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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第四章   闇を払う者たち
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閑話 あるドワーフの旅程(エミリーの冒険2) 上

侯爵家の領地に向かった星霊の巫女の一行。

今日ものんびり観光気分。

立ちよった街で面倒事の臭いをかぎつけた。

今回の犠牲者は・・・



閑話 |あるドワーフの旅程(エミリーの冒険2) 上



 はぁ、はぁ、はぁ・・・

 草原に放たれた獲物達。


 ある者は攫われ、またある者は肉親や他人に金と引き替えに売られてきた者たち。

 気力を失った者は慰み者となり衰弱や虐待により命を落とした。

 まだ気力と体力を持つ者は狩りの獲物として野に放たれる。


 そして何人かの仲間を犠牲にしながらも狩り場の外まで逃げ延びた子供達。

 だが本当の狩りはそこからだった。

 囲いの仲の狩人は逃げる獲物を追い詰めて楽しめればいいのであって、死んでしまったり使えなくしてはめんどくさくなるだけである。

 殺すのはそのための狩り場が別にあるのである。


 精霊教会には人間以外の”人”も人権を認めていたが、それに逆らった場合の罰などもありはしない。

 彼等はいまだに頭のいい獣としか考えていない、さらに貧民や孤児にも同程度の認識しか持たぬ者達。


 外まで逃げられる者が居ることはある意味希望である。自由になれるかもしれないのだから。

 だがそこに居たのは本物の狩人だった。

 彼等に課された任務は全ての獲物を捕獲すること。生死を問わず。

 彼等に捕獲された獲物は次の狩り場に移される。

 殺されるための狩り場、脱出に成功して姿を消したと装うためにまた、強すぎる獲物を処分するための場所。


 

 離れた茂みから悲鳴やうめき声が聞こえ、仲間が捕まっていく。

 もうすぐ草原から出られる!

 急に足下が無くなったような感覚。

 そのまま目の前の藪に頭から突っ込む。

 不思議と痛みは無い。

 急いで体を起こす。


 目の前に布を巻いただけの靴を履いた足が転がっていた。

 あれ?これってあたしのくつ?

 凄まじい痛みを思い出し、大声を上げ転げ回る。

「・・・うるさい・・・」

 ぐしゃ。

 顔の右側が潰れる感覚、首の骨まで砕けたかも・・・

 痛みすら消えて目の前が白く染まっていく。

 何故かお姉ちゃんの臭いがして声が聞こえてきた。

 きっと先に精霊の国に行ったお姉ちゃんが迎えに来てくれたんだ・・・



 元アサシンの男はいらだっていた。

 たしか初めてしくじった日もこんな感じがしていた。

 あの時は先に仕掛けた上司が武器を出す瞬間に焼き殺されていた。

 一目でかなう相手ではないと悟り全力で逃げ出した。

 結局生き残ったのは俺だけ。

 以来仕事は出来なくなったが、その相手は幾度の襲撃にも傷一つ付かず全て殺してしまった。

 仕事の取り消しと不干渉が決まるまでに2年、一〇〇〇人の犠牲者が出た。結局生きのこりは俺だけ。

 すでにこの仕事に鞍替えした俺には関係の無い話だ。


 警戒しつつガキどもの掃除を始める。その気に当てられたのか同僚達がいつになく攻撃的になっている。

 今日は生き残りは少なそうだ。

 かくゆう俺も、いつもはいたぶった上慰み者にしたくなるほどの上玉の娘だが、さっさと始末してここを離れようと考えている。


 死体の一部を持ち帰ろうと手を伸ばした時、目の前に何かが落ちてきた。

 とっさに後ろに飛び“それ”を躱す。

「そいつらを持って消えなよ。ボクが切れる前に。」

 落ちてきたのは同僚達。皆手足が変なところで繋がって身動きできなくなっている。


 そして見上げた先には小柄なドワーフが空中に立ちふさがっている。

 一瞬さっき蹴り殺したドワーフのガキかと思ったが、傷一つ無い美しい肢体と地味だが上等な旅装、風で翻ったスカートの中のとても小さな扇情的で上質の下着、美しく整った顔と手入れの行き届いた体毛。

 こいつは貴族のペットだ!

 しかもこの辺りの奴じゃ無い、魔法を使う獣人なんて聞いたことも無い。

 やばいな、ここは逃げるか。

 最早なりふり構わず背後に向かって走り出す。


「あ、ちょっとこいつら連れてってよ-。」

 かまっていられるか。あの時よりやばい感じがびんびんしている。あれはやばい。

 取りあえず隣の町まで逃げるか。まあ生きていれば何とかなるさ。


「まあいいか。あとで何人か動けるようにすれば自分で帰るでしょう。それよりもまだ生きてるのがいるね。」

 幸い材料はここにあるし生き残った子供達の治療を始めるか。

「ん?あれ?あなたまさか、ルーちゃん?ちょ、なんで?だめ死んじゃだめだよぉ!!」

 一番下の妹、ルセラが目の前で死にかけていた。



 藪を飛び出した時に危うく人にぶつかりそうになった。

 反射的に繰り出した拳が相手の体の動きに巻き込まれるように流される!

 それに対して膝蹴りで動きを止めようとしたが躱すように腕を極められたままバク転、そのまま巻き込まれるように地面に叩きつけられる。

 何か大きなものが目の前を通りすぎたような気がした。

 腕と首を締め上げられさらに顔面を布越しだが大きくて柔らかい物で塞がれ息が詰まり気を失った。

 その寸前になって、相手が自分より小柄な女性であることその顔は見えなかったがその体は均整が取れ、唯一異常ともいえるその特徴的な”もの”が今自分の息の根を止めようとしている”凶器”であることを悟った。

 ・・・女の胸で窒息死・・・ある意味幸せな最後だな・・・ああいいにおいだ・・・

書きかけの外伝はもうしばらくお待ちを。

書き終えたら割り込み投稿します。

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