0話:始まりの刻(とき)
初めての方も、そうでない方も、こんにちは。谷崎春賀と申します。今回は、話が長すぎて短編に収まりきらなかったので、連載投稿にしました。内容としては、とりあえず、笑いあり涙ありの内容を目指して書いてみたのですが、どうでしょう。少しでも楽しんで頂ければ、幸いです。
0:始まりの刻
地上から見上げた空は、時間の経過に伴い、面白いくらいにコロコロと表情を変えていく。
青く澄み渡っているかと思えば、気まぐれな雲がベールのように薄く白くたなびき。
雨の静けさのあとには、七色の虹が空を飾り、黒い雲の隙間から光の梯子をかけたりもする。
とにもかくにも、地上から見上げる空は、千変万化。いつだって美しい。
だが、それ以上に、空から見下ろす地上は輝いて見えるということを知っているだろうか。
晴れの日には、建物や水面が光を反射してきらめき、雨の日には、しっとりと濡れた世界が渇いた心を潤してくれる。夜になれば色とりどりの光が世界を染め上げ、夜明けともなると、真っ白い光のなか、無垢な表情を覗かせる。
『――…いつか、あそこへ行ってみたいのですよ』
そう、ポツリと呟いたのは、天使の少女。
白銀の髪に青い色の瞳の彼女は、たった一人で、地上を映す不思議な泉を見つめていた。
何度見ても、憧れる。
見れば見るほど、あの場所へ行きたくなる。
しかし、だからといって、彼女には見ることしかできない。
ここは、天国。
地上から、最も遠い場所。
それでも――…。
少女は、来る日も来る日も、地上を見つめ続け、そして――…。




