↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/43

第三十四話

 地面の冷たさを感じていると、背後に人の気配がした。


「大丈夫か」


 第六王子がフィレンの身を案じ、手を差し出す。


 手を借りて立ち上がる。


「ええ。なんでもありません」


 王子はフィレンよりも一回り大きいので、見上げる格好になる。


 思わず見つめ合う形になったが、王子はすぐに視線を下げた。が、またすぐに次は空中を見るようにして言った。


「も、申し訳ない。まだ湯から上がったばかりでしたか。思いのほか早く食事の準備ができそうだったので、一緒にダイニングに向かおうと思ったのですが……、ええと、食事は部屋まで持ってこさせます。……し、失礼した」


 早口で説明し、碌に目も合わせず、王子は去って行った。


 サリトール王子は女遊びが趣味だと聞いていたが、あの様子だとまともに女性と話したことがあるのかすら怪しい。


 もしくは、私のことが苦手なのか。


 どちらにせよ、やるべきことは変わらない。王子の好感度を上げ、親密な関係になることだ。



 用意された部屋は中央に天蓋付きのベッドがあり、装飾されて壁際に机と椅子があった。ベランダに繋がる大きな窓は太陽の光を目一杯吸い込んで、部屋の中を余すこと無く照らしている。


 ベッドに腰を下ろそうと近づくと、予期しない物体が中央に鎮座していた。


 金色の飾りかと思ったそれは、フィレンの金髪ウィッグだった。


 赤髪の女が手に持っていたはずだったので、フィレンにキスをして、逃走した直後、この部屋に置いていったのだろう。


 しかし、なぜあんなことを……。


 たしか、「嫌われろ」とか言っていたはずだ。

 私からは見えなかったが、もしあのとき既に第六王子が背後にいたなら、口づけの現場が見られていたことになる。


 それを見られていたとして、どうして嫌われることになるのだろう。


 だが、一つハッキリしていることは、あの赤髪は私を邪険にしているということだ。


 これから、王子と仲を深めるには、あの女が邪魔になりそうだ。


 いいだろう。

 喧嘩を売るというのなら、買ってやろうじゃないか。


 フィレンはウィッグをつけ、部屋を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。