石に持ち場を離れるのは不味いよなぁ……」
「あぁ…、誰かが知らせにくるのを待つしかないか……」
そんなことを言っていると、噂をすればというやつか一人走ってくるのが見える。
「おーい! 何があったんだ?」
「大変だ!! 北から魔王軍が来ている!」
「なに!?」
そんな…!? 来るのは二年後じゃなかったのか!?
何がどうなってるんだ…。