21! それぞれの試練
風呂場に三人、ごまちゃんとコトの間にデミが堂々といた。
「おいごまちゃん、さっきアイツと夫婦であるとか言ったな。あれはデマだ。誰があんな奴と…それよりコッチの方が可愛いぜ。」
デミはコトの肩を寄せて頰を舐めた。
「止めてって!」
ごまちゃんがコトの腕を引っ張った。
「コト君は私の彼氏だもん!奪われたくないもん!」
ごまちゃんは力強くコトを引っ張った。それと同時にデミは体ごとコトを引き寄せた。
「おわぁ!」
「ごまちゃん、折角だから話そうか。コト君は昔私に人質にされてね。深く傷ついてんだよね。」
コトを抱きながらデミは話を続けた。
「だから、親愛の印としてこうやっているじゃない…
暫く預からせて貰うわ。」
「そしたら…私はどうすれば良いの?」
「付いてきても良いけど、それがアンタの為になるのかしら?2日間、剣術修業でもしたら?さて、私達は上がるわ。コト君、来て。」
「…ごまちゃん、玄関に来て。」
コトはごまちゃんを見た。ごまちゃんは黙ってしまった。デミはコトを連れて行った。
「…コト君…。」
そう呟き、ごまちゃんも風呂から上がった。
風呂上がり、ごまちゃんは一つ尋ねた。
「デミさんはいつも何やっているんですか?」
「親衛隊の隊長を務めている。今からその本領を発揮しようと、思ってな。約束もあるし。」
デミは着替えていた。その時、ごまちゃんは何か違和感を感じた。
「あれ…服が綺麗になっている。」
「おっ、それは儂が洗ってやぼぅっ!!」
「余計なお世話よ!あと覗くな!」
ごまちゃんは顔を青ざめ、近くの空の籠を番頭の顔に投げつけた。
漸く着替え終えたごまちゃん達。早速玄関へ行く。そこにはコトの姿があった。
「あっ、コト君…。」
「コト君がいるのは当たり前でしょ。」
コトはごまちゃんに近づいてきた。
「ごまちゃん、君は多分独りで寂しくなるかもしれない。ごめんね。また置いてけぼりにしといて…一応、セイぐらいは持っておいて。無事に帰ってくる…待っていてね。…愛して…るよ。」
コトは恥ずかしそうにごまちゃんの肩を叩いた。
「コト君、行くよ。」
「あぁ…。」
デミとコトは段差を降りていった。
「あ〜あぁ、やっちゃったよアイツ。どれ、ごまちゃんとやらは俺が預かるか!」
ごまちゃんの前にいたキットが突然、ごまちゃんに話しかけてきた。
「おい、嬢さん下町で戦いに行こうぜ。」
「何するつもりですか。身体を売るつもりは全くありませんよ。」
「違うって…だから戦いしに行くんだ!」
「…んじゃあ、行く?」
ごまちゃんはキットに付いて行くことにした。
その頃、町の裏側でコトとデミがいた。
「その前にね…」
「…えっ、なっ何するつもりですか!?」
デミはコトを抑えた。暫くしデミはコトを解放してくれた。
「…これで良し。」
両手首に手錠、右腕に水色の腕輪、首に鈴とロープ付きの首輪、そして頭に猫耳の帽子を被らされたコトを見て、デミは目を輝かせた。
「完璧。凄く可愛いわ。」
「これってあなたの趣味ですか?」
少し怒り気味でコトは尋ねた。
「…コトくぅん、私と付き合いたいなら毎回その服装でいてくれる?」
「付き合う気なんて更々ありませんし、こんな服装で…とても恥ずかしくて外に出歩けませんよ。」
「あら、お気に入り?君も中々変態臭いねぇ。」
( アンタが言うな! )
コトは顔を赤らめながらデミの方に眼を向けた。
「冗談、冗談。少し面白かったわ。」
「冗談じゃ無ければ俺は一体…。」
デミはコトから猫耳と手錠を外した。しかし腕輪、首輪は残された。
「あれ、首輪は…」
「後で使うから…楽しみにしといて。」
コトは終わったなと一瞬察した。
( 本当にヤバイ。路上で何晒すつもりだ? )
「…ておおぅ!」
コトはデミにロープで引っ張られ、転んだ。
「また転びたくなかったら、ちゃんと付いてきて。」
コトは仕方なく付いて行くことにした。
下町、荒ぶる戦士はここで自由奔放に戦いを続けて金を稼いでいる。ごまちゃん達の目の前にも急に敵が現れた。
「ごまちゃんも手伝える?いつかあいつの隣に立って闘いたいだろ。」
「…勿論!」
ごまちゃん達は戦いを挑んだ。
「ここは?」
コト達が向かった先は、ある雑木林の中だった。
「グランの圏外。良いところでやるつもりよ。」
歩いてみると広い場所に辿り着いた。
「…やっとね。」
「何をするのですか?」
「チェーンマッチよ。」
コトは驚きを隠せなかった。




