39! 嘆きの都市
闇の中、目の前でコトの姿だけが見えた。ごまちゃんとは逆の方を歩いている。また置いてけぼりにされんとごまちゃんは必死に追ってコトの手を掴んだ。
「…よう。」
「コト……君……。」
ごまちゃんは顔を下に向けた。
「ごめんね。…頼り過ぎて…。」
「そんな事無いよ。俺が弱かっただけ…君を守れなかった…。」
「私こそ…!?」
コトの背後から闇が消えていった。その代わり、今度は辺りが光に満ちていく。ごまちゃんはその間に、コトの身体が光となっていく姿を見た。
「コト君?ダメだって!置いていかないでよ!!コト君!コト君!!…」
ごまちゃんはコトに抱きつこうとしたが、コトは何も言えずに消え去ってしまった。ごまちゃんはただ、コトが消え去った方向を見ただけだった。
「…起きろ!!」
「ひゃあぁぁ!!」
ごまちゃんは大きな声とベットを叩く音を聞き、すぐに起きた。涙の跡を残していた。近くにデミの姿を見つけた。ごまちゃんはデミに聞いた。
「…何?」
デミは溜息を吐き、言った。
「昨日戦っていたの誰?」
「…コト君を狙っている魔神、エクストゥ…。」
「そいつの封印の主が今こっちに来ている。至急、クリスタ王の下へ急げ。」
「は…」
腹の虫が鳴った。
「へへへ…朝ご飯食べてなふぐっ…」
「パンでも食ってろ!!」
「は…はひはほお…。」
ごまちゃんはパンを急いで食べた。少し喉に詰まりそうになった。牛乳を飲んで、ベットから離れた。しかし、ごまちゃんは此処にいるはずのコトの姿が見当たらなかった。
「デミさん…コト君は…。」
「親衛隊の方で預からせてもらうことにした。また、もうそろそろで来るかも知れない。三番隊の方はピンチになり得る。加勢してくれないか?」
「クリスタ王を訪ねた後でね!」
ごまちゃんは急いで部屋を出た。
同刻、ジェド達はグランを見つけた。手前には三番隊の銃撃隊が待ち構えてた。
「ちっ、あんな所で魔法を使いたくはねえよ。一気に行くぞ!!」
5体のドラゴンは更に猛スピードでグランへと進んだ。
「撃て!!」
銃弾がジェド達の方へきた。しかし、魔法で全て弾かれてしまった。ジェド達はそのスピードのまま、グランへと着いた。着陸と同時に、オークを出す魔法をジェドが唱えた。
「バルフデ!貴様らは陽動を行え!」
そう言いジェドはそこから去った。オークは一目散に広がった。バルフデは直線的な火を吐き、燃やしていった。民は叫び、嘆いた。
ごまちゃんはグラン城の近くの親衛隊の隊舎に入ろうとしたが、城に行くのを忘れて戻ってそっちに向かった。
「あなたが、ゴマチャンですね。どうぞ、クリスタ王がお呼びです。」
ごまちゃんは無視して城へと入った。しかし、目の前でクリスタ王の姿が見えた。
「ごまちゃん、事情は聞いた。魔力が無くなって息をしなくなったらしい。しかし、最低限の魔力を持たなければ復活はできない。その上、魔族の魔力は多大な物だからな…普通の人一人では何もならん。せめて、コトの亡骸を守ってくれないか?」
「今やろうと思っています!!」
ごまちゃんは息を切らしながら言った。
「今回の戦線では君が出る必要は無い。私達でなんとかしてみせる。」
「…。」
ごまちゃんは唾を飲み、城から出て行った。
「……すまない…。」
クリスタ王は呟いた。
ジェド達が着いた所はグランの中でもコト達とは逆の場所であった。なので、ジェドは移動をし続けた。




